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Symptoms · Published

血尿

Hematuria

臓器系
腎・泌尿器
科目
UrologyInternal Medicine
トピック
泌尿器科学 N-11:血尿内科学 N-03:腎疾患の鑑別診断泌尿器科学 U-08:泌尿器科救急疾患
関連疾患
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーンライン紫斑病)IgA腎症アルポート症候群シスチン尿症ネフリティック症候群横紋筋肉腫急性・慢性尿細管間質性腎炎血管炎(大血管炎・中血管炎・小血管炎)血友病A・B顕微鏡的多発血管炎抗糸球体基底膜病(グッドパスチャー症候群)子宮内膜症・子宮腺筋症子宮破裂住血吸虫症常染色体優性多発性嚢胞腎腎梗塞腎細胞癌腎肺症候群前立腺癌前立腺肥大症全身性エリテマトーデス巣状分節性糸球体硬化症多発血管炎性肉芽腫症尿路感染症尿路結石症泌尿生殖器外傷膜性増殖性糸球体腎炎慢性腎臓病溶連菌感染後糸球体腎炎膀胱癌
スコア
出血評価ツール(ISTH-BAT)

🧠 全体像:血尿の診療は2つの問いを順に解くだけである。①本当に血尿か——赤い尿も試験紙陽性も、血尿と同義ではない。②糸球体から出ているのか、尿路のどこかから出ているのか——この一点で腎臓内科へ渡すか泌尿器科へ渡すかが決まる。量の多少は原因の重さを表さない。わずかなが進行性の糸球体疾患であることもあれば、真っ赤な尿が良性の結石のこともある。血尿は正常所見ではなく、説明がつくまで説明済みにしない。

まず本当に血尿かを確かめる

⚠️ 反応は活性を検出するため、赤血球だけでなくにもにも陽性になる。試験紙陽性なら必ず 尿沈渣 で赤血球そのものを確認する。

所見 考えること
試験紙陽性・沈渣に赤血球あり 真の血尿。②の切り分けへ進む
試験紙陽性・沈渣に赤血球なし )または)。CK、LDH、で切る
試験紙陰性・尿が赤い 血液ではない着色。薬剤・食品・内因性色素を疑う

💡 尿をすると方向が決まる。が赤いままならか色素、赤が沈めば赤血球である。

尿を赤〜褐色にする血液以外の原因 補足
リファンピシン 橙〜赤。涙・汗も着色するので服を聞けば分かる
などの尿路 橙赤色。試験紙の色調判読そのものを妨げる
ビート、ブラックベリー、ルバーブ 食事歴を聞かないと出てこない
放置すると暗色化するものがある
・性器出血の混入 女性ではまず除外する。月経を外して再検する

⚠️ を血尿として泌尿器科的に精査すると、へ向かうを見落とす。筋痛、長時間の不動、痙攣、外傷、薬剤の病歴があれば先にCKを測る。

糸球体性か非糸球体性か

⭐ ここが血尿診療で最も効率のよい分岐である。渡す先の科と、次に出す検査が丸ごと変わる。

手掛かり (尿路性)
赤血球の形態 、特に 均一な形の赤血球
円柱 があれば糸球体腎炎をほぼ確定 認めない
蛋白尿 アルブミン優位で有意 ないか、出血量に見合う程度
作らない 作りうる
尿の色調 コーラ色〜紅茶色 色〜ピンク
痛み 通常は無痛 疝痛、を伴うことがある
併存所見 高血圧、浮腫、eGFR低下 痛、腫瘤

💡 を強く否定する。 を通る間にで線溶されるためで、患者が「レバーのような塊が出た」と言えば出血源は尿路側にある。

⚠️ 逆は成り立たない。がないことはの証明にならない。 出血量が少なければ尿路性でも塊はできない。

flowchart TD
    A["赤い尿・試験紙陽性"] --> B{"沈渣に赤血球があるか"}
    B -->|"ない"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemoglobinuria'>ヘモグロビン尿</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myoglobinuria'>ミオグロビン尿</span><br>色素・薬剤・食品による着色を鑑別"]
    B -->|"ある"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dysmorphic RBCs'>変形赤血球</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='RBC casts'>赤血球円柱</span><br>有意な蛋白尿があるか"}
    D -->|"ある"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glomerular'>糸球体性</span><br>血圧・腎機能・血清学・腎生検の検討へ"]
    D -->|"ない"| F{"肉眼的か顕微鏡的か"}
    F -->|"肉眼的"| G["尿路悪性腫瘍として扱い<br>画像と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cystoscope'>膀胱鏡</span>へ"]
    F -->|"顕微鏡的"| H["再検で持続を確認し<br>リスクに応じて精査の強度を決める"]

「説明済み」にしてはいけない場面

⚠️ 血尿は説明が付きやすい症状で、そこが最大の落とし穴になる。

よくある説明 なぜそこで止まってはいけないか
抗凝固薬・を飲んでいるから 治療域の抗凝固は血尿を起こさない。出血しやすくなったことで背後の病変が顕在化したと考える。精査の適応は非内服例と変わらない
尿路感染症だから 治療して血尿が消えることを確認して初めて説明になる。持続するなら別の原因がある
激しい運動の後だから 運動後血尿は数日で消える。安静後の再検で消えなければ運動のせいではない
月経中だから 月経を外して再検する。混入と決めつけない
があるから 結石は血尿を説明しうるが、同時に腫瘍がないことまでは意味しない

⭐ 共通する一手は、一過性要因を疑ったらそれを取り除いて再検し、消えることを確認することである。消えなければその要因は原因ではなかった。

問診と初期評価で決めること

聞くこと 何が決まるか
排尿のどの時期に出るか 初期血尿は尿道、・三角部・前立腺、は膀胱以深
痛みを伴うか 無痛性は悪性腫瘍、疝痛は結石、と頻尿は感染を示唆
喫煙、 のリスク
との時間関係 感染とほぼ同時ならIgA腎症、1〜3週の潜伏を置くなら
家族歴(血尿・難聴・若年発症の腎不全) 遺伝性の
への渡航・居住歴 と、それに続く

初期検査は尿沈渣、尿蛋白またはアルブミンのクレアチニン比、、血圧測定、必要に応じて尿培養。ここまででかどうかの見当がつく。

⚠️ 血尿の量と病変の重さは相関しない。 ではのような重症損傷でも血尿がごく軽微なことがあり、画像検査の適応は血尿の程度ではなくと身体所見で決める。

まとめ

  • 血尿の診療は「本当に血尿か」「か非か」の2問に還元できる。
  • 試験紙はヘモグロビンにもにも陽性。沈渣で赤血球を見て初めて血尿と言える。
  • 赤い尿でも試験紙が陰性なら、薬剤・食品・内因性色素による着色を考える。
  • ・有意な蛋白尿・なしで捉える。
  • があれば出血源は尿路側。ないことはの証明にならない。
  • 抗凝固薬・感染・運動・月経で説明を止めず、要因を除いて再検し消えることを確認する。
  • 血尿の量は病変の重さを表さない。少ない血尿ほど安全ということはない。