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SCAI SHOCK分類

SCAI SHOCK classification

別名
SCAI心原性ショック分類SCAI shock stage
臓器系
循環器
科目
Intensive Therapy and Anesthesiology
トピック
麻酔科学 A-04:心原性ショック
構成:症状
低血圧意識障害乏尿毛細血管再充満時間の延長
構成:検査値
乳酸

🧠 全体像:SCAI SHOCK分類は、の重症度を血行動態の安定性・・治療への反応という臨床的なでA(リスクあり)からE(極限)まで5段階に動的に層別化する分類である。配点式のスコアではなく、身体所見・血行動態検査・の組み合わせで段階を判定するであり、ある時点のスナプショットだけでなく段階が上がっていく経過そのものを評価に含む点が特徴である。

目的と適用場面

内容
目的 の重症度を臨床像の推移として共通言語化し、治療強度(・・の追加)の判断とチーム内に使う
対象 が疑われる、または進行中の患者。CCU/での初期評価から治療経過中の再評価まで反復して用いる
使う場面 循環器・のが補助循環の導入・エスカレーションを検討するとき
評価しないもの ショックの病因そのもの(虚血性か非虚血性か)や年齢・などの危険因子——これらは後述の3軸モデルの別の軸が担う

もとは2019年にSCAI()が発表した統一見解で、A「リスクあり」、B「開始(前ショック)」、C「典型的」、D「悪化」、E「極限」の5段階の呼称を定めた1。2022年に検証研究を取り込んで改訂され、現行の一次資料(2026年版心不全ガイドライン等)はこの2022年改訂版を採用している2。

構成要素と病期

⭐ 配点を積み上げる採点式ではなく、身体所見・血行動態・の組み合わせでを判定する。

呼称 身体所見・血行動態 乳酸
A リスクあり 正常な、温暖で灌流良好。血行動態は正常域 正常
B 開始(前ショック) があり得るが、皮膚は温暖で灌流は保たれる。低血圧(低下やの顕著な低下)または頻脈を示すが、明らかな低灌流所見はない 正常のまま
C 典型的 の所見(皮膚・意識障害・乏尿・の延長など)があり、輸液以外の介入(・・)を要する。低下・上昇を示す血行動態検査が目安に挙がる 上昇(目安2 mmol/L以上)
D 悪化 Cに類似するが、初期の支持療法では灌流を回復できておらず悪化が進行中。の増量や補助循環の追加を要する 持続的に上昇
E 極限 が切迫または現実のもので、最大限の支持を行っても低血圧が続く。心停止に至ることもある 高値(目安8 mmol/Lを超える)

⚠️ BとCの境界(低灌流所見の有無)が最も重要なである。低血圧を伴わなくても低灌流所見があればC以上とみなし、低血圧はあっても灌流が保たれていればBにとどまる——低灌流のない低血圧より、低血圧のない低灌流のほうが死亡リスクが高いとされる3。

⭐ :会話に応じない、またはGlasgow Coma Scale 9未満でが懸念される心停止を伴う場合に付す。短時間の心停止からに正常な状態へ回復した例は対象としない3。

解釈と3軸モデル

が上がるほど死亡リスクは高いが、SCAI SHOCKは死亡を構成する1要素にすぎない。2022年改訂版が提示する3軸モデルは、①SCAI SHOCK(重症度)、②臨床表現型・病因(虚血性か非虚血性か、急性発症か慢性増悪のか)、③その他の危険因子(年齢、、心停止の有無、他臓器障害)を組み合わせて予後を評価する枠組みである3。

💡 段階は固定ではなくとして評価する。 治療への反応を反映してとともに段階は変化しうるため、単一時点の判定だけでなく、悪化しているか改善しているかというがチーム間の意思疎通と次の治療レベルの判断に重要とされる3。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 単独でを決めない。 SCAI SHOCKは重症度の1軸にすぎず、病因・表現型・危険因子と合わせた3軸モデルの中で解釈する3。

⚠️ Dの判定に固定の時間基準はない。 2019年の原版は「少なくとも30分の観察後の」という時間規定を置いていたが、2022年改訂版の全文にはこの分単位の規定が明記されておらず、悪化の経過()そのものを重視する記述に変わっている3。

⚠️ 乳酸の閾値(C相当で2 mmol/L以上など)はあくまで目安であり、やなどショック以外の原因でも乳酸は上昇しうる。

まとめ

  • SCAI SHOCK分類はの重症度を身体所見・血行動態・の組み合わせでA(リスクあり)〜E(極限)の5段階に分けるであり、配点式のスコアではない。
  • B(だが)とC()の境界が最も重要で、低灌流の有無が鍵になる。
  • 2022年改訂版は、重症度・臨床表現型/病因・危険因子を組み合わせる3軸モデルを導入し、段階を単一時点でなくとして評価する。
  • 心停止は昏睡・ 9未満でが懸念される場合に付し、短時間でに正常化した心停止は対象外とする。
  • 2019年原版の「30分以上の観察」という時間規定は2022年改訂版では明記されなくなっている。

出典

  1. 1.SCAI clinical expert consensus statement on the classification of cardiogenic shock: This document was endorsed by the American College of Cardiology (ACC), the American Heart Association (AHA), the Society of Critical Care Medicine (SCCM), and the Society of Thoracic Surgeons (STS) in April 2019(Society for Cardiovascular Angiography and Interventions・2019)抄録のみ閲覧(全文は非OA)。逐語は"Stage A is 'at risk' for cardiogenic shock, stage B is 'beginning' shock, stage C is 'classic' cardiogenic shock, stage D is 'deteriorating', and E is 'extremis'"および"The difference between stages B and C is the presence of hypoperfusion which is present in stages C and higher. Stage D implies that the initial set of interventions chosen have not restored stability and adequate perfusion despite at least 30 minutes of observation"。この原版(2019年)がA〜Eの5段階呼称を定めた初出であり、ステージDに「30分以上の観察後」という時間規定を置いていたこと(2022年改訂版ではこの時間規定が明記されなくなったこと)の対比に用いる。閲覧 2026-09-22
  2. 2.2026 ESC Guidelines for the management of heart failure(European Society of Cardiology・2026)本文全文(Wayback Machineのid_付き出版社ページ、20260910061149、HTTP 200)を取得し、表13がSCAI分類の5段階を掲げていること、引用する参照479がNaidu SSほかJ Am Coll Cardiol 2022;79:933-46(10.1016/j.jacc.2022.01.018=2022年改訂版と同一の統一見解のJACC併載版)であることを確認した。現行のESC心不全ガイドラインが2019年の原版ではなく2022年改訂版のSCAI分類を採用していることの根拠として用いる。閲覧 2026-09-22
  3. 3.SCAI SHOCK Stage Classification Expert Consensus Update: A Review and Incorporation of Validation Studies(Society for Cardiovascular Angiography and Interventions・2022)PMC11308837の全文(Europe PMCのfullTextXML、HTTP 200)を取得し、Table 3のステージ別定義を確認した。ステージAは「現在CSの徴候がないがリスクがある」で身体所見は正常JVP・温暖で灌流良好、乳酸は正常、収縮期血圧は目安100 mmHg以上。ステージBは「血行動態不安定の臨床的証拠があるが灌流不全はない」で、JVP上昇はあり得るが温暖で灌流は保たれ、乳酸は正常のまま収縮期血圧<90 mmHgまたは平均血圧の30 mmHg超の低下、あるいは頻脈≥100/分を示す。ステージCは「灌流不全を示し、輸液以外の介入を要する」で、乳酸≥2 mmol/Lと血行動態検査での心係数低下・肺動脈楔入圧上昇が目安に挙がる。ステージDは「ステージCに類似するが悪化しており、初期の支持療法では灌流を回復できていない」状態で、乳酸の持続的上昇と昇圧薬の増量・補助循環の追加を要する。ステージEは「循環虚脱の切迫または現実」で乳酸は高値(目安8 mmol/L以上)、最大限の支持下でも低血圧が続く。また"The SCAI SHOCK stage is an indication of shock severity and comprises one component of mortality risk prediction in patients with CS, along with etiology/phenotype and other risk modifiers; a 3-axis model of risk stratification in CS has been proposed to position the SCAI SHOCK stage in context."として、重症度ステージ・臨床表現型/病因・その他の危険因子修飾因子を組み合わせる3軸モデルを提示する。心停止修飾因子は"Cardiac arrest (CA) as described herein relates to that accompanied by coma, defined as the inability to respond to verbal stimuli, most commonly associated with Glasgow Coma Scale <9, where there is concern for significant anoxic brain injury."と定義し、短時間で神経学的に正常化した心停止は対象外とする。ステージB・Cの境界について"The distinction between SCAI SHOCK stage B (hemodynamic instability with preserved perfusion, ie, preshock) and SCAI SHOCK stage C (hypoperfusion with or without overt hemodynamic instability, ie, classic shock) is critical."および"Patients with hypoperfusion in the absence of hypotension are at higher risk of dying than patients with hypotension and preserved perfusion."と述べる。全文に"minute"は0件で、2019年版にあった「ステージDは30分以上の観察後の治療失敗」という時間規定は本改訂版では明記されていない。閲覧 2026-09-22