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Symptoms · Published

乏尿

Oliguria

別名
尿量減少
臓器系
腎・泌尿器全身
科目
Internal MedicineAnesthesiologyUrology
トピック
内科学 L-36:急性腎障害麻酔科学 B-01:ICUにおける急性腎障害泌尿器科学 U-11:急性腎障害と慢性腎不全内科学 N-03:腎疾患の鑑別診断
関連疾患
ANCA関連血管炎ネフリティック症候群急性・慢性尿細管間質性腎炎急性肝不全急性腎障害急性胆管炎急性膵炎結節性多発動脈炎抗糸球体基底膜病(グッドパスチャー症候群)細菌性急性胃腸炎市中肺炎循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)消化管出血(上部・下部)常染色体劣性多発性嚢胞腎腎肺症候群多胎妊娠脱水妊娠悪阻敗血症肺血栓塞栓症腹部コンパートメント症候群腹膜炎・消化管穿孔分娩後出血慢性心不全溶血性尿毒症症候群溶連菌感染後糸球体腎炎卵巣機能性嚢胞・良性腫瘍膀胱癌
スコア
Gorelick score

🧠 全体像:乏尿はの入口であり、・腎性・の3つの枠で考える。ただしこの3つは「順に除外する」ものではなく、同時に評価しながら、可逆性の高いものから手を打つものである。実務上の順序は決まっている——の通過を確かめ、超音波で閉塞を外し、そのうえで循環と尿所見を読む。閉塞を最初に外すのは頻度が高いからではなく、見逃すと不可逆になり、解除すれば戻るからである。

定義と、尿量が語らないこと

用語 目安
乏尿 成人で0.5 mL/kg/時未満が6時間以上、または400〜500 mL/日未満
100 mL/日未満を参照)
多尿 3 L/日超多尿を参照)

⭐ 尿量基準はクレアチニン基準より早くAKIを捉える。クレアチニンはGFRが落ちてから数日遅れて上がり、・輸液希釈・薬剤に影響される。時間尿を測ること自体が診断行為である。

⚠️ 乏尿がないことはAKIの否定にならない。 AKIはむしろ多く、クレアチニン上昇だけで進行する。逆には、カテーテル閉塞・利尿薬・測定漏れといった腎とな理由でも起こる。尿が出ていないのか、測れていないのかを最初に分ける。

まず閉塞を外す

⚠️ 乏尿の初動は次の順序で固定してよい。この3手は数分で終わり、そのすべてが治療につながる。

  1. があれば閉塞・屈曲・逸脱を確認する。フラッシュして尿が返れば、それで解決することがある。
  2. カテーテルがなければ膀胱内の尿量を超音波で測る。多量に貯まっていればで、が診断と治療を兼ねる。
  3. で水腎症を見る。両側性(またはの片側)ならである。

⚠️ 閉塞のごく早期や、で腎盂が拡張できない場合は、水腎症がなくても閉塞を否定できない。臨床的に強く疑うなら、超音波が陰性でもCTやへ進む。

⚠️ 閉塞に発熱・が加われば泌尿器救急である。閉塞した尿路の感染は抗菌薬だけでは制御できず、またはによる減圧を急ぐ。

腎前性・腎性・腎後性

分類 何が起きているか 手掛かり
腎実質は無傷で、が足りない 出血、下痢・嘔吐、熱傷、敗血症、心不全や肝硬変のうっ血、過度の、NSAIDs・RAS阻害薬
腎性 尿細管・糸球体・間質・血管そのものの障害 活動性の尿沈渣、蛋白尿、血尿、皮疹、CK上昇、・造影剤の曝露
尿の出口が塞がっている 、水腎症、・結石・腫瘍・

💡 と腎性は連続している。 が続けば虚血性のへ移行し、輸液では戻らなくなる。「か腎性か」を最初に決め切ろうとするより、是正できる循環要因を早く直すことが結果的に両者を分ける。

⚠️ 心不全・肝硬変では体液は過剰なのには不足している。浮腫があることは輸液不要の根拠にならず、逆に「だから輸液」と機械的に足せば肺水腫を作る。

尿で切り分ける

検査 らしい らしい
尿浸透圧 500 mOsm/kg超(濃縮できている) 350 mOsm/kg未満に近い)
20 mmol/L未満 40 mmol/L超
(FENa) 1%未満 2%超
35%未満 50%超
尿沈渣 正常かのみ

⚠️ FENaと尿浸透圧は補助所見にすぎない。 利尿薬使用中、CKD、敗血症、早期のでは腎性でもFENaが高く出たり低く出たりする。逆にでは腎実質の障害があってもFENaは低い。利尿薬下ではFEureaのほうが解釈しやすい。単独で・腎性を決めない。

⭐ 数値より尿沈渣のほうが診断価値が高いがあれば糸球体腎炎、と薬剤歴があれば間質性腎炎、ならと、機序が直接見える。を示唆する所見があれば、血清学的検査と腎生検を待たせない。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["尿量が0.5 mL/kg/時未満"] --> B["カテーテル開通と実測を確認"]
    B --> C{"膀胱に尿が貯まっているか"}
    C -->|"貯留あり"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lower urinary tract obstruction'>下部尿路閉塞</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='catheterization'>カテーテル留置</span>が診断かつ治療"]
    C -->|"貯留なし"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='renal and urinary tract ultrasonography'>腎尿路超音波</span>で水腎症を見る"]
    E --> F{"両側の水腎症があるか"}
    F -->|"あり"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postrenal'>腎後性</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='stent'>ステント</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nephrostomy'>腎瘻</span>で減圧<br>感染合併なら緊急"]
    F -->|"なし"| H["循環評価と尿検査・尿沈渣を同時に行う"]
    H --> I{"是正できる循環異常があるか"}
    I -->|"あり"| J["出血・脱水・敗血症・心拍出低下を治療"]
    I -->|"なし"| K["尿沈渣と全身所見で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrinsic renal'>腎実質性</span>を分類"]
    K --> L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='RBC casts'>赤血球円柱</span>・蛋白尿なら血清学的検査と腎生検を急ぐ"]
    J --> M["反応を再評価し、薬剤と体液<span class='jp-term jp-term-diagram' title='net yield'>収支</span>を見直す"]
    K --> M

治療で外してはいけない点

  • が疑われるときはを投与し、反応を見て次を決める。尿量・血圧・乳酸が改善しなければ、機械的に追加せず前提を疑う。
  • うっ血が主体なら輸液ではなく除水が正しい。、心エコー、所見で評価する。
  • を止め、残す薬はすべて現在の腎機能に合わせて用量を調整する。腎機能は日々動くので、一度合わせて終わりにしない。
  • ⚠️ の症状を和らげるが、AKIの予防・回復促進・透析回避の目的では用いない。低用量ドパミンやの腎保護目的の投与も行わない。尿が出ることと腎が治ることは別である。
  • 造影剤は避けられるなら避け、必要なら使う。造影剤を恐れて必要な画像診断を遅らせるほうが害になる場面が多い。

腎代替療法をいつ始めるか

⭐ 開始はクレアチニンやBUNの単一のでは決めない。変化の速度、内科治療への反応、回復の見込み、患者のを統合する。緊急適応は覚えておく。

適応 代表例
難治性の電解質異常 薬物治療に反応しない高カリウム血症、心電図変化を伴う高K血症
難治性の代謝性アシドーシス 原因治療と補正に反応しない重症アシドーシス
制御できない 利尿薬で改善しない肺水腫・低酸素血症
性合併症 、脳症、
透析可能な中毒 病態とから除去が有効な薬物・毒物

💡 AKIから回復してクレアチニンが元に戻っても、CKDと心の高リスク状態は残る。退院時に腎機能・薬剤・血圧の再評価時期を決め、およそ3か月後に腎機能とを確認する。

まとめ

  • 乏尿は成人で0.5 mL/kg/時未満。尿量基準はクレアチニン基準より早くAKIを捉える。
  • 乏尿がなくてもAKIは否定できず、がカテーテル閉塞や測定漏れのこともある。
  • 初動は「カテーテル開通 → 膀胱内の尿量 → 」。閉塞は解除すれば戻るので最初に外す。
  • 水腎症がなくても早期閉塞・では閉塞を否定できない。閉塞+発熱は
  • ・腎性・は順に除外するのではなく並行評価し、是正できる循環要因を先に直す。
  • FENa・尿浸透圧は利尿薬・CKD・敗血症で外れる補助所見。尿沈渣のほうが情報量が多い。
  • 浮腫があってもは不足しうる。輸液は反応を見ながら行い、うっ血には除水を選ぶ。
  • は症状管理には使えるが、AKIの回復目的には使わない。
  • は数値ではなく、治療抵抗性の電解質・酸塩基・体液・合併症で判断する。