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Disease Atlas · 呼吸器 · 疾患

リンパ球性間質性肺炎

Lymphoid interstitial pneumonia

別名
LIP
臓器系
呼吸器免疫・膠原病
科目
Internal MedicinePulmonology and Thoracic Surgery
トピック
内科学 S-05:間質性肺疾患内科学 S-51:免疫不全症呼吸器内科 39:原因が明らかな間質性肺疾患
上位概念
間質性肺疾患
鑑別疾患
Birt-Hogg-Dubé症候群リンパ脈管筋腫症非ホジキンリンパ腫
関連疾患
肉芽腫性リンパ球性間質性肺疾患濾胞性細気管支炎
治療薬
プレドニゾロンシクロホスファミドアザチオプリンミコフェノール酸モフェチルリツキシマブ
症状
乾性咳嗽労作時呼吸困難
検査値
抗La/SSB抗体抗Ro/SSA抗体気管支肺胞洗浄免疫グロブリン定量
画像所見
すりガラス影結節性パターン薄壁嚢胞
元疾患
分類不能型免疫不全症
原因となる疾患
HIV感染症・AIDSシェーグレン症候群

🧠 全体像:(LIP)は、をのリンパ球(B・T細胞)がびまん性に浸潤する、リンパ増殖性のである1。1969年にCarringtonとLiebowが記載し、とは「反復的抗原刺激とリンパ球増殖のスペクトラム」を共有する隣り合う病型とされる——が気管支・に浸潤が限局するのに対し、LIPは全体に及ぶびまん性浸潤である点が組織学的な違いになる。特発例は20%未満にとどまり、LIP症例の最大25%を占めるをはじめ、感染・()が主な背景疾患を占める。診断の核心は(LIP)か単クローン性()かをで見極めることにあり、治療は基礎疾患の管理を主軸にを組み合わせる。

定義と沿革

LIPは間質へのリンパ球性のを本体とする臨床病理学的な実体で、2002年の/分類では(IIP)7病型の一つとされたが、頻度の低さから後に「稀少なIIP」へ再分類された1。組織学的には、B細胞・T細胞によるのがに広がる点が本体であり、これが単クローン性の増殖であると区別する病理学的根拠になる1。(BALT)の過形成やを伴うことがあり、嚢胞は虚血・閉塞後の・のによる局所的ななど複数の機序で生じる1。

濾胞性細気管支炎との異同

特徴 LIP
浸潤の分布 全体に及ぶびまん性 気管支・に限局
関与する 回避する傾向
記載年 1969年(Carrington・Liebow) 1979年(Epler)

両者は「反復的抗原刺激とリンパ球増殖のスペクトラム」を表す一対の病型として理解され、同一患者・同一生検標本に両方の像が混在することも珍しくない1。💡 鑑別そのものより、背景に何があるかを探す方が診療上重要な点はと共通する。

背景疾患

LIPが特発性にとどまるのは全体の20%未満にすぎず、大半に背景疾患を伴う1。

背景疾患 位置づけ
LIP症例の最大25%を占める、最も頻度の高い背景疾患(患者の25%にLIPが起こるという意味ではない)
関節リウマチ・ 他のでも生じる
感染症・ により二次性LIPの転帰が改善する1
() GLILDの文脈で生じうる

⚠️ LIPとGLILDは同じ実体ではない。 GLILDは患者に生じる臨床・画像・病理で定義される複合診断で、その組織像はからなる肉芽腫性要素と、・・を伴う間質のからなるリンパ増殖性要素の併存として定義される2。を伴う患者でLIP様の組織像にが加わればGLILDの枠組みで捉えるが、や肉芽腫を伴わずLIP単独で生じることも多い。

臨床像

とが数か月かけて緩徐に進行するのが典型像で、無症状のまま画像で偶発的に発見される例もある1。、関節痛・体重減少・発熱・といった全身症状を伴うことがある。身体所見ではとを認めるが、は稀である1。はとDLco低下を示すことが多い1。

画像所見

では、・・境界不明瞭な・リンパ管に沿った結節状のがみられる1。嚢胞は30 mm未満で肺内に無作為に分布し、症例の最大80%にみられる——この嚢胞の分布パターンがとの鑑別に有用とされる1。ではを示すが、これ自体は非特異的である1。

診断

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='slowly progressive'>緩徐進行性</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='effort dyspnea'>労作時呼吸困難</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dry cough'>乾性咳嗽</span><br>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution computed tomography'>HRCT</span>での偶発的異常影"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution computed tomography'>HRCT</span>:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ground-glass opacity'>すりガラス影</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thin-walled cyst'>薄壁嚢胞</span>+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='centrilobular nodule'>小葉中心性結節</span>"]
    B --> C["血清学的評価<br>(抗Ro/SSA・抗La/SSB・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antinuclear antibody, ANA'>抗核抗体</span>・RF・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='quantitative immunoglobulin measurement'>免疫グロブリン定量</span>・甲状腺機能・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human immunodeficiency virus'>HIV</span>検査)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='surgical lung biopsy'>外科的肺生検</span>で組織診断"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolar septum'>肺胞隔壁</span>への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyclonal'>多クローン性</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphocytic infiltration'>リンパ球浸潤</span>か"}
    E -->|"はい(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immunohistochemistry (IHC)'>免疫組織化学</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyclonal'>多クローン性</span>を確認)"| F["LIPと診断し、背景疾患を探す"]
    E -->|"いいえ(単クローン性)"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='malignant lymphoma'>悪性リンパ腫</span>を疑う"]

確定診断にはを要し、組織学的にはへの広範な(T細胞・形質細胞・・マクロファージ)を認め、でリンパ腫を除外する1。血清学的評価として・・・・・甲状腺機能・検査を行い、背景疾患を探索する1。

鑑別

⚠️ (肺原発のMALTリンパ腫を含む)との鑑別が診断の核心。 画像・臨床像だけでは区別しにくく、でリンパ球がか単クローン性かをで確認して除外する1。約5%のLIPはリンパ腫へ進展しうるため、診断時に否定できても長期の経過観察が必要になる1。

治療

治療の主眼は基礎疾患の管理であり、その上でを組み合わせる1。最も広く用いられる治療は経口(または同等量0.75〜1 mg/kg/日を8〜12週間、その後)で、約60%が安定化する1。ステロイドの減量や代替治療として、・・・リツキシマブなどのが用いられる1。感染に続発する例では、そのものが治療としてする1。

⚠️ ・GLILDが背景にある場合は、GLILDの項と同様、の最適化を先に行ってから免疫抑制を重ねる。

予後

は多様で、無症状のまま自然軽快する例から進行性の呼吸不全に至る例まで幅がある1。約5%がリンパ腫へ進展しうるとされ、推定median生存期間は11.5年である1。無症状の患者でも、リンパ腫への進展を見逃さないよう密な経過観察が推奨される1。

まとめ

  • LIPはへのリンパ球(B・T細胞)浸潤を本体とする、稀少な。1969年にCarrington・Liebowが記載した。
  • とは「反復的抗原刺激とリンパ球増殖のスペクトラム」を共有する隣り合う病型で、浸潤の分布(LIPはびまん性、は限局)で組織学的に区別される。
  • 特発例は20%未満で、LIP症例の最大25%を占めるのほか感染・が主な背景疾患。患者でGLILDの文脈にも生じうるが、LIPとGLILDは同一の実体ではない。
  • は+(最大80%)+が主体。確定診断にはを要し、であることをで確認してを除外する。
  • 治療は基礎疾患の管理を主軸に、経口が第一選択(約60%が安定化)。は代替・ステロイド減量目的で用いる。
  • 予後は多様で、約5%がリンパ腫へ進展しうるため無症状例でも経過観察を続ける。

出典

  1. 1.Rare interstitial lung diseases: a narrative review(Journal of Thoracic Disease(Carroz KP, Urrutia-Royo B, Marin A, Pons LR, Millán-Billi P, Rosell A, Moran-Mendoza O)・2024)リンパ球性間質性肺炎(LIP)が1969年にCarringtonとLiebowにより記載された臨床病理学的な実体であり、非腫瘍性リンパ球性肺疾患のスペクトラムの一部をなすこと、2002年の分類では特発性間質性肺炎7病型の一つとされたが後に頻度の低さから稀少なIIPへ再分類されたことを確認した。組織学的特徴が間質へのB・T細胞による多クローン性のリンパ球浸潤であり、これが単クローン性であるリンパ腫と区別する根拠になること、気管支関連リンパ組織(BALT)過形成や非壊死性肉芽腫を伴うことがあり、嚢胞は虚血・閉塞後の細気管支拡張・細気管支圧排による局所的な過膨張など複数の機序で生じることを確認した。特発例は全体の20%未満にとどまり、主な関連疾患としてLIP症例の最大25%を占めるSjögren症候群(原文"up to 25% of cases"——LIP症例のうちSjögren症候群を背景に持つ割合であり、Sjögren症候群患者がLIPを発症する割合ではない)、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、HIV感染、分類不能型免疫不全症(CVID)、肉芽腫性リンパ球性間質性肺疾患(GLILD)があること、女性に多く平均発症年齢が30〜50歳であることを確認した。臨床像は労作時呼吸困難と乾性咳嗽が緩徐に進行することが典型で無症状の偶発的発見もあること、胸膜痛・関節痛・体重減少・発熱・寝汗を伴うことがあり、捻髪音と呼気延長を認めるがばち指は稀であること、肺機能検査では拘束性換気障害とDLco低下を示すことが多いことを確認した。HRCTではすりガラス影・薄壁嚢胞・境界不明瞭な小葉中心性結節・リンパ管に沿った結節状の間質肥厚がみられ、嚢胞は30 mm未満で無作為に分布し症例の最大80%にみられリンパ腫との鑑別に有用であること、気管支肺胞洗浄では非特異的なリンパ球増多を示すことを確認した。確定診断には外科的肺生検を要し、組織学的には肺胞隔壁への広範な多クローン性リンパ球浸潤(T細胞・形質細胞・組織球・マクロファージ)を認め免疫組織化学でリンパ腫を除外すること、血清学的評価として抗Ro/SSA抗体・抗La/SSB抗体・抗核抗体・リウマトイド因子・免疫グロブリン定量・甲状腺機能・HIV検査を行うべきであることを確認した。治療は基礎疾患の管理が主眼であり、最も広く用いられる治療は経口コルチコステロイド(プレドニゾンまたは同等量0.75〜1 mg/kg/日を8〜12週間、その後漸減)で約60%が安定化すること、代替としてシクロホスファミド・アザチオプリン・ミコフェノール酸・リツキシマブなどの免疫抑制薬がステロイド減量や代替治療として用いられることを確認した。自然経過は無症状のまま自然軽快する例から進行性の呼吸不全に至る例まで多様であり、約5%がリンパ腫へ進展しうること、推定median生存期間が11.5年であること、無症状例でも密な経過観察が推奨されることを確認した。またHIV感染に続発するLIPでは抗レトロウイルス療法が奏効することを確認した。閲覧 2026-09-02
  2. 2.Approach to diagnosing and managing granulomatous-lymphocytic interstitial lung disease(eClinicalMedicine(Galant-Swafford J, et al.)・2024)肉芽腫性リンパ球性間質性肺疾患(GLILD)がCVID患者に生じる臨床・画像・病理を統合して定義される複合診断であり、その組織像が非壊死性肉芽腫からなる肉芽腫性要素と、濾胞性細気管支炎・結節性リンパ過形成・反応性胚中心を伴う間質のリンパ球浸潤からなるリンパ増殖性要素との併存として定義されていることを確認した。閲覧 2026-09-02