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Drug Atlas · A15 General anesthetics / 全身麻酔薬 · 必修

プロポフォール

propofol

分類
General anesthetics / 全身麻酔薬
商品名(日本)
ディプリバン
商品名(EU)
Diprivan
科目
Pharmacology
トピック
A15: Intravenous anesthetics. Perioperative medication
副作用
低血圧
監視検査値
カリウム乳酸
原因となる疾患
横紋筋融解症

🧠 全体像の中で最も汎用される薬で、その理由は単純な鎮静力ではなく「速い導入・速い覚醒・悪心の少なさ」という総合力にある。大豆油・卵黄を基剤とするという製剤そのものが、リスク・そして稀だが致死的な(PRIS)という副作用プロファイルを決めている点が理解の鍵になる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 機序 覚醒の速さ 特徴
GABA-A増強 速い(が短い) 導入+維持・ICU/作用
GABA-A増強(↑) で蓄積し遅延 導入・・頭蓋内圧↓
GABA-A増強 速い 循環抑制が最小・に注意
NMDA拮抗 中間 鎮痛作用あり・循環を維持

を臨床の主役から退けた最大の理由は「の違い」。 どちらも単回投与後の覚醒は脳から筋・脂肪へので起こる点は同じだが、を続けたときからの排出が速く蓄積しにくいのに対し、で著しく蓄積し覚醒が遅れる。この差がの主力薬という地位を決めた。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='propofol'>プロポフォール</span>がGABA-A受容体に結合"] --> B["Cl⁻チャネルの開口を増強"]
    B --> C["神経細胞が過分極"]
    C --> D["興奮性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic transmission'>シナプス伝達</span>の全般的抑制"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='loss of consciousness'>意識消失</span>(麻酔状態)"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intravenous bolus'>静脈内急速投与</span>"] --> G["血流の多い脳へ迅速分布"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='loss of consciousness'>意識消失</span>"]
    H --> I["筋・脂肪への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='redistribution'>再分布</span>"]
    I --> J["単回投与の効果消失(覚醒)"]

💡 単回投与後の覚醒は薬の完全な排泄ではなく「脳から筋・脂肪への」で起こる。 そのためではが徐々に飽和し、投与時間が長いほど覚醒までの時間()が延びる。はこの延び方が緩やかなため、長時間の鎮静・維持でも比較的速い覚醒を保てる。作用の機序は完全には解明されていないが、皮質下のへのが想定されている。

薬物動態

項目 値・特徴
製剤 (大豆油・卵黄・グリセロールを含む)
分布 高い脂溶性、迅速に脳へ移行
代謝 肝で速やかに
排泄 代謝物として
特徴 が短く、後も比較的速く覚醒する

適応

場面 使いどころ
全身麻酔 導入・維持の両方に使える。の主力
ICU鎮静 人工呼吸中の鎮静。覚醒が速くのタイミングを合わせやすい
内視鏡・小手術などの短時間鎮静
でPONV治療の補助に用いることがある

用法・用量

IV。は概ね1.5〜2.5mg/kg(高齢・・心機能低下・オピオイド併用では大幅減量し)、維持はで概ね4〜12mg/kg/hr程度(鎮静ではより低用量)。には投与前後の使用で軽減を図ることがある。実際の用量は適応・年齢・で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤(卵・大豆由来成分を含む製剤)への重度過敏症
  • ⚠️ 鎮痛作用を持たない。 のある処置には別に鎮痛が必要
  • ⚠️ 長時間・高用量の(特に小児のICU鎮静)で、代謝性アシドーシス・・高K血症・心不全を来す稀だが致死的な合併症。長時間高用量投与時は乳酸・カリウム・CKのモニタリングを検討する
  • 製剤のため開封後は厳格なを要し、のリスクがある(開封後は速やかに使用・廃棄)
  • が不安定な患者では血圧低下・無呼吸に備え慎重に投与する

副作用

頻度 内容
高頻度 低血圧、呼吸抑制、
注意 徐脈
重篤・まれ (PRIS:代謝性アシドーシス・カリウム上昇・乳酸上昇・心不全)

まとめ

  • GABA-A増強を機序とする製剤の。導入・維持・ICU/まで最も汎用される。
  • が短く、後も比較的速く覚醒する点がとの決定的な違い。
  • 作用を併せ持つが、鎮痛作用は持たない。
  • 製剤のためリスク・卵/大豆アレルギーに注意する。
  • 長時間高用量投与ではという稀だが致死的な合併症に注意する。