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Drug Atlas · C4 Antifungals / 抗真菌薬 · 必修

カスポファンギン

caspofungin

分類
Antifungals / 抗真菌薬
商品名(日本)
カンサイダス
商品名(EU)
Cancidas
科目
Pharmacology
トピック
C4: Antifungal agents
標的微生物
Candida albicansCandida glabrataCandida kruseiCandida aurisAspergillus fumigatus
副作用
発熱皮疹
相互作用
シクロスポリンAリファンピシン
自然耐性の微生物
Cryptococcus gattiiCryptococcus neoformans
対象疾患
アスペルギルス症カテーテル関連血流感染カンジダ症

🧠 全体像:は(「-fungin」)の元祖であり、・とはまったく異なる標的——の——を狙う。ヒト細胞には細胞壁自体が存在しないため理論上のが極めて高く、腎毒性のあるや相互作用の多いが使いにくい場面(腎障害・)での主力になる。ただしには無効という明確な弱点があり、その理由は標的酵素の感受性低下ではなく標的阻害とはな機序によるの耐性である点が問われやすい1。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 / 時の減量 特記事項
Candidaに、Aspergillusに寄り 中等度の肝障害で減量が必要(重度はデータなし) の原型、最も臨床データが豊富。に・好中球減少症のを含む唯一の3剤中の薬剤
同上 中等度・重度でも米国添付文書上は調整不要(軽度はデータなし) 日本発の薬剤。ではの肝腫瘍所見を理由に「他剤が不適な場合のみ使用」という制限あり
同上 不要(な化学分解で消失) 肝・腎機能に関わらず用量が一定。はカンジダ症関連のみでは含まれない

⭐ カンジダ症に対する有効性はほぼ同等だが、と「肝機能に応じた調整が要るかどうか」で3剤に差がある。 だけが中等度肝障害で35 mgへの減量が明記され、かつ・好中球減少症ののを持つ唯一の1剤2。は患者でのカンジダ感染症予防、はカンジダ症関連のみと、適応範囲は薬剤ごとに異なる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='caspofungin'>カスポファンギン</span>がβ-(1,3)-D-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glucan'>グルカン</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fks1'>合成酵素</span>を阻害"] --> B["細胞壁の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-1,3-glucan'>β-1,3-グルカン</span>が合成できない"]
    B --> C["細胞壁の構造的強度が失われる"]
    C --> D["浸透圧に耐えられず<br>細胞が破裂(Candidaで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fungicidal'>殺真菌的</span>)"]
    E["ヒト細胞には細胞壁が存在しない"] -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='selective toxicity'>選択毒性</span>が非常に高い"| A
    F["Cryptococcus属は標的酵素自体は<br>薬剤感受性だが、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='unrelated'>無関係</span>な機序で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Cellular'>細胞レベル</span>では高度耐性"] -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='minimum inhibitory concentration'>MIC</span>が著明に高い"| B

⚠️ はCryptococcusに無効。 の治療でを選ぶことはなく、+が標準である。「効かない」理由は標的酵素の感受性低下ではない——C. neoformansのそのものはin vitroでに強く阻害される(見かけのKi値0.17 μM)にもかかわらず、細胞としては 16 μg/mLと高度耐性であり、標的とはな機序(細胞壁のキチンによるリモデリング、・など)による臨床耐性と考えられている1。に対する第一選択の位置づけは他のガイドラインでも変わらない3。

薬物動態

項目 値・特徴
静注のみ(分子量が大きく経口吸収されない)
分布 高い蛋白結合。髄液への移行は乏しい
代謝 加水分解とN-アセチル化による緩徐な代謝(系をほとんど介さない)
排泄 代謝物として尿中・便中排泄
半減期 約9〜11時間、1日1回投与が可能

⭐ 系をほとんど介さないため、ほど激しい相互作用は起こさない——これが・中の患者で選ばれやすい理由の一つ。ただし併用ではの一過性上昇が報告されており注意を要する。

適応

領域 使いどころ
カンジダ症 侵襲性カンジダ症・の第一選択級(C. glabrata・C. kruseiなどを含む)、C. aurisにも活性
の・併用療法(単剤の第一選択ではない。他剤に不耐用・無効な例が)2
に反応しないでの経験的抗真菌治療2

用法・用量

初日に(70 mg)を投与し、2日目以降は(通常50 mg)に切り替える。は調整不要、中等度(7-9)ではを35 mgへ減量、重度(>9)は臨床データが無い(・にはこの調整がほぼ不要という対比が問われる)2。実際の用量は適応・体重・肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 中等度のでは35 mgへの減量が必要(重度は臨床データなし)。 腎機能による調整は基本的に不要2
  • リファンピシンなどの併用では血中が低下するため、を1日70 mgへ増量する2
  • との併用では曝露が約35%上昇し、一過性のが報告されており、併用のがリスクを上回る場合にのみ行う2

副作用

頻度 内容
高頻度 輸注に伴う発熱、皮疹などの
注意
重篤・まれ 重症過敏反応、

まとめ

  • 。(Fks1)阻害での合成を止める。
  • ヒト細胞は細胞壁を持たないためが非常に高い。
  • Candidaには、Aspergillusには寄りでの位置づけ。
  • には無効——標的酵素自体はin vitroで薬剤感受性が高いにもかかわらず、標的阻害とはな機序での耐性を持つ。
  • 耐性のC. glabrata・C. krusei、多剤耐性C. aurisにも活性を持つ。
  • 3剤の中で唯一、中等度ので用量減量が必要(重度は臨床データなし)。

出典

  1. 1.Cryptococcus neoformans resistance to echinocandins: (1,3)beta-glucan synthase activity is sensitive to echinocandins(Antimicrobial Agents and Chemotherapy・2005)Cryptococcus neoformansのin vitro β-1,3-グルカン合成酵素活性はカスポファンギンに極めて感受性が高い(見かけのKi値0.17±0.02 μM)にもかかわらず、細胞レベルでは高いMIC(カスポファンギン16 μg/mL)を示し高度耐性であること、この結果からC. neoformansのカスポファンギン耐性はβ-1,3-グルカン合成酵素そのものの感受性低下とは無関係な機序によることを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.CANCIDAS (caspofungin acetate) for injection — Prescribing Information(Merck Sharp & Dohme / DailyMed(米国FDA)・2026)CANCIDASの承認適応が発熱性好中球減少患者における推定真菌感染症の経験的治療、カンジダ血症・腹腔内膿瘍/腹膜炎/胸膜腔感染を含むカンジダ感染症の治療、食道カンジダ症の治療、他の治療に不耐用・無効な侵襲性アスペルギルス症の治療であること、β-1,3-D-グルカン(哺乳類細胞には存在しない)の合成を阻害する機序であること、腎機能障害では用量調整不要であること、肝機能障害は軽度(Child-Pugh 5-6)では調整不要・中等度(7-9)では1日35 mgへの減量(初日の負荷用量70 mgは変更なし)・重度(>9)では臨床データが無いこと、リファンピシン併用時は1日70 mgへの増量が必要なこと、シクロスポリン併用でカスポファンギン曝露が約35%上昇し一過性のALT/AST上昇が報告されていることを確認した。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Global guideline for the diagnosis and management of candidiasis: an initiative of the ECMM in cooperation with ISHAM and ASM(European Confederation of Medical Mycology (ECMM) / ISHAM / ASM・2025)エキノキャンディン系が引き続き侵襲性カンジダ症の第一選択であることを確認した。閲覧 2026-08-27