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Disease Atlas · 呼吸器 · 疾患

間質性肺疾患

Interstitial lung disease

別名
ILD
臓器系
呼吸器免疫・膠原病
科目
PulmonologyInternal MedicinePathology
トピック
呼吸器内科 37:間質性肺疾患の病理と診断呼吸器内科 39:原因が明らかな間質性肺疾患内科学 S-05:間質性肺疾患病理学 C/21:慢性間質性(拘束性)肺疾患
続発疾患
肺高血圧症
治療薬
ニンテダニブピルフェニドン
原因薬剤
アミオダロンブレオマイシンニトロフラントイン
症状
乾性咳嗽労作時呼吸困難
画像所見
すりガラス影蜂巣肺網状影牽引性気管支拡張
下位分類
過敏性肺炎・塵肺症器質化肺炎進行性肺線維症特発性肺線維症放射線肺臓炎薬剤性肺障害

🧠 全体像は単一の病気ではなく、肺間質から肺実質までを障害する150以上のを束ねる概念である。本稿は個々の疾患を書き尽くすのではなく、分類の地図——特発性が代表)、関連、、薬剤性、という5つの引き出し——を示すことに徹する。どの引き出しに入るかを問わず、HRCTのパターン(UIP・NSIP・OP)が診断と予後を規定するという一本の幹が全体を貫く。

分類の地図——5つの引き出し

ILDは原因の有無・病理パターンで大別する。「線維化=ILD」ではなく、原因除去で改善しうる非線維性の病態も含む症候群である。

分類 代表疾患・原因 特徴
など 既知原因を除外して初めて診断できる。はUIPパターンを特徴とする不可逆的線維化の代表
関連ILD 関節リウマチSLE症候群などANCA関連血管炎 基礎疾患の評価・治療とILDパターンに応じた免疫調整療法を組み合わせる
など) 反復する吸入抗原への免疫反応。曝露回避が治療の中心
薬剤性 など 原因薬の中止で改善しうる。パターン別の整理はを参照
長期の曝露が原因。は肺癌・リスクも高める

腫性ILD(など)やその他の稀少疾患(など)も加わるが、上記5つの引き出しが臨床推論の骨格になる。胸部放射線治療後に生じるも、既知の原因による二次性ILDとして同じ枠組みで評価するが、原因(放射線歴 vs 薬剤歴)が異なるため薬剤性とは別の主題として扱う。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='effort dyspnea'>労作時呼吸困難</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dry cough'>乾性咳嗽</span><br>両側<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lower lung field'>下肺野</span>の吸気性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crackles (lung); crepitus (joint)'>捻髪音</span>"] --> B["薬剤歴・職業/環境曝露・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='connective tissue disease (collagen vascular disease)'>膠原病</span>歴を聴取"]
    B --> C{"既知原因が同定できるか"}
    C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='connective tissue disease (collagen vascular disease)'>膠原病</span>関連・薬剤性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypersensitivity pneumonitis'>過敏性肺炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pneumoconiosis'>じん肺</span>として評価"]
    C -->|"いいえ"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IIP'>特発性間質性肺炎</span>として評価"]
    D --> F["HRCTでパターンを分類"]
    E --> F
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='MDD'>多職種討議</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='integrated diagnosis'>統合診断</span>"]
    G --> H["HRCTパターン・原因に応じた<span class='jp-term jp-term-diagram' title='treatment strategy'>治療方針</span>"]

HRCTパターンが診断と予後を規定する——UIP・NSIP・OP

原因のカテゴリーが何であれ、HRCT・病理パターンが診断と予後を左右する軸になる。

パターン 特徴 代表的な文脈
UIP( 部・優位の不均一な線維化、、線維芽細胞巣 の特徴的パターン。関連ILDや薬剤性でも同じパターンを示すことがある
NSIP(非特異性 HRCTでは主体にを伴うがは目立たない。病理では均一な肺胞壁の炎症・線維化で構築が保たれ、線維芽細胞巣を欠く 関連ILD(特に)で多いパターン
OP( 胸膜下・優位の斑状・遊走性の 、薬剤性・感染後にも起こりうる

UIPパターンを示す患者は、不確定な所見の患者より生存期間が短いなど、HRCTパターンはにも直結する1。臨床・画像・(必要時)病理所見を統合する(MDD)は、放射線科医と病理医の間の診断を改善させることが確認されている1

⚠️ 原因のカテゴリーによらず、線維化が進行した末期像として慢性低酸素血症と肺の破壊からを合併しうる。

MPO-ANCA陽性間質性肺炎とMPAとの関係

関連ILDの中でも、陽性のの他臓器病変に先行しうるという時間的な特殊性を持つ。あるコホートではがMPAの初発症状だった症例が66.7%を占め、HRCTパターンはUIP(probable UIPを含む)が約8割に達した2。⚠️ と診断されている症例の中に、未測定のままのMPAが紛れている可能性があるため、UIPパターンのILDでは血管炎を示唆する腎症状・の有無を確認し、必要に応じてANCAを測定する。

治療——抗線維化薬の適応拡大

治療は原因除去・基礎疾患治療、ILDパターンに応じた免疫調整療法、療法、支持療法()、併存症管理を組み合わせる。

専用薬から「進行性線維化型ILD」全般へ適応が広がった。 以外の線維化性ILDで、代替説明のない症状悪化・画像上の進行・生理学的進行のうち2項目以上を1年以内に満たす場合をと定義し、基礎疾患治療を最適化してもなお進行する例にはが条件付きで推奨される3。一方、は非の進行性線維化型ILDに対して同等の推奨には至っておらず、さらなる研究が求められる段階にとどまる3。⚠️ 「だけの薬」という理解を更新しつつも、両薬を同格に扱わないことが重要である。

IPFとの役割分担

このノートは概念として分類の地図を示す。個々の疾患の疫学・危険因子・診断アルゴリズム・重症度評価(GAP indexなど)・治療の詳細は、代表疾患であるのノートに委ねる。ILDを疑う患者に出会ったら、まずこのノートで「原因既知か特発性か」「HRCTパターンは何か」という地図上の位置を確認し、該当する個別疾患のノートへ進む、という使い分けを意図している。

まとめ

  • ILDは150以上の疾患を束ねる概念で、特発性が代表)・関連・・薬剤性・の5分類が臨床推論の骨格になる。
  • 原因のカテゴリーによらず、HRCT・病理パターン(UIP・NSIP・OP)が診断と予後を規定する軸であり、が診断精度を高める。
  • 陽性はMPAの他臓器病変に先行しうる(UIPパターンが約8割)ため、UIPパターンのILDでは血管炎の評価を怠らない。
  • へ適応が広がったが、条件付き推奨があるのはで、は同格の推奨に至っていない。
  • 個別疾患の詳細(疫学・・重症度評価)はなど代表疾患のノートに委ね、このノートは分類の地図として機能する。

出典

  1. 1.An Official American Thoracic Society/European Respiratory Society Statement: Update of the International Multidisciplinary Classification of the Idiopathic Interstitial Pneumonias(American Thoracic Society / European Respiratory Society・2013)通常型間質性肺炎(UIP)パターンが胸膜直下優位の高度線維化・蜂巣肺・線維芽細胞巣を示す一方、非特異性間質性肺炎(NSIP)パターンは均一な肺胞壁の炎症・線維化で構築が保たれ蜂巣肺や線維芽細胞巣を欠くこと、器質化肺炎(OP)パターンは胸膜下・気管支周囲優位の斑状かつ遊走性のコンソリデーションを特徴とすること(Progress in Specific IIPs since 2002節)、UIPパターンを示すIPF患者は不確定所見の患者より生存期間が短いことからHRCTパターンが予後を規定すること、臨床・画像・病理を統合する多職種討議(MDD)で放射線科医・病理医間の一致率が改善したこと(General Progress in IIPs since 2002節)を確認した。閲覧 2026-08-11
  2. 2.Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline(American Thoracic Society / European Respiratory Society / Japanese Respiratory Society / Latin American Thoracic Society・2022)進行性肺線維症(PPF)がIPF以外のILDにおいて症状悪化・画像上の進行・生理学的進行の3項目中2項目以上を過去1年以内に他の説明なく満たす状態と定義されること、非IPF進行性線維化型ILDに対しニンテダニブが条件付きで推奨される一方、ピルフェニドンは同等の推奨に至らず追加研究が求められるにとどまること(Results/PPF Recommendations節)を確認した。閲覧 2026-08-11
  3. 3.Clinical features and outcomes of microscopic polyangiitis-associated interstitial lung disease(Frontiers in Pharmacology(Kim MJ, et al.)・2023)対象コホートの66.7%で間質性肺炎がMPAの初発症状であり他臓器病変に先行したこと、HRCT所見はUIPパターンが61.5%・probable UIPが17.9%と合わせて約8割を占めたことを結果節で確認した。閲覧 2026-08-11