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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 疾患

分類不能型免疫不全症

Common variable immunodeficiency

別名
CVID分類不能型免疫不全
臓器系
免疫・膠原病感染症
科目
Internal MedicineImmunology
トピック
内科学 S-51:免疫不全症免疫学 11.2:生物学的製剤治療 II
上位概念
原発性免疫不全症候群(重症複合免疫不全症・ディジョージ症候群・X連鎖無ガンマグロブリン血症・慢性肉芽腫症・選択的IgA欠損症)
鑑別疾患
HIV感染症・AIDS
合併症
気管支拡張症
続発疾患
非ホジキンリンパ腫胃癌免疫性血小板減少症腸管原虫症
治療薬
免疫グロブリン静注療法
症状
発熱下痢脾腫湿性咳嗽

🧠 全体像は、成人で最も多い症候性のである。診断の骨格は、IgG低値に加えIgAまたはIgMのいずれかが低値であることを前提に、①発症が2歳超であること、②ワクチン抗原への特異抗体反応(または素)が不良であること、③二次性のを除外できることの3項目を満たすことに尽きる1。ただしCVIDを「感染症だけの病気」として覚えると診療を誤る——自己免疫、、腸症、悪性腫瘍という合併症が、最終的な予後を決めるからである。

病態

CVIDはB細胞が存在するにもかかわらず形質細胞へ最終分化できないことで起こる不全である。の割合低下との形質細胞減少がその実体であり2、B細胞そのものの産生・数は保たれていることが、B細胞が最初から作られないX連鎖無血症との違いになる。CVIDは概念的にはの一角を占める不全だが、単一のが同定される例は少数で、多くはである。

flowchart TD
    A["B細胞は存在するが<br>形質細胞へ最終分化できない"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='isotype switching (class switching)'>クラススイッチ</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='memory B cell'>記憶B細胞</span>の減少"]
    B --> C["IgG低値+IgAまたはIgM低値"]
    C --> D["ワクチン抗原への特異抗体反応不良"]
    D --> E["莢膜を持つ細菌による<br>反復気道感染"]
    D --> F["腸管粘膜IgA欠乏"]
    F --> G["Giardia・Campylobacterなどによる<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic diarrhea'>慢性下痢</span>・吸収不良"]
    A --> H["T細胞・免疫調節異常を伴う例"]
    H --> I["自己免疫性血球減少・GLILD・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphoproliferation'>リンパ増殖</span>・悪性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor risk'>腫瘍リスク</span>上昇"]

臨床像

  • 反復する副鼻腔炎・肺炎などの気道感染が最も頻度の高い症状で、発熱を伴うを繰り返す。莢膜を持つ細菌(肺炎球菌・など)が主な原因菌になる2
  • ・吸収不良も高頻度で、Giardia lambliaが消化管病原体として最も多く、Campylobacter jejuniSalmonella属がこれに続く3。腸管粘膜のIgAが乏しいため感染が遷延しやすく、として長期化する3
  • 診断は多くが20〜45歳の間、思春期以降になってから確定する2——「成人発症のは稀」という思い込みで除外しないことが重要である。

⚠️ 感染症だけの病気ではない。 約30〜40%に自己免疫現象を認め、(10〜12%)・Coombs陽性の(5〜7%)が代表的である2は約25%に生じ、脾腫・・自己免疫性血球減少を合併しやすい間質性肺病変である2。腸症(を伴う吸収不良)・脾腫も高頻度である。これら合併症が予後を規定する——が2〜8%に生じ、胃癌のリスクは最大50倍に上昇する2

診断

flowchart TD
    A["反復する気道感染・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic diarrhea'>慢性下痢</span>・原因不明の血球減少"] --> B["IgG・IgA・IgMを測定"]
    B --> C{"IgG低値+IgAまたはIgM低値か"}
    C -->|"いいえ"| D["他の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inborn errors of immunity, IEI'>原発性免疫不全</span>・続発性原因を再検討"]
    C -->|"はい"| E["ワクチン抗体応答・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='homologous'>同種</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemagglutination'>血球凝集</span>素を評価"]
    E --> F{"反応不良か"}
    F -->|"いいえ"| D
    F -->|"はい"| G["二次性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypogammaglobulinemia'>低ガンマグロブリン血症</span>を除外<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='protein loss'>蛋白喪失</span>性腸症・ネフローゼ・悪性腫瘍・薬剤性・HIVなど)"]
    G --> H["CVIDのほぼ確実(probable)と診断"]

のうち「ほぼ確実(probable)」は、年齢平均より2SD以上のIgG低下に加え、IgAまたはIgMの少なくとも一方の2SD以上の低下があることを前提とし、そのうえで①発症が2歳超であること、②素の欠如またはワクチン抗原への反応不良、③の既知の原因が除外されていること、の3項目をすべて満たす必要がある1

二次性の原因(性腸症、HIV感染症・AIDSなど)の除外が診断の前提である点は、他のと共通する。

治療

  1. 免疫グロブリン補充療法または)が治療の中心で、目標はIgG700〜800 mg/dL以上、を合併する例ではより高い目標を設定する2
  2. 感染症は培養に基づき抗菌薬を選択する。を来すGiardia感染にはメトロニダゾールを第一選択とするが、CVID患者では治療成功率が非CVID例より低く(ある報告では75%)、も高頻度である点に留意する3
  3. 自己免疫性血球減少・GLILDにはステロイド・を併用することがある。

⚠️ 生ワクチンは禁忌である(重症の欠損例)2。抗体産生そのものが期待できないうえ株による感染のリスクがあるため、で代替する。

合併症

CVIDの合併症は「感染」と「の免疫異常・悪性腫瘍」の2系統に分かれる。

系統 代表疾患 特徴
感染の帰結 反復する気道感染が招く構造的な気道破壊
自己免疫 約30〜40%に自己免疫現象を認める2
腫性・ GLILD 約25%に生じ、脾腫・を合併しやすい2
腫瘍 胃癌 リンパ腫2〜8%、胃癌リスクは最大50倍2

まとめ

  • CVIDは成人で最も多い症候性ので、B細胞は存在するが形質細胞へ最終分化できないことが病態の本体である。
  • 診断はIgG低値+IgAまたはIgM低値、ワクチン抗体応答不良、二次性原因の除外という骨格からなり、20〜45歳での診断が多い。
  • 反復気道感染・Giardiaなどによるが感染面の中心だが、自己免疫性血球減少・GLILD・腸症・リンパ腫・胃癌という合併症が最終的な予後を決める
  • 治療の中心は免疫グロブリン補充療法(目標700〜800 mg/dL以上)で、生ワクチンは禁忌である。

出典

  1. 1.Diagnostic criteria: Common Variable Immunodeficiency (CVID)(European Society for Immunodeficiencies (ESID)・2014)probable例の基準として、年齢平均より2SD以上のIgG低下に加えIgAまたはIgMの少なくとも一方の2SD以上の低下があることを前提に、①免疫不全の発症が2歳超であること、②同種血球凝集素の欠如またはワクチンへの反応不良があること、③低ガンマグロブリン血症の既知の原因が除外されていることの3項目をすべて満たす必要があることを確認した閲覧 2026-08-11
  2. 2.Common Variable Immunodeficiency(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)骨髄内の形質細胞減少とクラススイッチ記憶B細胞割合の低下というB細胞成熟障害が病態の本体であること、免疫グロブリン補充療法の目標はIgGトラフ値700〜800 mg/dL以上(気管支拡張症合併例ではより高い目標)であること、重症の欠損では生ワクチンが禁忌であること、免疫性血小板減少症10〜12%・Coombs陽性自己免疫性溶血性貧血5〜7%・GLILD有病率25%・リンパ腫2〜8%・胃癌リスク最大50倍上昇という合併症の頻度、Giardiaによる慢性下痢・吸収不良、多くが20〜45歳で診断されることを確認した閲覧 2026-08-11
  3. 3.Incidence, Management Experience and Characteristics of Patients with Giardiasis and Common Variable Immunodeficiency(Journal of Clinical Medicine (Díaz-Alberola I, et al.)・2022)CVID患者の消化管病原体としてGiardia lambliaが最も高頻度に同定され、Campylobacter jejuni・Salmonella属がこれに続くこと、自施設コホートでのジアルジア症頻度は12.9%(31例中4例)、メトロニダゾール第一選択治療の成功率は75%(4例中3例)で全例に再感染がみられたことを確認した閲覧 2026-08-11