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Disease Atlas · 全身 · 症候群

腎肺症候群

Pulmonary-renal syndrome

臓器系
全身腎・泌尿器呼吸器
科目
PathologyInternal MedicineHistopathology
トピック
病理学 C/61:急速進行性糸球体腎炎内科学 S-19:急性・急速進行性・慢性糸球体腎炎内科学 R-07:小血管炎組織病理 H2-058A:急速進行性糸球体腎炎
関連疾患
ANCA関連血管炎抗リン脂質抗体症候群抗GBM病(グッドパスチャー症候群)全身性エリテマトーデス
治療薬
メチルプレドニゾロン
症状
喀血血尿乏尿呼吸困難
検査値
活動性尿沈渣腎生検
画像所見
肺胞出血すりガラス影

🧠 全体像は単一の疾患名ではなく、が同時に起こる病態の総称である。原因は多岐にわたるが、幹となるのは「原因疾患の同定を待たずに治療を始めなければならない救急」という一点に尽きる——喀血血尿・急速なCr上昇の組み合わせをみたら、血清学的検査・腎生検の結果を待たずステロイドから治療を開始し、原因が判明し次第そこへ合わせていく。・ANCA関連血管炎という2大原因は互いに排他的ではなく、両抗体が陽性のが一定数存在する点も見落とせない。

定義

  • 喀血・低酸素血症)と(RPGN:血尿乏尿・急速な腎機能低下)が同時またはやや前後して出現する病態の総称1
  • 病理学的な共通項は、肺胞毛細血管と糸球体毛細血管という2つのが同じ機序で同時に傷害されることにある。両者はいずれも基底膜を持つ毛細血管であり、自己抗体や免疫複合体・が両方のを同時に標的にしうる。

原因の内訳

原因 特徴
ANCA関連血管炎 ANCA関連血管炎)。pauci-immune型()の
NC1ドメインに対する自己抗体がを直接攻撃する、の「原型」とされる疾患1
SLE によるに肺胞出血が重なる
その他 薬剤性、感染、など

の「原型」とされる一方、実地で遭遇する原因は疾患によって幅がある1。個々の患者で特定の原因を決め打ちせず、血清学的検査で確認する。

診断の進め方

flowchart TD
    A["喀血・低酸素・貧血が進行"] --> B["胸部CT:びまん性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ground-glass opacity'>すりガラス影</span>を確認"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchoalveolar lavage (BAL)'>気管支肺胞洗浄</span>"]
    C --> D["血性洗浄液が回収液ごとに濃くなる<br>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemosiderin-laden macrophage'>ヘモジデリン貪食マクロファージ</span>"]
    D --> E["肺胞出血を確定"]
    E --> F["ANCA・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-GBM antibody'>抗GBM抗体</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antinuclear antibody, ANA'>抗核抗体</span>を同時に提出"]
    F --> G["尿沈渣・Cr・腎機能を並行評価"]
    G --> H["腎生検"]
    H --> I["原因疾患を確定し治療を合わせる"]
  • 血性の洗浄液が、採取を重ねるごとに濃くなっていく所見と、を貪食したマクロファージの存在が、を確定する所見である1
  • 血清学的検査:ANCA(PR3・MPO)、(抗dsDNA抗体を含む)を同時に提出する。 原因を一つに決め打ちして検査を絞らない1
  • 腎生検: の有無・パターン(線状/)を確認し、原因疾患を確定する。

⚠️ ANCAとが両方陽性の例がある。 欧州4施設のコホートでは、患者の47%がANCAにも陽性で、ANCA関連血管炎患者のうちも陽性だった割合は6.1%(施設により3〜10.5%)に達した2。一方の抗体が陽性だったからといって他方の検査を省略しない。

治療

⚠️ は治療開始の遅れが不可逆的な腎不全に直結する。 進行が極めて速いため、血清抗体・腎生検の結果を待たずに、を中心とした免疫を開始する判断が要る1が強く疑われる状況ではを併用することが多く、これは病因が確定してからでは間に合わない可能性を踏まえた判断である。

原因が確定した後は、それぞれの疾患に応じた治療(ANCA関連血管炎ならリツキシマブまたはならなど)へ合わせていくが、初期対応の骨格は「診断確定を待たない」という一点にある。

まとめ

  • が同時に起こる病態の総称で、原因疾患の同定を待たずに治療を始めなければならない救急である。
  • 原因はANCA関連血管炎、、原型とされる)、SLE、その他(薬剤性・感染・)に整理できる。
  • 診断は(血性洗浄液が採取ごとに濃くなる所見+)とANCA・の同時提出、腎生検で進める。
  • ANCAと例が一定数存在し、一方が陽性でも他方の検査を省略しない。
  • は治療開始の遅れが不可逆的腎不全に直結するため、抗体結果を待たずパルスステロイド・を含む治療を開始する判断が要る。

出典

  1. 1.Pulmonary-Renal Syndrome(Merck Manual Professional Edition・2025)腎肺症候群がびまん性肺胞出血+糸球体腎炎(しばしば同時発生だが数週〜数か月ずれることもある)と定義されること、原因として抗GBM病が「原型」とされ多発血管炎性肉芽腫症・顕微鏡的多発血管炎・全身性エリテマトーデス・IgA血管炎などが続くこと、気管支肺胞洗浄で回収液が採取を重ねるごとに血性が強まる所見とヘモジデリン貪食マクロファージが肺胞出血を示すこと、血清自己抗体検査(抗GBM抗体・抗dsDNA抗体・PR3/MPO-ANCA)が原因の鑑別に役立つこと、治療は病因確定を待たずパルス静注メチルプレドニゾロンから開始され抗GBM病では特に血漿交換が併用されることを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Patients double-seropositive for ANCA and anti-GBM antibodies have varied renal survival, frequency of relapse, and outcomes compared to single-seropositive patients(Kidney International(McAdoo SP, et al.)・2017)欧州4施設の後ろ向きコホートで、抗GBM病患者の47%がANCAにも陽性(二重陽性)であったこと、ANCA関連血管炎患者のうち抗GBM抗体も陽性だった割合は6.1%(施設により3〜10.5%)であったこと、この頻度の高さから全てのANCA関連血管炎例・抗GBM病例で両抗体を確認する必要性が示されたことをResults・Discussionで確認した。閲覧 2026-08-11