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Imaging findings · Published

敷石状パターン

Crazy-paving pattern

別名
クレイジーペービング
臓器系
呼吸器
科目
Pulmonology and Thoracic SurgeryInternal Medicine
トピック
呼吸器内科 13:呼吸器領域の画像診断法内科学 S-05:間質性肺疾患
関連疾患
Still肺病変癌性リンパ管症肺胞蛋白症肺胞微石症類脂質性肺炎

🧠 全体像:は、を背景にが重なった形態記述である。⭐ 幹は「が埋まる()+線が引かれる(隔壁・小葉内間質の肥厚、または内への物質の)」の2層で、この2層は別々の病態でも同時に起こりうる。かつてに特異的とされたが現在は非特異的所見であり12、⚠️ 「=」と読んだ時点でが始まる。 で決めるのは病名ではなく、発症速度・免疫状態・貧血の有無・分布という次の一手を選ぶ4軸である。

⚠️ の別所見がある。 Crohn病の内視鏡でみる、のにできるの、の表面などは、いずれも肉眼・内視鏡・組織の記述であって、このノートが扱うのとはである。「敷石」という語だけで結び付けない。

定義

()で、の領域にが重畳し、不規則な形の敷石を並べたように見える所見を指す1。2つの成分に分けて読む。

成分 実体 病理学的な意味
背景の のがわずかに減る が液体・細胞・物質で埋まる、または・間質が肥厚する
重畳する ①の肥厚()②小葉内隔壁・小葉内間質の肥厚(小葉内・小葉内分枝線)③腺房との辺縁で内に物質が線状に沈着したもの(腺房周囲パターン) 液体貯留・細胞浸潤・線維化、あるいは充満の縁取り1

⭐ 線=とは限らない。 固定した摘出肺20例の検討では、12例(60%)での領域内にの肥厚が無かった2。線の正体は小葉内間質や腺房周囲の沈着でもよく、同じ検討で病理学的基盤は充満性10例・性7例・両者の組み合わせ3例に分かれている2。

💡 だから「肺胞の病気か間質の病気か」をだけで決められない。 この所見は両者にまたがるのが本質であって、どちらかに寄せる情報は臨床側から持ってくる。

モダリティと写り方

検査 見え方と役割
濃度上昇ととしてしか写らない。という判定はできない
・ 判定の場。背景のと重畳する線を分離し、線の種類・分布・随伴所見を評価する
造影CT 所見の判定には不要。腫瘍・リンパ節・血管病変・肺塞栓を同時に評価する必要があるときに追加する

⚠️ 通常厚のスライスでは、で背景がに見えるだけのことがある。 再構成と連続断面で線の走行を追ってから判定する。

何を並べて考えるか

原因は急性と亜急性・慢性に大別すると整理しやすい1。

経過 挙がる病態
急性 肺水腫、肺感染症(細菌性・ウイルス性・・)、肺胞出血、急性、、、、腫瘍、脂質性肺炎、誤嚥
亜急性・慢性 ()、、、、血管炎、、、、

⭐ 教科書の代表疾患と、実際にこの所見に出会う原因は一致しない。 単施設で1年間にと報告された98例の内訳は、感染症27例・16例・6例・5例がで、は1例だけだった(原因未確定32例)1。⚠️ 単施設の後ろ向き集計で母集団に偏りがあり、そのまま一般人口の頻度としては読めないが、「代表疾患=最多の原因ではない」という向きは押さえておく。

も実地の入口になる。肺炎81例の記述研究では、65%・35%に対しは8例(10%)で、著者らは所見のいずれも特異的でも診断的でもないと結んでいる3。

評価の進め方

⭐ 軸は4つ——発症速度・免疫状態・貧血の有無・分布。 前の3つは画像の外から持ってくる情報である。

軸 何が分かるか
発症速度 数時間〜数日なら肺水腫・肺胞出血・・急性感染症。数か月なら・・・線維化
免疫状態 感染、ステロイド・、後なら・・真菌が前に出る。移植後はも並ぶ
貧血・喀血 ヘモグロビンが下がりながら陰影が広がるなら肺胞出血。⚠️ 喀血が無くても肺胞出血は否定できない
分布 に正常肺と境界明瞭に分かれるなら、中枢・周囲優位ならや肺水腫、末梢・優位ならや、に一致するなら
flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thin-section CT'>薄切CT</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crazy-paving pattern'>敷石状パターン</span>"] --> B["過去画像と発症からの日数を確認"]
    B --> C{"経過は急性か"}
    C -->|"数時間〜数日"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemodynamics'>循環動態</span>・心エコー・腎機能<br>ヘモグロビンの推移を確認"]
    D --> E{"うっ血所見が揃うか"}
    E -->|"はい"| F["肺水腫として治療し<br>治療後画像で可逆性を確認"]
    E -->|"いいえ"| G{"ヘモグロビンが低下しているか"}
    G -->|"はい"| H["肺胞出血を優先し<br>血管炎・抗基底膜抗体病を検索"]
    G -->|"いいえ"| I["感染症と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acute respiratory distress syndrome, ARDS'>急性呼吸窮迫症候群</span>を並べ<br>免疫状態と誘因を確認"]
    C -->|"数週〜数か月"| J{"免疫抑制状態か"}
    J -->|"はい"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Pneumocystis pneumonia'>ニューモシスチス肺炎</span>・真菌・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='graft-versus-host disease, GVHD'>移植片対宿主病</span>を優先し気管支鏡へ"]
    J -->|"いいえ"| L["分布と随伴所見で絞る"]
    L --> M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='geographic pattern'>地図状</span>・境界明瞭なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary alveolar proteinosis'>肺胞蛋白症</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchoalveolar lavage (BAL)'>気管支肺胞洗浄</span>と抗GM-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cerebrospinal fluid'>CSF</span>抗体へ"]
    L --> N["結節状の線・リンパ節腫大なら<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary lymphangitic carcinomatosis'>癌性リンパ管症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sarcoidosis'>サルコイドーシス</span>へ"]
    L --> O["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='traction bronchiectasis'>牽引性気管支拡張</span>・容量減少なら<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrotic interstitial lung disease'>線維化性間質性肺疾患</span>として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multidisciplinary discussion, MDD'>多職種討議</span>へ"]

⚠️ 画像だけで止めない。 98例の集計でもに至ったのは7例で、59例は臨床情報から診断されている1。は、(で物質を含む洗浄液)、肺胞出血(回収液が順次血性になる)、感染症のいずれに対しても侵襲が小さく情報量が大きい。

過去画像との比較は所見そのものと同じ重みを持つ。数日で消えるは可逆的な液体貯留を支持し、月単位で線が不整化してやが加わるなら線維化の進行を示す。比較するときは吸気の程度と体位が近い画像を選ぶ。

紛らわしいもの・限界

紛らわしいもの 区別の要点
単独 背景にが無い。線だけならとは記載しない
気管支・血管の辺縁が見えなくなる濃度。より濃く、線を重ねて読めない
モザイク灌流・ の境界がや気管支に一致し、呼気像でが残る。の重畳が無い
・依存部の背側変化 背側優位でが小さい。十分な吸気や必要時ので軽減する
通常厚スライスの 再構成にすると背景のも細い線も評価が変わる

⚠️ 限界は「所見名が診断名に見えてしまうこと」に尽きる。 は形態記述であって、それ自体は病名でも重症度でもない。レポートを「」で終わらせず、経過・分布・随伴所見を書いて次の検査を名指しする。

まとめ

  • は、を背景にが重畳した形態記述で、でのみ判定できる。
  • 線状成分はに限らず、小葉内間質の肥厚や腺房周囲の内沈着でもよい。摘出肺の検討では60%でを伴わなかった。
  • 病理学的基盤は充満性・性・両者の組み合わせに分かれ、肺胞の病気か間質の病気かをこの所見だけでは決められない。
  • の代表所見として記載された歴史があるが非特異的で、実地では感染症・・・肺水腫のほうが多い。
  • 振り分けは発症速度・免疫状態・貧血の有無・分布の4軸で行い、必要ならへ進む。に至る例は少ない。
  • Crohn病のやのはの別所見であって、この所見とは関係しない。

出典

  1. 1.The crazy-paving pattern: a radiological-pathological correlation(Insights into Imaging(De Wever W, Meersschaert J, Coolen J, Verbeken E, Verschakelen JA)・2011)敷石状パターンがすりガラス影を背景に線状影が重畳したもので不規則な敷石の並びに似ること、線状成分が①小葉間隔壁の肥厚(隔壁線)②小葉内隔壁および小葉内間質の肥厚(小葉内網状影・小葉内分枝線)③腺房および二次小葉の辺縁で気腔内に物質が線状に沈着したもの(腺房周囲パターン)のいずれかでありうること、本パターンが当初は肺胞蛋白症のpathognomonicな徴候として記載されたが現在は非特異的所見であること、鑑別表が急性(肺水腫、細菌・ウイルス・ニューモシスチス・マイコプラズマによる肺感染症、肺出血、急性間質性肺炎、急性呼吸窮迫症候群、放射線肺臓炎、好酸球性肺炎、腫瘍、脂質性肺炎、バリウム誤嚥)と亜急性・慢性(通常型間質性肺炎、非特異性間質性肺炎、肺胞蛋白症、器質化肺炎、血管炎、慢性好酸球性肺炎、癌性リンパ管症、サルコイドーシス、肺胞微石症)に分けて示されること、単施設で2008年の1年間に敷石状パターンと報告された98例を後ろ向きに見直した内訳が感染症27例(細菌10・ウイルス3・真菌4・不特定10)、間質性肺疾患16例、急性呼吸窮迫症候群6例、急性肺水腫5例、放射線肺臓炎3例、腫瘍2例、サルコイドーシス2例、癌性リンパ管症1例、肺胞蛋白症1例、移植片対宿主病1例、脂質性肺炎1例、器質化肺炎1例、原因未確定32例であったこと、この98例のうち開胸肺生検を行ったのは7例のみで59例は臨床的に診断されたこと、肺胞蛋白症では気腔を満たすリン脂質蛋白性物質がすりガラス影の成分となり隔壁や肺胞壁に接する気腔が埋まると腺房周囲パターンが可視化されること、器質化肺炎では敷石状パターンが生じうるが稀な所見であることをEurope PMCの全文で確認した。閲覧 2026-09-02
  2. 2.Crazy-paving appearance at thin-section CT: spectrum of disease and pathologic findings(Radiology(Johkoh T, Itoh H, Müller NL, et al.)・1999)すりガラス影に細かな網状影が重畳した所見(敷石状パターン)について、生体例46例(13〜82歳)の後ろ向き検討で肺胞蛋白症・成人呼吸窮迫症候群・急性間質性肺炎・通常型間質性肺炎にびまん性肺胞傷害が重畳したもの・薬剤性肺臓炎を含む15の異なる疾患が同定されたこと、含気固定した摘出肺20例の検討では細かな網目構造の病理学的基盤が気腔充満性の過程10例・間質の線維化性の過程7例・間質と肺胞内の過程の組み合わせ3例であったこと、20例中12例(60%)では敷石状パターンを示す領域の内部に小葉間隔壁の肥厚を認めなかったこと、結論として敷石状パターンが間質性・気腔性のさまざまな肺疾患でみられる非特異的所見であることを抄録で確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-02
  3. 3.Radiological findings from 81 patients with COVID-19 pneumonia in Wuhan, China: a descriptive study(The Lancet Infectious Diseases(Shi H, Han X, Jiang N, et al.)・2020)COVID-19肺炎81例の胸部CTを発症からの時期で4群に分けて記述した研究で、最も多いCT所見がすりガラス影53例(65%)、境界不明瞭な辺縁66例(81%)、平滑または不整な小葉間隔壁肥厚28例(35%)、エアブロンコグラム38例(47%)であり、敷石状パターンは8例(10%)にみられたこと、64例(79%)が両側性、44例(54%)が末梢優位の分布であったこと、考察でCOVID-19のCT所見はいずれも特異的でも診断的でもないと述べられていることをEurope PMCの全文で確認した。閲覧 2026-09-02