薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · C4 Antifungals / 抗真菌薬 · 必修

ナイスタチン

nystatin

分類
Antifungals / 抗真菌薬
商品名(EU)
Nystan
科目
Pharmacology
トピック
C4: Antifungal agents
標的微生物
Candida albicans
対象疾患
カンジダ症

🧠 全体像:はと同じで機序も同一だが、毒性が強すぎて全身投与できないため局所・経口の用途に特化した薬である。「消化管を素通りして局所で効く」という一点が、全身性真菌症を狙うとの唯一かつ最大の違いであり、口腔・皮膚・腸管の局所カンジダ症という限られた適応の中で今も使われ続けている理由になっている。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 全身投与 主な適応
可(静注) 重症全身性真菌症、
不可(経口吸収されない) 口腔・皮膚・腸管の局所カンジダ症のみ

⭐ 「=局所カンジダ」という一対一対応で覚えてよい。 全身性感染・には無効であり、を疑う場面でを選ぶことはない。

機序

と同じく、真菌細胞膜のに結合してを形成し、細胞内容物を漏出させてに働く(詳細はの機序節を参照)。分子が大きく毒性も強いため全身投与には向かないが、消化管からの吸収はできるほど小さく、大部分が未変化体のまま便中に排泄されるという性質がむしろ局所治療薬としての安全性を担保している1。

薬物動態

しても消化管からの吸収はできるほど小さく、そのまま未変化体で便中に排泄される1。この「吸収されない」という一点が、全身毒性なく口腔から腸管まで幅広い局所カンジダ症に使える根拠になっている。皮膚・粘膜に塗布するも全身投与を意図した適応ではない2。

適応

領域 使いどころ
口腔 ()——・の口腔内塗布1
皮膚 皮膚・粘膜皮膚のカンジダ症(など)の外用治療2
消化管 、易感染性患者での消化管カンジダ定着の抑制

用法・用量

ではを口腔内に含んでから飲み込む(または吐き出す)投与を1日数回繰り返すのが基本。皮膚病変にはを患部に塗布する。実際の用量・投与回数は年齢・重症度・剤形で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 過敏症の既往がある場合は使用を避ける(製剤成分への過敏症は禁忌)1
  • 全身性・には無効であるため、局所治療で改善しない場合は全身投与可能な薬剤(など)への切り替えを検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状(経口摂取時)
注意 口腔内の不快な味・刺激感
重篤・まれ 過敏反応、発疹・蕁麻疹、まれに1

まとめ

  • 。と同じ機序(結合→)だが毒性が強く全身投与できない。
  • 消化管からほとんど吸収されないため、局所カンジダ症専用の薬として使われる。
  • ()・・が主な適応。
  • 全身性・には無効。やの治療には使えない。

出典

  1. 1.NYSTATIN ORAL SUSPENSION, USP — Prescribing Information(DailyMed(米国FDA)・2026)ナイスタチン経口懸濁液は口腔内カンジダ症の治療に適応があること、真菌細胞膜のステロールに結合し膜透過性を変化させて細胞内容物を漏出させる機序であること、消化管からの吸収は無視できるほど小さく経口投与されたナイスタチンの大部分が未変化体のまま便中に排泄されること、過敏症の既往がある場合は禁忌であること、下痢(血便例を含む)・悪心・嘔吐・消化器症状・口腔内の刺激感や過敏反応が報告されており、まれに発疹・蕁麻疹・Stevens-Johnson症候群・頻脈・気管支攣縮・顔面浮腫が報告されていることを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.MYCOSTATIN (nystatin) cream — Prescribing Information(Perrigo / DailyMed(米国FDA)・2026)ナイスタチンクリームはCandida albicansおよびその他の感受性Candida属による皮膚・粘膜皮膚の真菌感染症の治療に適応があり、全身投与・経口投与・腟内投与・眼科的使用には適応がないと明記されていることを確認した。閲覧 2026-08-27