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Disease Atlas · 呼吸器 · 疾患

器質化肺炎

Organizing pneumonia

別名
COP特発性器質化肺炎潜因性器質化肺炎BOOP閉塞性細気管支炎を伴う器質化肺炎cryptogenic organizing pneumonia
臓器系
呼吸器
科目
Internal MedicineAnesthesiology
トピック
内科学 S-05:間質性肺疾患内科学 L-17:肺炎麻酔科学 A-13:急性呼吸窮迫症候群の病態・症状・診断・治療
上位概念
間質性肺疾患
鑑別疾患
市中肺炎特発性肺線維症閉塞性細気管支炎
治療薬
プレドニゾロン
原因薬剤
アミオダロン
症状
乾性咳嗽呼吸困難発熱倦怠感体重減少
画像所見
コンソリデーションすりガラス影

🧠 全体像は、名前に「肺炎」とあるが感染症ではなく、内に性の器質化が生じるのパターンである。抗菌薬を数日〜数週間投与しても改善しない肺炎様陰影を見たら、この診断を鑑別に上げることが臨床上の入口になる。原因不明の特発性(COP、旧称BOOP)と、感染・薬剤・・放射線などが背景にある二次性を区別し、いずれもステロイドによく反応するが、・中止に伴ってしやすいという経過が管理の軸になる。

病態

肺胞上皮の傷害に対する治癒反応が正常な吸収に向かわず、の内腔に線維芽細胞と疎な結合組織からなる栓(Masson体)が増殖して充填される。この「器質化」という自体は感染・薬剤・・放射線・移植など多様な傷害に対する共通の治癒パターンであり、原因が同定できなければ特発性(COP)、既知の原因があれば二次性と呼ぶ1

flowchart TD
    A["肺胞上皮の傷害<br>感染後・薬剤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='connective tissue disease (collagen vascular disease)'>膠原病</span>・放射線・移植など<br>原因不明なら特発性(COP)"] --> B["異常な治癒反応"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolar space'>肺胞腔</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory bronchiole'>呼吸細気管支</span>内腔に<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Granulation tissue'>肉芽組織</span>栓(Masson体)が増殖"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airspace'>気腔</span>の器質化による<br>斑状・遊走性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='consolidation'>コンソリデーション</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='restrictive ventilatory impairment'>拘束性換気障害</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diffusing capacity (DLCO)'>拡散能</span>低下"]
    E --> F["抗菌薬に反応しない<br>遷延性の肺炎様陰影"]

の一亜型として分類される・NSIP・AIPなどと並ぶ)が、のような不可逆的な線維化ではなく、ステロイドで可逆的な炎症・器質化病変である点が最大の違いである。

💡 「器質化」というそのものはではない。 ・肺癌・血管炎など別の病変の辺縁に局所的な器質化パターンが付随することがあり、生検でOPパターンを見たときは、それが疾患の全体像なのか、別の病変への二次的な反応にすぎないのかを画像・臨床経過と合わせて見極める必要がある。原因不明のまま安易にCOPと診断し、背景にある・悪性腫瘍を見逃さないよう注意する。

原因による分類

分類 頻度の目安となる原因
既知原因を系統的に除外しても原因不明2
感染後 ウイルス性・細菌性肺炎後の遷延
薬剤性 など
関連 関節リウマチ、/など
放射線後 乳癌の放射線療法後など、の外側にも及ぶ遊走性陰影を呈しうる
その他 誤嚥、悪性腫瘍への反応、

⚠️ は薬剤性の代表的な原因薬である。 は高い脂溶性ゆえに肺へ蓄積し、の像を呈しうる(の項を参照)。とステロイド投与が治療の基本となる。

臨床像

  • 亜急性の(多くは)、呼吸困難発熱体重減少が数週間かけて進行する。
  • を聴取することがあるが非特異的である。
  • 抗菌薬治療に反応しないことが診断の重要な手がかりであり、として治療を開始された患者が「治らない肺炎」として紹介されることが多い2

画像所見

診断

flowchart TD
    A["抗菌薬治療に反応しない<br>遷延性の肺炎様陰影"] --> B["薬剤歴・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='connective tissue disease (collagen vascular disease)'>膠原病</span>症状・放射線歴・<br>感染後経過を聴取"]
    B --> C["HRCTで斑状・遊走性の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='consolidation'>コンソリデーション</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ground-glass opacity'>すりガラス影</span>を確認"]
    C --> D{"既知の原因が同定できるか"}
    D -->|"あり"| E["二次性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='organizing pneumonia'>器質化肺炎</span>として<br>背景疾患の治療を並行"]
    D -->|"なし"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='COP'>特発性</span>"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchoalveolar lavage (BAL)'>気管支肺胞洗浄</span>・生検で<br>他疾患(感染・悪性腫瘍・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='idiopathic pulmonary fibrosis'>IPF</span>など)を除外"]
    F --> G
    G --> H["ステロイド治療を開始"]
  • 既知原因の除外が診断の前提であり、全般と同じくで臨床像・画像・(必要時)病理を統合する。
  • は好中球・リンパ球優位の炎症像を示すことが多く、感染・悪性腫瘍を除外する補助になる。
  • 確定診断には(経気管支・・外科的)で内の栓(Masson体)を確認するが、典型的な臨床像・画像がそろえば生検なしで治療を開始することもある。

治療

全身性ステロイドが第一選択治療であり、多くの症例で劇的に反応する。 標準的には0.5〜1 mg/kg/日程度から開始し、臨床・画像所見の改善を確認しながら6〜12か月かけてする1。軽症・無症候性の症例では自然寛解することもあり、全例に治療が必要とは限らない2

⚠️ はステロイド・中止に伴って起こりやすく、患者の約半数が経験し、その一部は複数回する。 自体は予後不良の徴候ではないが、ステロイドを再開・増量して対応する必要があり、あらかじめ患者に説明しておく1

  • 二次性では、可能な限り原因薬剤の中止・背景疾患の治療を並行する(例:誘発例では)。
  • ステロイドに反応不良・の例やを繰り返す例では、(抗炎症作用を期待した使用)やなどのを検討する。
  • 感染症ではないため、抗菌薬そのものに治療効果は期待できない。

まとめ

  • は感染症ではなく、内の性器質化を特徴とするのパターンであり、と二次性(感染後・薬剤性・関連・放射線後など)に分ける。
  • 抗菌薬に反応しない遷延性の肺炎様陰影が臨床上の入口で、両側性・遊走性の斑状/、reversed halo signが画像上の手がかりになる。
  • 診断は既知原因の除外とHRCT所見の統合が中心で、確定には生検で栓(Masson体)を確認する。
  • 全身性ステロイドが第一選択で多くは劇的に反応するが、・中止に伴い約半数がするため、あらかじめ経過を見込んだ治療計画を立てる。
  • は代表的な薬剤性原因であり、とステロイドが治療の基本となる。

出典

  1. 1.Cryptogenic Organizing Pneumonia(StatPearls Publishing (NCBI Bookshelf)・2022)抗菌薬治療で改善しない遷延性の肺炎様陰影はCOPを疑う契機であること、診断前に二次性の原因(薬剤・膠原病・放射線・感染など)を系統的に除外する必要があること、グルココルチコイド療法で最大80%が完全寛解に達し、軽症例では約50%が自然寛解しうることを確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Update on cryptogenic organizing pneumonia(Frontiers in Medicine・2023)原因不明のものを特発性(cryptogenic)、既知の原因があるものを二次性(secondary)と呼び分けること、標準的なステロイド漸減プロトコル(プレドニゾン0.5〜1 mg/kg/日から開始し6〜12か月かけて漸減)、再燃が患者の約50%で生じ、うち約20%は複数回再燃することを確認した。閲覧 2026-08-11