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Microbe Atlas · 真菌

Cryptococcus gattii

分類
酵母 / YeastsCryptococcus
科目
Medical Microbiology
トピック
4/9: Cryptococcus neoformans, Pneumocystis jirovecii (carinii)
自然耐性薬
カスポファンギンミカファンギンアニデュラファンギン
原因となる疾患
クリプトコッカス症

🧠 全体像Cryptococcus gattiiCryptococcus neoformansと形態・診断・治療の骨格を共有する近縁種だが、決定的に違うのは宿主である。C. neoformansが細胞性免疫の高度な障害(特にAIDS)を前提とするのに対し、C. gattii免疫正常者にも発症する——環境リザーバーもハトの糞便ではなくユーカリなどの樹木で、に熱帯・亜熱帯に多いとされてきたが、1999年以降のバンクーバー島を起点とする太平洋岸北(カナダ・米国オレゴン/ワシントン州)ので温帯地域にも生息域が広がっていることが明らかになった。

培養形態と免疫状態による病型の違い

形態・染色性・培養上の性質はCryptococcus neoformansと共通する——莢膜を持つ酵母で常に酵母形をとり(二形性ではない)、ウレアーゼ陽性、鳥の培地でメラニンを産生する。血清型でC. neoformans(血清型A・D)とC. gattii(血清型B・C)に分けられ、遺伝学的な差異から近年は別種として扱われている。

同じ属でも宿主が違えば疫学が変わる好例。 C. neoformansはAIDS流行と結びついた「免疫不全の指標菌」として広まったが、C. gattiiは免疫正常のホストにも肺・中枢神経系の感染を起こしうる——「=免疫不全者の病気」という単純化がこの菌には当てはまらない。

病原性の仕組みと感染経路

  • 環境リザーバーはユーカリなどの樹木の樹皮・周辺の土壌——ハトの糞便に汚染された土壌を主な環境とするCryptococcus neoformansと対照的。
  • 感染経路は同様にの吸入で、ヒト-ヒト感染はない。
  • 免疫正常者にも肺・中枢神経系の感染を起こす点が最大の疫学的特徴。免疫不全者でも発症しうるが、C. neoformansほど発症がAIDSに偏らない。
  • には熱帯・亜熱帯(オーストラリア、パプアニューギニアなど)のとされてきたが、1999年以降、カナダのバンクーバー島を起点に太平洋岸北(オレゴン州・ワシントン州)でが確認され、温帯地域にも生息域が拡大していることが分かっている。

起こす疾患

臨床像はCryptococcus neoformansによると同様、肺から中枢神経系への播種(髄膜炎・)まで幅がある。

⚠️ C. gattiiは中枢神経系や肺にを形成しやすく、による神経症状や気道閉塞をきたして・切除が必要になることがC. neoformansより多い。 免疫正常者での発症であるためHIVスクリーニングに頼れず、診断が遅れやすい点にも注意する。

診断

診断手順はCryptococcus neoformansと同じ——による開頭圧測定、India ink染色、莢膜抗原検査(CrAg。C. gattii特異的な株では偽陰性の報告もあり注意)、無添加のでの培養。免疫正常者で原因不明のや中枢神経系症状をみた場合、HIV陰性であることを理由にを除外してはならない。

治療と予防

治療の骨格はCryptococcus neoformansと同じ、続く・維持療法だが、次の点で異なる。

  • を伴う例では抗真菌薬に加えて・切除を要することが多い
  • での発症であるため治療期間がC. neoformansより長期化する傾向があり、頭蓋内圧管理の重要性は変わらない。

⚠️ は無効。 Cryptococcus属は細胞壁の構成比が低くキチンが多いため、β-1,3-合成を阻害する)は種を問わず無効——Cryptococcus neoformansと共通する重要な対比点。

まとめ

  • 形態・染色・培養上の性質はCryptococcus neoformansと共通(莢膜を持つ酵母、常に酵母形、ウレアーゼ陽性、メラニン産生)。血清型B・Cに相当する近縁種。
  • 最大の違いは宿主——C. neoformansと異なり免疫正常者にも発症する。
  • 環境リザーバーはユーカリなどの樹木に熱帯・亜熱帯の病原体だが、1999年以降の太平洋岸北で温帯地域にも生息域が拡大。
  • 中枢神経系・肺にを形成しやすく、外科的介入を要することがC. neoformansより多い。
  • 治療は導入()→)という骨格を共有し、が無効な点も共通する。