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Drug Atlas · B24 Antiemetics / 制吐薬 · 必修

(フォス)アプレピタント

(fos)aprepitant

分類
Antiemetics / 制吐薬
商品名(日本)
イメンド(アプレピタント経口カプセル)プロイメンド(ホスアプレピタント点滴静注)
商品名(EU)
Emend(アプレピタント経口)Ivemend(ホスアプレピタント点滴静注)
科目
Pharmacology
トピック
B24: Antiemetic drugs. Prokinetic agents
副作用
倦怠感
相互作用
ワルファリン

🧠 全体像:嘔吐へ至る4つの経路(CTZ・消化管・大脳皮質)のうち、(フォス)が狙うのはCTZのNK1/Substance P受容体という、とは別の入口である。この経路の寄与は化学療法投与から24時間以降のでとくに大きくなるため、は単剤で使われることがほとんどなく、との3剤併用が定義そのものになっている薬である。もう一つの顔はCYP3A4阻害・誘導を介した相互作用の多さで、併用する自身の血中濃度まで押し上げてしまうため、レジメンの用量設計に直接影響する。

薬効群の中での位置づけ

は「へ至るどの経路を遮断するか」で使い分ける。

経路 受容体 代表薬 得意な場面
CTZ+消化管 5-HT3 CINV急性期
CTZ NK1/Substance P (フォス) CINV
CTZ D2 低下を伴う嘔吐
H1・ムスカリン

(経口)と(静注)は、同じ活性本体を持つ「違いの同一薬」。 経口は化学療法1日目125 mg・2〜3日目80 mgの3日間投与が基本形だが、は1日目の単回静注(150 mg)だけで3日分の曝露が得られるよう設計されており、通院化学療法での利便性から静注単回投与が広く使われる。

機序

flowchart TD
    A["化学療法後、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enterochromaffin cell'>腸クロム親和性細胞</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='vagal nerve terminal'>迷走神経終末</span>からSubstance Pが放出"] --> B["CTZ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleus tractus solitarius (NTS)'>孤束核</span>のNK1受容体を刺激"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vomiting center'>嘔吐中枢</span>への入力(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed phase'>遅発期</span>に優位)"]
    D["(フォス)<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aprepitant'>アプレピタント</span>が<br>NK1受容体を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に遮断"] -.-> B
    C --> E["悪心・嘔吐(とくに24時間以降の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed phase'>遅発期</span>)"]
    F["同時にCYP3A4を阻害・一部誘導"] -.->|"併用<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dexamethasone'>デキサメタゾン</span>の代謝を遅らせる"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dexamethasone'>デキサメタゾン</span>血中濃度が上昇<br>→用量を50%程度減量"]

💡 急性期は5-HT3、はNK1が相対的に優位になる、という時間軸の違いが3剤併用の根拠。 化学療法直後はセロトニン放出が主体だが、24時間を過ぎるとSubstance P/NK1経路の寄与が相対的に増える。を追加することで、だけでは抑えきれないの嘔吐を減らせる。レジメンでは、この3剤にを加えた4剤併用がガイドラインで選択肢に挙げられている。

薬物動態

項目 値・特徴
約60〜65%
静注後30分程度で速やかにへ変換される
代謝 主にCYP3A4(一部CYP1A2・CYP2C19)。自身がCYP3A4の中等度阻害薬かつCYP2C9のという二面性を持つ
半減期 約9〜13時間(性あり)
排泄 代謝物として主に糞便排泄

⚠️ CYP3A4阻害とCYP2C9誘導という逆方向の作用を同時に持つ薬なので、併用薬ごとに「濃度が上がるのか下がるのか」を意識する必要がある。

適応

領域 使いどころ
腫瘍内科 中等度〜化学療法によるCINVの予防。とくにとの3剤併用(ではを加えた4剤併用も選択肢)
周術期 の予防(経口)

用法・用量

:化学療法1日目に150 mgを単回し、他の)と併用する。(経口):1日目125 mg、2〜3日目80 mgを1日1回。併用するは、/のCYP3A4阻害により血中濃度が上昇するため、経口の用量を通常の約50%へ減量する(添付文書・レジメンごとの規定に従う)。実際の用量・併用薬の減量幅は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌との併用(CYP3A4阻害によりの血中濃度が上昇し、QT延長・重篤な不整脈のリスクが高まる)
  • ⚠️ CYP3A4阻害による相互作用が多い。 CYP3A4で代謝される薬剤(一部の抗悪性腫瘍薬、など)は血中濃度上昇に注意し、CYP3A4(リファンピシンなど)との併用はの効果を減弱させる
  • ワルファリンとの併用でINRが低下しうる:CYP2C9誘導により代謝が促進されるため、化学療法サイクル終了後もINRを注意深くモニタリングする
  • の効果を減弱させうる:治療中〜治療後一定期間は代替の避妊法を併用する
  • 注意すべき副作用感、

副作用

頻度 内容
高頻度
注意 、便秘・下痢
重篤・まれ との併用による重篤な不整脈

まとめ

  • NK1/Substance P受容体拮抗薬。CTZのNK1経路を遮断し、とくにCINVの(24時間〜5日目)に効く。
  • 単剤では使わず、との3剤併用(ではを加えた4剤併用も選択肢)が基本形。
  • (経口・3日間投与)と(静注・単回投与)は同じ活性本体の違い。
  • CYP3A4を中等度阻害し、かつCYP2C9を誘導するという二面性を持ち、相互作用が多い。
  • 併用するは血中濃度上昇のため約50%減量する。
  • ワルファリンとの併用でINRが低下しうるため、化学療法後もモニタリングする。
  • との併用は禁忌(重篤な不整脈のリスク)。