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Disease Atlas · 腎・泌尿器 · 疾患

閉塞性腎症

Obstructive nephropathy

臓器系
腎・泌尿器
科目
Urology
トピック
泌尿器科学 U-11:急性腎障害と慢性腎不全泌尿器科学 U-06:尿路の狭窄と瘻孔
続発疾患
慢性腎臓病急性腎障害
原因微生物
Schistosoma haematobium
症状
側腹部痛無尿乏尿
検査値
クレアチニンカリウム
画像所見
水腎症

🧠 全体像:は、尿路のどこかで尿の流れが妨げられ()、その結果として腎そのものが障害された状態を指す。「」が尿路の構造的・機能的な問題そのものを指すのに対し、「」はそれによってが上昇し、低下・を経て腎機能が低下した結果としての腎障害を指す点が区別の軸になる1。片側性か両側性か(あるいは孤立腎か)、急性か慢性かで臨床像は大きく変わり、片側性の急性閉塞はの代償で無症候に経過しうる一方、両側性または孤立腎の閉塞はを来す。

定義

は、尿路のいかなる部位における構造的または機能的な尿流の中断であり、尿の逆流と腎内圧上昇を来す。は、この閉塞によって二次的に生じた腎実質の障害を指す1。

原因

の原因は多様で、階層立った分類があるわけではない。男性で最も高頻度に同定される原因はであり、それ以外は頻度の低い原因として、便秘、、、・、前立腺腺癌、・リンパ節腫脹、大腸、、、機能障害、寄生虫性閉塞(Schistosoma haematobiumなど)、膀胱、垂などが挙げられる2。にも尿路拡張・の評価を要する形で発症しうる2。Schistosoma haematobiumのでは、膀胱・尿管壁の線維化・狭窄が尿の流出を妨げ、水腎症を経てに至る経路がある。

flowchart TD
    A["尿路のどこかで尿流が中断される"] --> B["最も高頻度:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='benign prostatic hyperplasia (BPH)'>前立腺肥大症</span>(男性)"]
    A --> C["頻度は低いが多様な原因<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urethral stricture'>尿道狭窄</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior urethral valves'>後部尿道弁</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urolithiasis'>尿路結石</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='retroperitoneal fibrosis'>後腹膜線維症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neurogenic bladder'>神経因性膀胱</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pelvic organ prolapse, POP'>骨盤臓器脱</span>垂など)"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal pelvic pressure'>腎盂内圧</span>上昇"]
    C --> D
    D --> E["水腎症"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal blood flow'>腎血流</span>低下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glomerular filtration rate'>GFR</span>低下"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tubular atrophy and interstitial fibrosis'>尿細管萎縮・間質線維化</span>"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstructive nephropathy'>閉塞性腎症</span>"]

病態

性の急性閉塞では、初期はを介したな増加が起こり、その血流が低下し、最終的にの著明な減少と低下に至るという3段階のをたどる1。構造的には、間質の拡大と線維化が尿細管細胞のアポトーシスを引き起こし、未治療のまま経過すると尿細管間質壊死に進む1。長期にわたる重症閉塞は、糸球体数の減少・・をもたらし、最終的にへ進行しうる2。

⚠️ 片側性か両側性か(あるいは孤立腎か)で予後が大きく変わる。 片側性の初期閉塞ではの代償により慢性に至る可能性は低いが、孤立腎患者や両側性閉塞ではに直結しうる2。

臨床像

急性の閉塞では側腹部痛が典型的だが、慢性・の閉塞は無症候に経過することも多い。両側性または孤立腎のではを来し、部分的な閉塞では乏尿や多尿が混在しうる。

診断

画像診断は超音波での水腎症評価が第一歩で、が閉塞部位の精査に有用である1。血液検査ではクレアチニン・カリウム・を評価する。

治療

治療の柱は早期の閉塞解除である。上部尿路閉塞にはまたは、には留置で減圧する1。は、のdown-regulationを背景に(尿量が時間200mLを超える)が起こりうるため、体液・電解質を注意深く補正する1。早期認識と迅速な減圧が腎損傷の防止に重要である2。

まとめ

  • は、尿路のどこかでの尿流中断()が上昇・低下を介して腎実質を障害した状態である。
  • 原因は多様で階層立った分類はなく、男性で最も高頻度なのはで、・・・・垂などが頻度の低い原因として挙げられる。Schistosoma haematobiumのによる尿管線維化も原因になりうる。
  • 未治療の閉塞は・を経てへ進行し、両側性または孤立腎の閉塞はに直結する。
  • 診断は超音波での水腎症評価とでの閉塞部位精査、治療はやなどによる早期の閉塞解除が中心で、解除後はへの対応が必要になる。

出典

  1. 1.Obstructive uropathy: Overview of the pathogenesis, etiology and management of a prevalent cause of acute kidney injury(World Journal of Nephrology・2024)閉塞性尿路症を尿路のいかなる部位における構造的・機能的な尿流の中断と定義し閉塞性腎症をその結果生じる二次性の腎障害とすること、一側性閉塞では代償的な腎血流増加を経て腎血流低下・GFR低下に至る3段階の血行動態変化があること、間質の拡大・線維化と尿細管細胞のアポトーシスが未治療では尿細管間質壊死へ進むこと、アクアポリンのdown-regulationが閉塞解除後利尿(post-obstructive polyuria)を来し高カリウム血症が最も危険な電解質異常であること、画像診断は超音波での尿管水腎症評価と単純CTでの閉塞部位精査が中心であること、上部尿路閉塞には尿管ステントまたは経皮的腎瘻造設、下部尿路閉塞には尿道カテーテル留置で減圧すること、閉塞解除後利尿は尿量が時間200mL超で体液・電解質補正を要することを確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Obstructive Uropathy(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)男性で最も高頻度に同定される原因が前立腺肥大症(BPH)であること("the most frequently diagnosed cause in men is benign prostatic hyperplasia")、それ以外の原因は頻度が低いとした上で便秘・尿道狭窄・後部尿道弁・包茎/嵌頓包茎・前立腺腺癌・後腹膜線維症/リンパ節腫脹・大腸子宮内膜症・尿管瘤・尿路結石・神経因性膀胱機能障害・寄生虫性閉塞・膀胱子宮内膜症・骨盤臓器脱垂を列挙すること(上部/下部尿路という解剖学的な階層分類や尿路結石を主要原因とする記述は用いていない)、長期にわたる重症閉塞が腎機能の段階的喪失・糸球体数減少・間質線維化・皮質菲薄化・腎萎縮をもたらし最終的に慢性腎臓病へ進行すること、片側性の初期閉塞では対側腎の代償により慢性腎機能障害に至る可能性が低い一方、孤立腎患者は腎疾患リスクが一般的に高いこと、早期認識と迅速な尿路減圧が腎損傷の防止に重要であることを確認した。閲覧 2026-09-05