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Drug Atlas · C4 Antifungals / 抗真菌薬 · 必修

アンフォテリシンB

amphotericin B

分類
Antifungals / 抗真菌薬
商品名(日本)
ファンギゾンアムビゾーム
商品名(EU)
FungizoneAmBisome
科目
Pharmacology
トピック
C4: Antifungal agents
標的微生物
Candida albicansAspergillus fumigatusCryptococcus neoformansHistoplasma capsulatumRhizopus oryzae
副作用
悪寒発熱
監視検査値
クレアチニンカリウムマグネシウム
相互作用
ジゴキシンフルシトシン
自然耐性の微生物
Pneumocystis jirovecii
対象疾患
アスペルギルス症カンジダ症クリプトコッカス症ヒストプラズマ症リーシュマニア症

🧠 全体像(amphotericin B)は抗真菌薬の中で最も広いスペクトラムを持つ「最終兵器」であり、CandidaAspergillusCryptococcusHistoplasma、そしての多くが無効なまで一薬でカバーする。この強さの代償が腎毒性・電解質異常・という重い副作用プロファイルで、「どの製剤を選ぶか(か、か)」自体が臨床判断の核になる。の第一選択がへ移った今も、ではなお中心的な位置を占める。

薬効群の中での位置づけ

系統・製剤 代表薬 特徴 主な使いどころ
安価だが腎毒性・が最も強い 資源下、または他製剤が入手できない場面
に封入し腎細胞への到達を減らす。腎毒性が大幅に軽減 現在の第一選択製剤。中枢神経・でも組織移行が良好
(ABLC) に準じた代替 が使えない場面の代替
・局所 吸収されず全身毒性がない 口腔・皮膚・腸管の局所カンジダ症のみ

「同じでも製剤で毒性が桁違いに変わる」という点が最頻出。 は薬剤費が高いが、腎毒性の軽減により多くのガイドラインで標準製剤として推奨される。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='amphotericin B'>アンフォテリシンB</span>が真菌細胞膜に到達"] --> B["膜の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ergosterol'>エルゴステロール</span>に直接結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ergosterol'>エルゴステロール</span>分子が集合し<br>膜を貫通する孔(ポア)を形成"]
    C --> D["K+・Mg2+などの<br>細胞内容物が漏出"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osmoregulation'>浸透圧調節</span>が破綻し<br>細胞死(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fungicidal'>殺真菌的</span>)"]
    B -.->|"ヒト細胞膜のコレステロールにも<br>弱く結合してしまう"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal tubular injury'>腎尿細管障害</span>・<br>電解質異常(低K・低Mg)"]
    G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='liposomal formulation'>リポソーム製剤</span>に封入"] -.->|"腎細胞への到達を減らす"| F

💡 の正体は「へのがコレステロールより強いだけ」であり、完全な選択性ではない。 ヒトの細胞膜にもコレステロールへの弱い結合が残るため、腎尿細管細胞が傷つき腎毒性が生じる。近年の研究では、単純な「膜に穴を開ける」モデルに加えて、膜からを吸い上げて隔離してしまう(sterol sponge)作用が主たる殺真菌機序であるという理解も広がっている。

薬物動態

項目 値・特徴
静注のみ(経口吸収がほぼないため全身性感染には使えない)
分布 高い蛋白結合。髄液への移行は乏しい(中枢神経感染では併用や後続の維持療法で補う)
代謝 ほとんど代謝されない
排泄 はごく一部。組織への沈着があり、投与中止後も長期間体内に残留する
半減期 で数日、ではさらに長い

適応

領域 使いどころ
重症・播種性のカンジダ症、他剤不耐用・無効時の
感染症の第一選択(と併用)
中枢神経感染 と併用)
熱帯病 (内臓型はインド亜大陸で単回投与が中心だが、東アフリカは併用がWHOの新第一選択1

用法・用量

)で1日投与量(mg/kg)がまったく異なるため、製剤名を必ず確認したうえで処方する。ではとの併用が基本。輸注前に・抗ヒスタミン薬のを行うと発熱・悪寒などのを軽減できる。腎機能を保護する目的で輸注前後のを行うことが多い。実際の用量は製剤・適応・腎機能・体重で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 腎毒性はかつ アミノグリコシド・など他のとの併用、脱水はさらにリスクを高める
  • ⚠️ 低K血症・低Mg血症を高頻度に起こす。 ジゴキシンなど不整脈を起こしやすい薬との併用では電解質を特にこまめに確認する
  • 過敏症の既往がある場合は代替製剤・を検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 輸注中の発熱悪寒(“shake and bake”)、頭痛、筋肉痛
注意 (クレアチニン上昇)、低K血症・低Mg血症、(腎からの産生低下)
重篤・まれ 急速輸注に伴う不整脈・心停止、

まとめ

  • に結合しを形成、または膜からを奪ってに働く。
  • 抗真菌薬の中で最も広いスペクトラムを持ち、を含む重症・難治性真菌症の切り札。
  • 腎毒性・低K/低Mg・が代表的な副作用。は腎毒性が大幅に軽減され、現在の標準製剤。
  • が基本形。
  • の第一選択は現在であり、は代替薬の位置づけ。
  • 低K血症を介してのリスクを高めるため併用時は電解質モニタリングを強化する。

出典

  1. 1.WHO updates treatment guidelines on visceral and post-kala-azar dermal leishmaniasis(World Health Organization・2026)2026年7月の改訂で東アフリカの内臓リーシュマニア症は経口ミルテホシン+パロモマイシン筋注(14日間)がSSGを使わない新たな推奨レジメンとなり、五価アンチモン製剤(SSG)はこのレジメンを使えない患者向けの代替に位置づけが変わったこと、インド亜大陸では単回投与リポソーマルアムホテリシンB(単独またはミルテホシン・パロモマイシンとの併用)が引き続き用いられることを確認した閲覧 2026-08-02