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Imaging findings · Published

肺胞出血

Alveolar hemorrhage

別名
びまん性肺胞出血DAH
臓器系
呼吸器免疫・膠原病
科目
Internal MedicinePathologyHistopathology
トピック
内科学 S-47:血管炎内科学 R-07:小血管炎病理学 C/61:急速進行性糸球体腎炎(RPGN)組織病理 H1-034:肺褐色硬化
関連疾患
ANCA関連血管炎顕微鏡的多発血管炎抗糸球体基底膜病(グッドパスチャー症候群)腎肺症候群多発血管炎性肉芽腫症

🧠 全体像(DAH)の教科書的な三徴——喀血・進行する貧血・——はそろわないことの方が多い。喀血を欠く例は約3分の1にのぼり1、喀血が無いことは否定の根拠にならない。このノートの役割は、両側びまん性のを見たときに「出血が原因かもしれない」と気づくことと、確定診断を急ぐより先に(血管炎)・凝固異常・のどれかを時間単位で切り分ける枠組みを持つことである。原因がであれば治療開始の遅れが臓器障害に直結するため、鑑別は分刻みで動く。

所見の定義

を血液が占拠することで生じる、両側性・びまん性のである。という親概念のうち、「出血」という単一の機序で生じたものとして、の一段下に位置づく。

  • 分布は末梢野より中周囲)に多いことが報告されている2
  • ごく早期にはとして始まり、出血量が増えるにつれて癒合してになる
  • 急性期を過ぎると血液の吸収に伴い、を伴うへ移行する
  • 反復すると線維化・気管支拡張を残しうる。とくにで報告される1

モダリティと写り方

写り方 特徴
胸部X線 両側性の斑状〜びまん性陰影 一部の症例では正常〜にとどまり、CTで初めてが確認されることがある2
CT 、進行例で X線より高感度で、X線が正常でも疑いが強ければ確認する2

も手掛かりになる。急性の出血なら陰影の大部分は数日〜数週で吸収され、その速さは肺水腫より遅く肺炎より速い1。同じ部位への反復出血や遷延する陰影は、感染への進展やそのものの持続を疑わせる。

確定の手順

⭐ 画像だけでは肺水腫・肺炎と区別できない。決め手はである。同一区域から連続採取した検体で、後になるほど血性度が増すことは急性のを強く示唆する3

(全マクロファージの20%以上)は・慢性の出血を裏づけるが、急性期にはまだ出現していないことがあり、BAL液の血性度そのものの変化の方が先に現れる1

は診断に必須ではない。 の診断精度は低く、でもが確認できるのはGPAの17〜43%にとどまる。生検のリスクが利益を上回ることが多く、臨床像・画像・を統合した非生検的な診断が実務の中心である1

の裏づけとして、ヘモグロビンの進行性低下と、の上昇を確認する。にたまった血液もCOと結合するため、肺実質そのものは傷んでいなくても見かけ上DLCOが上がる。他の疾患ではまず見られない所見であり、拾えれば価値が高い。

原因を絞る軸

機序 代表疾患
そのものが破壊される ANCA関連血管炎IgA血管炎
出血のみ(を伴わない) 血管壁は保たれたまま上昇・止血機能低下で漏出する 、抗凝固薬・
を伴う 肺胞上皮・の広範な傷害の一部として出血する 、薬剤性、感染

3群のうち上2つはの有無で区別される概念で、臨床像・血清学・生検所見で見分ける。3群目は原疾患(DADの原因)そのものの治療が主軸になり、出血は随伴所見として扱う。

評価の進め方

flowchart TD
    A["両側びまん性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ground-glass opacity'>すりガラス影</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='consolidation'>コンソリデーション</span>を指摘"] --> B["過去画像と比較<br>新規・急速な変化かを確認"]
    B --> C["酸素化・循環を安定化しながら<br>喀血・貧血進行の有無を確認"]
    C --> D["Hb・DLCOで裏づけ<br>可能ならBALを計画"]
    D --> E{"血尿・Cr上昇など<br>腎症状を伴うか"}
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary-renal syndrome'>肺腎症候群</span>として<br>ANCA・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-GBM antibody'>抗GBM抗体</span>を緊急評価"]
    E -->|"なし"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiogenic'>心原性</span>・凝固異常・薬剤・<br>感染・DADの原因を評価"]
    F --> H["血管炎の診療チームと連携し<br>時間単位で治療開始を判断"]
    G --> I["原因に応じた治療と<br>BAL・生検の要否を判断"]

過去画像との比較は分布の変化を裏づける、単純だが重要な情報になる。 腎症状を伴う組合せ()はANCA関連血管炎・を強く示唆し、血清学的検査の結果を待たずに治療開始を検討する対象になる。

⚠️ 紛らわしいもの

  • 肺水腫拡大・胸水・が優位で、Hbは通常低下しない。既往、心エコー、利尿薬への反応で区別する
  • :免疫不全者の両側という点で重なるが、貧血の進行やDLCO上昇は伴わない
  • :慢性の両側を伴う点が似るが、経過は緩徐で貧血を伴わない
  • :急性の低酸素血症とびまん性陰影を来す点が重なるが、末梢血・BAL液の好酸球増多で区別する
  • 造影剤・輸血関連の:直近の造影剤投与歴・輸血歴を必ず確認する。時間的な関連が最大の手掛かりになる

まとめ

  • 喀血・貧血進行・びまん性肺陰影の三徴はそろわないことの方が多く、喀血の欠如だけで否定しない
  • 分布は中優位のことが多く、からへとで変化する
  • 確定の決め手はBALでの血性度の増加で、は必須ではない。Hb低下とDLCO上昇がの裏づけになる
  • 原因は・出血のみ(を伴わない)・を伴うものの3群に整理し、腎症状の有無でと検査の優先順位を変える
  • などを鑑別に挙げる

出典

  1. 1.Update on Diffuse Alveolar Hemorrhage and Pulmonary Vasculitis(Immunology and Allergy Clinics of North America(Krause ML, Cartin-Ceba R, Specks U, Peikert T、Immunol Allergy Clin North Am 2012;32(4):587-600、DOI: 10.1016/j.iac.2012.08.001)・2012)約3分の1の患者は喀血を欠くこと、急性期の連続BAL検体は血性度が増していくがヘモジデリン貪食マクロファージ(全マクロファージの20%以上)の出現はそれに先行しないことがあること、経気管支生検の診断精度は低く外科的生検でもGPAの17〜43%でしか毛細血管炎が確認できずリスクが利益を上回ることが多いため非生検的な診断が実務の中心であること、放射線学的異常の吸収は肺水腫より遅く肺炎より速いこと、顕微鏡的多発血管炎では反復する出血が線維化・気管支拡張を残しうることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline: The Clinical Utility of Bronchoalveolar Lavage Cellular Analysis in Interstitial Lung Disease(American Thoracic Society(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine; Meyer KC, Raghu G, Baughman RP, et al.、Am J Respir Crit Care Med 2012;185(9):1004-1014、DOI: 10.1164/rccm.201202-0320ST)・2012)連続採取したBAL検体が後になるほど血性度を増して返ってくることは急性のびまん性肺胞出血を示す所見であり、ヘモジデリン貪食マクロファージ・遊離赤血球の優位な所見は慢性・潜在性の肺胞出血症候群(肺ヘモジデローシスやびまん性肺胞傷害)を示唆するとされていることを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Radiological aspects of diffuse alveolar haemorrhage(Radiologia Medica(Cortese G, Nicali R, Placido R, Gariazzo G, Anrò P、Radiol Med 2008;113(1):16-28、DOI: 10.1007/s11547-008-0229-x)・2008)びまん性肺胞出血23エピソード(20例)を後ろ向きに検討したところ陰影は末梢野より中肺野に多く分布したこと(73%)、多発血管炎性肉芽腫症の4例で胸部X線が正常〜結節影にとどまり、そのうち2例でCTがすりガラス影を検出したこと、CTがすりガラス影の検出において胸部X線より高感度でありX線所見が正常でも疑いが強ければCTが必要とされることを確認した。閲覧 2026-08-04