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Disease Atlas · 呼吸器 · 疾患

濾胞性細気管支炎

Follicular bronchiolitis

臓器系
呼吸器免疫・膠原病
科目
Internal MedicinePulmonology and Thoracic Surgery
トピック
内科学 S-05:間質性肺疾患内科学 S-51:免疫不全症呼吸器内科 39:原因が明らかな間質性肺疾患
上位概念
間質性肺疾患
鑑別疾患
過敏性肺炎・じん肺非ホジキンリンパ腫閉塞性細気管支炎
関連疾患
リンパ球性間質性肺炎肉芽腫性リンパ球性間質性肺疾患
治療薬
プレドニゾロンアジスロマイシンシクロホスファミド
症状
乾性咳嗽労作時呼吸困難
検査値
気管支肺胞洗浄免疫グロブリン定量
画像所見
結節性パターンすりガラス影
元疾患
分類不能型免疫不全症
原因となる疾患
シェーグレン症候群関節リウマチ

🧠 全体像:は、壁に沿ってを伴うが過形成する、リンパ増殖性の疾患である1。単独の病気というより、・という非特異的な症状の陰に・関節リウマチなどの、あるいはのようなが隠れていないかを探す入口として捉えるのが実践的である。(LIP)とは「同じスペクトラムの隣り合う病型」——は気管支・に浸潤が限局しを免れる傾向があるのに対し、LIPは全体に及ぶびまん性浸潤である1という違いはあるが、臨床的には併存・移行することが珍しくない。

定義とLIPとの異同

は1979年にEplerらによって「壁に沿った過形成」として記載された、(BALT)の過形成を本体とする疾患である1。組織学的には、にリンパ球増殖とを伴うが形成され、への浸潤は免れる傾向にある2。

特徴 (LIP)
浸潤の分布 気管支・に限局 全体に及ぶびまん性
回避する傾向 関与する
記載年 1979年(Epler) 1969年(Carrington・Liebow)

とLIPは「反復的抗原刺激とリンパ球増殖のスペクトラム」を表す一対の病型として理解される1。💡 どちらか一方だけを厳密に切り分ける実益は薄い。 同一患者・同一生検標本の中に両方の像が混在することもあり、鑑別よりも「背景に何があるか」を探す方が診療上重要である。

関連疾患

・LIPはいずれも(LIP症例の最大25%を占める——患者の25%にLIPが起こるという意味ではない)・関節リウマチ・・()・感染と関連するが、は嚢胞性線維症・喘息・など気道そのものの炎症性疾患によりまつわる傾向がある1。中国人成人6例の症例集積でも、2例・1例・自己免疫的特徴を伴う特発性肺炎1例・1例と、5/6例に基礎疾患が確認され、特発性は1例にとどまった2。

GLILDとの関係

⚠️ (GLILD)は、と同じ実体ではない。 GLILDは患者に生じる臨床・画像・病理で定義される複合診断で、その組織像はからなる肉芽腫性要素と、・・を伴う間質のからなるリンパ増殖性要素の併存として定義されている3。つまりはGLILDを構成しうる組織像の一つであって、GLILDそのものではない。はを伴わず・関節リウマチ単独でも生じ、肉芽腫を伴わずに単独病変として存在しうる。

臨床像

症状は軽微で見逃されやすいことが多い。中国人成人6例のコホートでは、咳嗽3/6例・呼吸困難2/6例で、3/6例は健診の偶発的異常影で発見された。は4/6例で正常だった2。⭐ 「無症状〜軽微な咳・」と「の明らかな異常」の落差が大きい——症状の軽さで基礎疾患のスクリーニングを省略しない。

画像所見

では1〜12mmの・結節と斑状びまん性両側性が主体で、tree-in-bud所見・気管支拡張を伴うことがある1。中国人コホートでは、結節+が5/6例(83.3%)、が4/6例(66.7%)、気管支拡張・嚢胞がそれぞれ3/6例(50.0%)、tree-in-bud所見が2/6例(33.3%)、縦隔・が3/6例(50.0%)にみられた2。

診断

臨床像・画像所見は非特異的で、確定診断には(またはVATS)を要する2。の除外がの必須要件であり、のであることをで確認する。

flowchart TD
    A["非特異的な咳・呼吸困難<br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution computed tomography'>HRCT</span>での偶発的異常影"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution computed tomography'>HRCT</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='centrilobular nodule'>小葉中心性結節</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ground-glass opacity'>すりガラス影</span>"]
    B --> C["基礎疾患を探す<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Sjögren syndrome'>Sjögren症候群</span>・関節リウマチ・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='common variable immunodeficiency'>CVID</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human immunodeficiency virus'>HIV</span>など)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surgical lung biopsy'>外科的肺生検</span>で組織診断"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reactive germinal center'>反応性胚中心</span>を伴う<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyclonal'>多クローン性</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoid follicles'>リンパ濾胞</span>か"}
    E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular bronchiolitis'>濾胞性細気管支炎</span>と診断"]
    E -->|"いいえ(単クローン性)"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malignant lymphoma'>悪性リンパ腫</span>を疑う"]

鑑別

鑑別 分ける手がかり
(BALT型を含む) 画像だけでは区別しにくい。生検でリンパ球の単クローン性を確認して除外する
結節を欠き、・が主体
が類似するが、とリンパ球分画で鑑別する

治療

は背景疾患の有無で分かれる。原著は、特発例に限り高用量を基本とし、背景疾患が判明している例では基礎疾患そのものの治療を優先するとしている1。⚠️ 多くの例は続発性であり(中国人コホートでも5/6例に基礎疾患が確認されている)、「=まず高用量ステロイド」と単純化しない。マクロライド(アジスロマイシン等)が代替として使われることがあり、・メトトレキサート・リツキシマブも代替選択肢となる1。中国人コホートでは4/6例にが使われ、うち2例はまたはを併用した(いずれも・などの背景疾患を伴う例)。残る2例は手術のみ・経過観察のみで、免疫抑制療法を要さなかった2。

⚠️ が背景にある場合は、の最適化を先に行う——GLILDと同様の順序で組み、免疫抑制はその後に重ねる。

予後

予後は基礎疾患の治療反応性に左右されるが、通常は良好である1。中国人6例のコホートでは平均54.5か月(15〜100か月)の追跡で全例が生存し、3例は安定、1例はステロイド後に、1例は画像上わずかに増悪しつつ臨床的には安定、1例はを発症して臨床的に増悪した2。進行して不可逆的な線維化に至る例は多くないが、基礎疾患が制御不良であれば増悪しうる。

まとめ

  • は壁に沿ったを本体とし、LIPと「反復的抗原刺激とリンパ球増殖のスペクトラム」を共有するが、浸潤が気管支・に限局する点でLIPのびまん性浸潤と異なる。
  • ・関節リウマチ・・感染が背景に多く、軽微な症状の陰に基礎疾患が隠れていることが多い。
  • GLILDの組織像にはが含まれるが、両者は同一の実体ではない。は・肉芽腫を伴わずに単独でも生じる。
  • は+が主体で、確定診断にはを除外できるを要する。
  • 治療は背景疾患の有無で分かれる。特発例に限り高用量が基本で、背景疾患が判明している例では基礎疾患そのものの治療を優先する。マクロライド・・メトトレキサート・リツキシマブが代替選択肢となる。
  • 予後は概して良好だが、基礎疾患のコントロール次第で増悪しうる。

出典

  1. 1.Rare interstitial lung diseases: a narrative review(Journal of Thoracic Disease(Carroz KP, Urrutia-Royo B, Marin A, Pons LR, Millán-Billi P, Rosell A, Moran-Mendoza O)・2024)濾胞性細気管支炎が1979年にEplerらにより「細気管支壁に沿った過形成リンパ濾胞」として記載されたこと、リンパ球性間質性肺炎(LIP)とともに「反復的抗原刺激とリンパ球増殖のスペクトラム」を表すこと、組織学的にLIPが肺胞隔壁全体に及ぶびまん性のリンパ球浸潤であるのに対し濾胞性細気管支炎は気管支・細気管支周囲に分布が限局し肺胞隔壁への浸潤を回避する傾向にあること、両疾患がSjögren症候群(原文"up to 25% of cases"——LIP症例の最大25%を占めるという意味で、Sjögren症候群患者の25%がLIPを発症するという意味ではない)・関節リウマチ・全身性エリテマトーデス・分類不能型免疫不全症(CVID)・HIV感染と関連する一方、濾胞性細気管支炎は嚢胞性線維症・喘息・慢性誤嚥など気道炎症性疾患によりまつわる傾向があること、HRCTでは1〜12mmの小葉中心性結節と斑状びまん性両側性すりガラス影・tree-in-bud所見・気管支拡張がみられること、治療は特発例に限り高用量コルチコステロイドが基本で、背景疾患が判明している例では基礎疾患そのものの治療を優先するとされ(原文"In idiopathic cases..."/"In patients with a known cause, treatment is that of the underlying disease")、マクロライドが代替として使われることがありアザチオプリン・メトトレキサート・リツキシマブも代替選択肢となること、予後は基礎疾患の治療反応性に左右されるが通常良好であることを確認した閲覧 2026-09-02
  2. 2.The Clinical Characteristics and Outcomes of Follicular Bronchiolitis in Chinese Adult Patients(Scientific Reports(Lu J, Ma M, Zhao Q, Meng F, Wang D, Cai H, Cao M)・2018)外科的肺生検で診断された成人濾胞性細気管支炎6例の後方視的症例集積において、臨床症状が軽微で見逃されやすいこと(咳嗽3/6・呼吸困難2/6・健診での偶発的発見3/6)、肺機能検査は4/6で正常であったこと、5/6例に基礎疾患(Sjögren症候群2例・多中心性Castleman病1例・自己免疫的特徴を伴う特発性肺炎1例・肺膿瘍1例)を有し1例のみ特発性であったこと、HRCTで小葉中心性・細気管支周囲結節およびすりガラス影が5/6例(83.3%)、小葉間隔壁肥厚が4/6例(66.7%)、気管支拡張が3/6例(50.0%)、嚢胞が3/6例(50.0%)、tree-in-bud所見が2/6例(33.3%)、縦隔・肺門リンパ節腫大が3/6例(50.0%)にみられたこと、組織学的にはFBが細気管支周囲のリンパ球増殖と反応性胚中心を伴うリンパ濾胞からなり肺胞壁浸潤を免れる傾向にあったこと、4/6例にプレドニゾロン(2例はシクロホスファミドまたはヒドロキシクロロキンを併用)が用いられ1例は手術のみ・1例は経過観察のみであったこと、平均54.5か月(15〜100か月)の追跡で全例生存し3例は安定・1例はステロイド漸減後に再燃・1例は画像上わずかに増悪しつつ臨床的に安定・1例は多中心性Castleman病を発症し臨床的に増悪したことを確認した閲覧 2026-09-02
  3. 3.Approach to diagnosing and managing granulomatous-lymphocytic interstitial lung disease(eClinicalMedicine(Galant-Swafford J, et al.)・2024)肉芽腫性リンパ球性間質性肺疾患(GLILD)の組織像が、非壊死性肉芽腫からなる肉芽腫性要素と、濾胞性細気管支炎・結節性リンパ過形成・反応性胚中心を伴う間質のリンパ球浸潤からなるリンパ増殖性要素との併存であると定義されていることを確認した閲覧 2026-09-02