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Drug Atlas · B12 Steroids / ステロイド · 必修

ヒドロコルチゾン

hydrocortisone

分類
Steroids / ステロイド
商品名(日本)
コートリルソル・コーテフ
商品名(EU)
Solu-Cortef
科目
Pharmacology
トピック
B12: Glucocorticoids for oral and parenteral use
副作用
浮腫
監視検査値
カリウム
影響検査値
高血糖
対象疾患
Waterhouse-Friderichsen症候群アナフィラキシークッシング症候群シーハン症候群バセドウ病下垂体機能低下症原発性副腎不全甲状腺機能低下症市中肺炎思春期早発症自己免疫性多内分泌腺症候群1型先天性副腎過形成中毒性巨大結腸症潰瘍性大腸炎敗血症副腎白質ジストロフィー
原因となる疾患
骨粗鬆症消化性潰瘍

🧠 全体像は合成された「ステロイド薬」というより、体内で分泌されるコルチゾールそのものである。だから抗炎症力の基準(×1)になり、(GC)作用と(MC)作用を生理的な比率のまま両方持つ。この「両方持つ」性質こそが、他のがどれも避けようとするMC作用を、あえて副腎不全の生理的補充という唯一の場面で必要とする理由になる。

薬効群の中での位置づけ

全身性GCはが延びるほどGC作用が強くMC作用が消える一本のスペクトラムに並ぶ。はその起点であり、生理的な補充薬という特別な立ち位置を占める。

薬剤 抗炎症力(PSL比) MC作用 主な立ち位置
短時間(半減期8〜12時間) ×0.25(基準) 強い(生理的) コルチゾールそのもの。副腎不全の生理的補充
中間(半減期12〜36時間) ×1 弱い 経口の標準。自己免疫疾患の第一選択
中間(半減期12〜36時間) ×1.25 ほぼなし 高用量IVパルス
長時間(半減期36〜72時間) ×6〜7 ほぼゼロ 脳浮腫・・抑制試験
ほぼなし 極めて強い MC作用だけを狙う補充薬

なぜだけが「補充」に使われるのか。 副腎不全ではコルチゾール(GC)とアルドステロン(MC)の両方が生理的に不足する(の場合)。はGC・MCの両作用を併せ持つため、GC補充だけで一定程度MC作用も補える。ただしではMC作用が不十分なことが多く、実際にはを追加する(後述)。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydrocortisone'>ヒドロコルチゾン</span>が細胞膜を通過"] --> B["細胞質<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucocorticoid receptor (GR)'>グルココルチコイド受容体</span>(GR)に結合"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mineralocorticoid receptor'>ミネラルコルチコイド受容体</span>(MR)にも結合(生理的親和性)"]
    B --> D["GRE経由で抗炎症遺伝子↑・炎症性遺伝子↓"]
    C --> E["集合管でNa再吸収↑・K分泌↑"]
    D --> F["抗炎症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunosuppressive effect'>免疫抑制作用</span>"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='body fluid volume'>体液量</span>・血圧の維持"]
    F --> H["副腎不全での生理的補充が成立"]
    G --> H

💡 腎臓の11β-HSD2酵素がMR活性化を防ぐ「フェイルセーフ」を持つが、これは飽和する。 コルチゾールは本来MRにアルドステロンと同程度の親和性で結合できるが、腎のでは11β-HSD2がコルチゾールをコルチゾンへ不活化し、MRをアルドステロン専用に保っている。高用量のの治療量など)ではこの酵素が飽和し、Na貯留・浮腫・低K血症というMC過剰の症状が前面に出てくる。

薬物動態

項目 値・特徴
良好(約90%)
分布 に高度結合。CBGが変化する病態(妊娠・肝硬変・ネフローゼ)で遊離型濃度が変わる
代謝 肝で代謝(11β-HSD、CYP3A4関与)
排泄 代謝物として
半減期 約1.5〜2時間(短い)。だが生物学的作用()は8〜12時間持続

半減期が短いからこそ「」が基本になる。 生理的なコルチゾール分泌は早朝にピークを持つがあるため、経口補充も1日2〜3回に分け、朝に多め・夕方に少なめの配分で生理的リズムに近づける。

適応

領域 使いどころ
内分泌 ・二次性副腎不全の生理的補充、の急性期治療、のGC補充
救急・ 抵抗性の場合の、周術期のストレス用量補充
内分泌クリーゼ (相対的副腎不全の予防・末梢T4→T3変換抑制)、開始前の先行投与(潜在する副腎不全を顕在化させないため)
アレルギー アナフィラキシー予防(第一治療はアドレナリンで、ステロイドは補助)
呼吸器 重症での(相対的副腎不全が疑われる場合)
小児内分泌 中枢性に伴う副腎系管理

用法・用量

生理的補充:1日15〜25 mgを2〜3回に分割(朝多め・夕方少なめ)。:初回100 mg IV後、100 mg/日程度をまたはIVで継続し、状態改善とともに周術期ストレス用量度に応じて通常の補充量から一時的に増量する。実際の用量は病態・侵襲度・体重で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(相対的):全身性真菌感染。ただしでは生命維持を優先する場面もある
  • ⚠️ 症合併患者では、開始前にを先行させる。 甲状腺ホルモンの補充が先だと基礎代謝が上がりコルチゾール需要が増え、隠れた副腎不全がとして顕在化しうる
  • 突然の中止は禁物。 慢性使用後は必ずする
  • 感染時・手術時はストレス用量への増量が必要。 増量を怠るとを招く

副作用

頻度 内容
高頻度 高血糖浮腫(Na貯留による)、
注意 高血圧、カリウム低下、易感染性、不眠
重篤・まれ 症(慢性使用)、消化性潰瘍、(慢性使用での急な中止)、精神症状

まとめ

  • コルチゾールそのもの。抗炎症力の基準(×1)で、GC・MC両作用を生理的な比率で併せ持つ唯一の全身性ステロイド。
  • MR活性化は腎の11β-HSD2が生理的に抑えているが、高用量では飽和しMC過剰症状(浮腫・低K血症)が出る。
  • 半減期は短い(1.5〜2時間)が生物学的作用は8〜12時間続くため、に近づける。
  • 副腎不全の生理的補充・の急性期治療が中心的な適応。ではMC作用が不十分なことが多く、を追加する。
  • 感染・手術などのストレス時は増量が必須。増量を怠ると
  • 症合併例では、より先に投与する。
  • 慢性使用後の急な中止は・クリーゼのリスクがあるためする。