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Drug Atlas · B6 Antihypertensives / 降圧薬 · 必修

バルサルタン

valsartan

分類
Antihypertensives / 降圧薬
商品名(日本)
ディオバン
商品名(EU)
Diovan
科目
Pharmacology
トピック
B6: Drugs acting on the renin-angiotensin-aldosterone-system (RAAS)
副作用
低血圧めまい
監視検査値
カリウムクレアチニン
相互作用
リチウム
対象疾患
急性冠症候群高血圧症慢性心不全
原因となる疾患
急性腎障害

🧠 全体像はARB3剤の中で、と違って代謝活性化を必要としない活性体そのものであり、その化学骨格がそのままARNI()の片翼として使われている。VANT試験()・Val-HeFT試験(心不全)というエビデンスに加え、「ARBの中でARNIの土台になった薬」という立ち位置が最大の個性になる。

薬効群の中での位置づけ

同じARBの中でもは他の2剤と一線を画す。

薬剤 体内での形 半減期 際立つ特徴
弱い活性→CYP2C9でEXP3174へ酸化 短い(は約6〜9時間) 促進(URAT1阻害)。RENAAL試験・LIFE試験
活性体そのもの(代謝を受けない) 約6〜9時間 食事で吸収↓。VANT試験・Val-HeFT試験・ARNIの構成成分
活性体そのもの 約11〜15時間(長い) 食事の影響が小さい。IRMA-2試験・IDNT試験

ACE阻害薬とARBの ACE阻害薬()はACE()を阻害してを蓄積させるためが生じるが、を含むARBはだけを狙うためこの経路に触れない。

さらにには④として次の一歩がある。

立ち位置 薬剤 機序 適応・注意
②ARB 単剤 遮断 高血圧・心不全・
④ARNI 遮断+ HFrEF。ACE阻害薬と、切替に36時間)

機序

flowchart TD
    A["レニン→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin'>アンジオテンシン</span>Ⅰ→ACE→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin'>アンジオテンシン</span>Ⅱ"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valsartan'>バルサルタン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin II type 1 (AT1) receptor'>AT1受容体</span>を直接遮断"]
    B --> C["血管収縮↓"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aldosterone secretion'>アルドステロン分泌</span>↓→Na・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='water retention'>水貯留</span>↓"]
    B --> E["心筋・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular remodeling'>血管リモデリング</span>抑制"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antihypertensive (blood-pressure lowering)'>降圧</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afterload reduction'>後負荷軽減</span>"]
    D --> F
    E --> F

💡 と異なりを経ずそのまま活性を持つ。 この「そのままを叩ける」性質が、と配合してARNIを作るときの設計上の土台になった。

薬物動態

項目 値・特徴
いいえ(活性体そのもの)
約25%(低い)
食事の影響 ⚠️ あり。食事でが約40%程度低下する
代謝 ほとんど代謝を受けない
排泄 胆汁・糞便排泄が主体
半減期 約6〜9時間だが1日1回投与が可能

適応

領域 使いどころ
循環器 高血圧症
循環器(急性期) 例(VANT試験:
循環器(心不全) (Val-HeFT試験)。ただしHFrEFの第一選択は現行ガイドラインでは(ARNI)で、単剤はARNIが使えない場合の代替という位置づけになっている

用法・用量

高血圧では1日1回80〜160 mgから開始し、必要に応じ320 mgまで増量する。心不全・では低用量から漸増する。実際の用量は適応・年齢・体重・腎機能・製剤で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:妊娠(全妊娠期で胎児腎障害・・催奇形性)
  • ACE阻害薬と異なり代謝に影響しないため禁忌ではない
  • ⚠️ では急激なGFR低下と高K血症のリスク(片側性で対側腎が健常なら通常は使用できる)
  • ⚠️ ACE阻害薬・ARNIとの併用は避けるは腎機能悪化・高K血症のリスクを上げるだけで予後を改善しない:ONTARGET試験)
  • を低下させに達しうる

副作用

頻度 内容
高頻度 めまい低血圧(特に例)
注意 、腎機能低下
重篤・まれ (ACE阻害薬よりまれ)、

まとめ

  • ARB3剤の中でと違い代謝活性化を必要としない活性体そのもの。食事で吸収が明確に低下する。
  • VANT試験()・Val-HeFT試験(心不全)のエビデンスを持つ。
  • ARNI()の片翼という立ち位置が最大の個性で、現行ガイドラインではHFrEFの第一選択はARNIに移っている。
  • ACE阻害薬に共通の分解阻害に由来し、ARBのではこの経路に触れないため頻度が低い。
  • は禁忌ではない。妊娠は禁忌。ACE阻害薬・ARNIとのは避ける。