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Drug Atlas · B24 Antiemetics / 制吐薬 · 必修

パロノセトロン

palonosetron

分類
Antiemetics / 制吐薬
商品名(日本)
アロキシ
商品名(EU)
Aloxi
科目
Pharmacology
トピック
B24: Antiemetic drugs. Prokinetic agents
禁忌疾患
心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)
副作用
便秘頭痛
監視検査値
カリウムマグネシウム

🧠 全体像と同じだが、受容体への結合のしかたと消える速さがまるで違うことで差別化されている薬である。が「受容体ににはまって、数時間で外れる」薬だとすれば、は「な部位に結合して受容体を巻き込み、細胞内へ引きずり込んでしまう」薬——この機序と半減期約40時間という長さのおかげで、化学療法誘発性嘔吐(CINV)の急性期だけでなくまで単回投与でカバーできる唯一のという立ち位置を得ている。

薬効群の中での位置づけ

は「へ至るどの経路を遮断するか」で使い分ける。

経路 受容体 代表薬 得意な場面
CTZ+消化管 5-HT3 CINV急性期〜
CTZ D2 低下を伴う嘔吐
CTZ NK1/Substance P (フォス) CINV
H1・ムスカリン
項目
受容体への結合 (外れやすい) +受容体のを誘導(結合が持続)
半減期 約4時間 約40時間
カバーする時期 急性期(〜24時間) 急性期+(〜5日目)
ガイドライン上の位置づけ PONV・急性期CINVの標準 高度・中等度化学療法で優先される

CINVの急性期・という2つの時間軸を理解すると、の役割分担が見える。 急性期(〜24時間)は5-HT3を介したセロトニン放出が主体で、単剤でも急性・遅発の両方にある程度効くが、(24時間〜5日目)はSubstance P/NK1経路の寄与が相対的に大きくなるため、レジメンではの3剤併用が標準治療になる。

機序

flowchart TD
    A["化学療法による消化管<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal injury'>粘膜傷害</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enterochromaffin cell'>腸クロム親和性細胞</span>からの<br>セロトニン放出(急性期に多い)"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-HT3 receptor'>5-HT3受容体</span>(末梢<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vagal afferent'>求心性迷走神経</span>・CTZ)"]
    D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palonosetron'>パロノセトロン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allosteric site'>アロステリック部位</span>に結合"] --> E["受容体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conformational'>立体構造</span>が変化し<br>細胞内へ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='internalization'>内在化</span>"]
    E --> F["受容体そのものが表面から減少"]
    F --> G["長時間・持続的な5-HT3シグナル遮断"]
    C -.->|"通常は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive antagonism'>競合的拮抗</span>でも遮断できるが<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='palonosetron'>パロノセトロン</span>はさらに受容体を減らす"| G
    G --> H["急性期だけでなく<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed phase'>遅発期</span>の悪心・嘔吐も抑制"]

💡 」が、半減期の長さ以上にへの効果を説明する。 単に薬物血中濃度が長く残るだけでなく、標的の受容体自体を減らしてしまうため、血中濃度が下がった後も効果が持続しやすい。

薬物動態

項目 値・特徴
約97%(としては例外的に高い)
分布 約62%
代謝 一部がCYP2D6などで代謝されるが主経路ではない(約50%が未変化体のまま
排泄 が主体
半減期 約40時間の約10倍)

適応

領域 使いどころ
腫瘍内科 (CINV)の予防。急性期・の両方をカバーし、高度・中等度化学療法でとの3剤併用の一角を担う
周術期 の予防(単回投与)

用法・用量

の予防:化学療法開始前にIV単回投与、または単回投与で急性期・をカバーするため、のような複数日投与は基本的に不要。PONV予防:前後にIV単回投与。実際の用量は適応・年齢・体重・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌の既往を含む
  • ⚠️ QT延長のリスクはクラス共通の注意事項として添付文書に記載されるが、ではなど他のに比べQTへの影響は小さいとされる。 とはいえカリウムなどの電解質異常があれば投与前に補正し、他のQT延長作用薬との併用には注意する
  • :SSRI・SNRI・・MAO阻害薬など他のとの併用で報告がある

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛便秘
注意
重篤・まれ QT延長(他のより頻度は低いとされる)、

まとめ

  • と同じだが、という別の結合様式を持つ。
  • 半減期は約40時間と(約4時間)よりはるかに長い。
  • 単回投与でCINVの急性期・の両方をカバーできる唯一の
  • 高度・中等度化学療法では、との3剤併用の中心となる。
  • QT延長はクラス共通の注意点だが、他のより影響は小さいとされる。電解質異常は投与前に補正する。
  • が約97%との中で例外的に高い。