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Lab values · Published

腎生検

Renal biopsy

別名
腎臓生検kidney biopsy
臓器系
腎・泌尿器
科目
PathologyHistopathology
トピック
病理学 C/61:急速進行性糸球体腎炎(RPGN)病理学 C/58:糸球体疾患の発症機序組織病理 H1-063:ループス腎炎組織病理 H2-058A:急速進行性糸球体腎炎
関連疾患
ANCA関連血管炎IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)IgA腎症顕微鏡的多発血管炎抗糸球体基底膜病(グッドパスチャー症候群)腎肺症候群全身性エリテマトーデス多発血管炎性肉芽腫症膜性腎症膜性増殖性糸球体腎炎溶連菌感染後糸球体腎炎

🧠 全体像:腎生検は単一の数値を返す検査ではなく、採取した腎組織をという3つの独立した手法で読み、揃って初めて病型が決まる検査である。中心にあるのは線状・という3パターンで、これがRPGNのI〜III型分類にそのまま対応する。(上皮下・内皮下・)はRPGN以外のの糸球体疾患も鑑別する。出血が最大の合併症で、コントロール不良の高血圧や是正できないは禁忌に直結する。

何を測っているか

腎生検は3本柱それぞれが異なる情報を出す。1つだけでは病型を決められないことが多く、光顕・を揃えて初めて診断になる。

検体は超音波で採取し、皮質を含み糸球体が少なくとも10個含まれることが最適な診断の目安とされる1。採取した組織はこの3手法に分割して割り当てるため、総量が少ないとどれか1手法だけがになりうる。

flowchart TD
    A["適応を確認し腎生検を施行"] --> B["超音波<span class='jp-term jp-term-diagram' title='-guided (image-guided)'>ガイド下</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='needle biopsy'>針生検</span><br>皮質を含む組織を採取"]
    B --> C["検体を3手法へ分割"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='light microscopy, LM'>光学顕微鏡</span>"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunofluorescence'>蛍光抗体法</span>"]
    C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='electron microscopy, EM'>電子顕微鏡</span>"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crescent'>半月体</span>の有無・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phase'>時相</span><br>分布・硬化度を評価"]
    E --> H["線状・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granular'>顆粒状</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pauci-immune'>無沈着</span>の<br>沈着パターンを判定"]
    F --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='site of deposition'>沈着部位</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ultrastructure'>超微形態</span>を確認"]
    G --> J["3手法を統合し病型を診断"]
    H --> J
    I --> J

適応と検体の要件

腎生検は「」を持たない検査で、代わりにどの臨床像で行うかが問われる。

臨床像 生検を検討する場面
血清抗体だけでは診断が完結しない例(陰性の膜性パターンなど)
原因不明の など他の検査で説明がつかないとき
RPGN疑い +急速なクレアチニン上昇
+蛋白尿 、または進行性のeGFR低下を伴うとき
疑い、原因不明の腎機能悪化

行わない場合もある。陽性の典型的なでは、生検を省略してと診断できる2。血清学だけで診断が確定しが変わらない場面では、出血リスクに見合う追加情報が得られない。

所見の読み方

3本柱それぞれが見るものは異なる。

手法 何を見るか 代表的所見
糸球体の分布(/びまん性)、の有無と、壊死、硬化度 (細胞性→性→線維性)、
免疫グロブリン・補体の沈着パターン 線状/
の状態 上皮下・内皮下・

の3パターンは、RPGNの病因型分類とそのまま対応する。

型と機序の詳細は病理 C/61:と免疫機序の対応は病理 C/58:糸球体疾患のを参照。

は、RPGN以外のの糸球体疾患を鑑別する手掛かりでもある。

代表疾患
上皮下
内皮下
IgA腎症

は光顕・を組み合わせてのclass I〜VIに割り付ける代表例で、3本柱を1病名の中で使い分ける典型を示す H1-063:

⚠️ 合併症と禁忌(測定上の注意)

出血が最大の合併症である。 2〜16%、輸血を要する出血2%未満、11〜33%、0.5〜10%、死亡0.03〜0.06%と報告される2

区分 主な内容
コントロール不良の高血圧、是正できない、指示に従えない患者
、嚢胞腎、重度貧血、内服中(を検討)

⚠️ が取れないときはを選ぶ。 を是正できない緊急例などが対象で、被膜を介さず系へ出血をドレナージできる利点がある2

⚠️ 検体不足によるも測定上の限界である。 診断には10個以上の糸球体が望ましく、10個未満は採取不十分とされる1の病変ほど、採れた糸球体に病変が含まれず見逃される可能性が高くなる。3手法へ検体を分割する都合上、光顕には十分でも用の組織が不足し、一部の手法だけになることもある。

経時変化とモニタリング

腎生検は一時点の形態評価であり、クレアチニンのように値の推移を追う検査ではない。同じ患者を繰り返し生検する場面は限られる。

  • のクラス変化:治療反応不良や時、病型がIII/IV型からV型へ、あるいは活動性優位から慢性化優位へ移った疑いがあるときにを検討する。2018年改訂のは活動性・の定義を明確化しており、版を確認して評価する3
  • を示唆する症状がなくても、一定間隔で生検し無症候性のを早期に拾う施設があり、の有無・程度はBanff分類で評価する。

まとめ

  • 腎生検はの3本柱で読む検査で、揃って初めて病型が決まる。
  • の線状・はRPGNのI〜III型にそのまま対応し、代表疾患とを左右する。
  • (上皮下・内皮下・)は/MPGN・IgA腎症の鑑別に使う。
  • 出血が最大の合併症で、コントロール不良の高血圧・是正できない・嚢胞腎はにあたる。が取れなければを検討する。
  • 糸球体数が不足するとになりうる。のクラス変化や評価ではを行う。

出典

  1. 1.Renal Biopsy for Diagnosis in Kidney Disease: Indication, Technique, and Safety(Journal of Clinical Medicine (Schnuelle P)・2023)腎生検の適応(ネフローゼ症候群、活動性尿沈渣を伴う急速な腎機能悪化、全身疾患の腎病変疑い、移植腎の拒絶反応評価など)と、抗PLA2R抗体陽性の典型的ネフローゼ症候群では生検を省略しうること、絶対禁忌(是正できない凝固障害・コントロール不良高血圧140/90mmHg超)と相対禁忌(単腎、重度貧血など)、合併症の頻度(肉眼的血尿2〜16%・輸血を要する出血2%未満・腎周囲血腫11〜33%・動静脈瘻0.5〜10%・死亡0.03〜0.06%)、経頸静脈的腎生検の診断成功率97%・重篤出血2.6%という報告を確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Factors Associated with Glomerular Yield in Percutaneous Kidney Biopsy(Journal of Clinical Medicine (Torigoe K, et al.)・2023)最適な診断には腎生検の検体に糸球体が少なくとも10個含まれることが望ましいとされ、10個未満は不十分な採取と定義されていることを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Revision of the International Society of Nephrology/Renal Pathology Society classification for lupus nephritis: clarification of definitions, and modified National Institutes of Health activity and chronicity indices(Kidney International(ISN/RPS国際腎病理ワーキンググループ、Bajema IM, et al.)・2018)2018年にISN/RPSのループス腎炎分類が改訂され、細胞性・線維細胞性・線維性半月体などの定義が明確化されたこと、クラスIII/IVの活動性・慢性化指標が改訂されIV-S/IV-G細分類が廃止されたことをアブストラクトで確認した。閲覧 2026-08-04