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Drug Atlas · B6 Antihypertensives / 降圧薬 · 必修

ロサルタン

losartan

分類
Antihypertensives / 降圧薬
商品名(日本)
ニューロタン
商品名(EU)
Cozaar
科目
Pharmacology
トピック
B6: Drugs acting on the renin-angiotensin-aldosterone-system (RAAS)
副作用
低血圧めまい
監視検査値
カリウムクレアチニン
影響検査値
尿酸
相互作用
リチウム
対象疾患
Fabry病IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)IgA腎症アルポート症候群マルファン症候群ロイス・ディーツ症候群高血圧症常染色体優性多発性嚢胞腎常染色体劣性多発性嚢胞腎大動脈瘤糖尿病性腎症慢性心不全
原因となる疾患
急性腎障害

🧠 全体像は世界初のARBであり、ARB3剤の中で最も広く語られる基準薬になっている。ACE阻害薬とは異なり代謝に触れないためが少ないのがARB共通の利点だが、にはもう一つ独自の顔がある——URAT1を阻害してを促すという、他のARB・他のにはない付加価値である。加えて自身は弱い活性しか持たず、CYP2C9による酸化を経て初めて強力なEXP3174になるという点でも他のARBと一線を画す。

薬効群の中での位置づけ

は「カスケードのどこを止めるか」で4つの立ち位置に分かれる。

立ち位置 代表薬 機序 ACE阻害薬との違い
①ACE阻害薬「-pril」 AngⅡ産生↓、分解↓(蓄積)
②ARB「-sartan」 を直接遮断 代謝に影響せずが少ない
③MRA RAASの最終末端(受容体レベル)を止める
④ARNI ARB+ ACE阻害薬と、切替に36時間)

ACE阻害薬とARBの ACEは「」でもあり、I→IIの変換だけでなくの分解も担う。ACE阻害薬はこの分解を止めてを蓄積させるためが生じる。ARBはだけを狙い代謝に触れないため、この2つの副作用が少ない。

同じARBの中でもは他の2剤と一線を画す。

薬剤 体内での形 半減期 際立つ特徴
弱い活性→CYP2C9でEXP3174へ酸化(が主体) 短い(EXP3174は約6〜9時間) 促進(URAT1阻害)。RENAAL試験・LIFE試験
活性体そのもの(代謝を受けない) 約6〜9時間 食事で吸収↓。VANT試験・ARNIの構成成分
活性体そのもの 約11〜15時間(長い) 食事の影響が小さい。IRMA-2/IDNT試験

機序

flowchart TD
    A["レニン→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin'>アンジオテンシン</span>Ⅰ→ACE→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin'>アンジオテンシン</span>Ⅱ"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='losartan'>ロサルタン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin II type 1 (AT1) receptor'>AT1受容体</span>を直接遮断"]
    B --> C["血管収縮↓"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aldosterone secretion'>アルドステロン分泌</span>↓→Na・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='water retention'>水貯留</span>↓"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sympathetic activation'>交感神経活性化</span>↓"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antihypertensive (blood-pressure lowering)'>降圧</span>"]
    D --> F
    G["経口<span class='jp-term jp-term-diagram' title='losartan'>ロサルタン</span>"] --> H["CYP2C9による酸化"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>EXP3174(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='losartan'>ロサルタン</span>より強力・選択的)"]
    I --> B
    J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urate transporter'>尿酸トランスポーター</span>URAT1を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='losartan'>ロサルタン</span>が阻害"] --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urate reabsorption'>尿酸再吸収</span>↓"]
    K --> L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uric acid excretion'>尿酸排泄</span>促進(血清尿酸↓)"]

💡 に触れないことが「が少ない」だけでなく「が少ない」ことの根拠にもなる。 ACE阻害薬の蓄積が主因のため、だけを遮断するではこの経路が働かない。そのためACE阻害薬でを起こした患者の切り替え先としてARBが選ばれる。

薬物動態

項目 値・特徴
あり(CYP2C9でEXP3174へ酸化、EXP3174の方が強力かつ選択的)
約33%(が大きい)
食事の影響 比較的小さい
代謝 CYP2C9・CYP3A4(CYP2C9のが出やすい)
排泄 胆汁・の両方
半減期 短いがEXP3174の効果は持続し1日1回投与が可能

適応

領域 使いどころ
循環器 高血圧症(LIFE試験:を伴う高血圧でより脳卒中を抑制)、
(RENAAL試験:2型糖尿病腎症の腎機能悪化・を抑制)、IgA腎症IgA血管炎の腎病変、(進行抑制)、
血管 などのを下げ拡大速度を抑制する目的、β遮断薬と並ぶ選択肢)
代謝 を合併する高血圧促進作用があるため、他のARB・利尿薬と異なり尿酸値を上げにくい(むしろ下げる)

用法・用量

高血圧では1日1回25〜50 mgから開始し、必要に応じ100 mgまで増量する。では腎保護目的で50〜100 mgを用いる。実際の用量は適応・年齢・体重・腎機能・製剤で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:妊娠(全妊娠期で胎児腎障害・・催奇形性)
  • ACE阻害薬と異なり代謝に影響しないため禁忌ではない(ACE阻害薬でを起こした既往がある患者への切り替え先になり得る)
  • ⚠️ では急激なGFR低下と高K血症のリスク(片側性で対側腎が健常なら通常は使用できる)
  • ⚠️ ACE阻害薬・ARNIとの併用は避けるは腎機能悪化・高K血症のリスクを上げるだけで予後を改善しない:ONTARGET試験)
  • を低下させに達しうる
  • CYP2C9阻害薬(など)はEXP3174の生成を減らし効果を弱め得る

副作用

頻度 内容
高頻度 めまい低血圧(特に例)
注意 、腎機能低下
重篤・まれ (ACE阻害薬よりまれ)、

まとめ

  • 世界初のARB。を直接遮断し、代謝に触れないためがACE阻害薬より少ない。
  • 弱い活性しか持たず、CYP2C9で酸化されて初めて強力なEXP3174になる(ARB3剤の中で唯一の代謝依存型)。
  • URAT1阻害による促進が最大の個性で、合併の高血圧で有利。
  • LIFE試験(脳卒中抑制)・RENAAL試験()のエビデンスを持つ。
  • は禁忌ではない点がACE阻害薬との明確な対比になる。妊娠は禁忌。
  • ACE阻害薬・ARNIとのは避ける。