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Symptoms · Published

乾性咳嗽

Dry cough

臓器系
呼吸器感染症
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 R-10:シェーグレン病内科学 S-52:インフルエンザ内科学 L-18:胸水
関連疾患
インフルエンザサルコイドーシスシェーグレン症候群ニューモシスチス肺炎マイコプラズマ肺炎(非定型肺炎)間質性肺疾患器質化肺炎胸水好酸球性肺炎進行性肺線維症特発性肺線維症放射線肺臓炎薬剤性肺障害
起因薬
エナラプリルカプトプリルペリンドプリルラミプリル

🧠 全体像は「痰が伴わない」こと自体が情報を持つ。持続期間や急性・慢性の分類、乾性・湿性の4に譲り、ここではなぜ痰を伴わないのかという機序と、それが診断・治療にどう効くかに絞る。理由は大きく3通りで、①気道の炎症はあるがまだ過剰分泌に至っていない、②病変が気道内腔ではなく肺実質・間質・胸膜側にありすべき分泌物自体が生まれにくい、③の機能そのものが低下している——のいずれかである。

痰を伴わない3つの機序

機序 何が起きているか 代表例
気道粘膜の炎症・の亢進 が刺激されるが、からの過剰分泌はまだ生じていない インフルエンザなど急性の初期
実質・間質・胸膜の病変 病変が気道内腔の外にあり、できる分泌物自体を作らない 胸水
の分泌低下 そのものが減少し、に必要な湿潤が失われる 症候群

💡 で触れたは喉頭・だけでなく胸膜にもある。胸水は気道の分泌物ではなく胸膜の伸展・刺激が引き金であり、気道そのものに病変がなくても咳が出る好例である。

症候群は「炎症で分泌が減る」のではなく、そのものが破壊されて分泌能力が落ちるという他のと異なる機序を持つ。・唾液腺のと同じ延長線上にある症状として理解する。

随伴所見で機序を絞る

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dry cough'>乾性咳嗽</span>"] --> B{"随伴所見は?"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pleuritic pain'>胸膜痛</span>・患側の呼吸音低下"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pleural lesion'>胸膜病変</span>を疑う<br>(胸水など)"]
    B -->|"両側<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lower lung field'>下肺野</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crackles (lung); crepitus (joint)'>捻髪音</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='digital clubbing'>ばち指</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interstitial lung disease, ILD'>間質性肺疾患</span>を疑う<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='idiopathic pulmonary fibrosis, IPF'>特発性肺線維症</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sarcoidosis'>サルコイドーシス</span>・PCP等)"]
    B -->|"眼・口腔の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sicca symptoms'>乾燥症状</span>を伴う"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='exocrine glands'>外分泌腺</span>障害を疑う<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Sjögren'>シェーグレン</span>症候群)"]
    B -->|"発熱・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sore throat'>咽頭痛</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nasal symptoms'>鼻症状</span>が主体"| F["急性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='viral upper respiratory tract infection'>ウイルス性上気道炎</span>など<br>気道粘膜の炎症を疑う"]

実質病変を示す組み合わせ:乾性咳嗽+捻髪音

をはじめとするでは、と並んでが前景に立つ。ここに両側優位の(いわゆるが加わると、ではなく間質病変を積極的に疑う組み合わせになる。も同様に肺胞・間質病変が主体のため、にはなりにくい。

⚠️ (非定型肺炎)は細菌性肺炎でありながら持続するが典型で、はあっても組織侵入性に乏しくを作りにくい。「=細菌性、=ウイルス性・非細菌性」という単純な図式は成り立たない。画像所見のわりに症状が軽いという乖離とあわせて定型細菌性肺炎との鑑別に使う。

鎮咳薬の適応

は「を強力に止めると分泌物が滞留する」ために慎重、と述べているが、これはに限った注意である。にはすべき分泌物がそもそも乏しくによる阻害のリスクは小さい。睡眠を妨げる、胸壁痛を伴う、体力をするといった苦痛が強いでは、などのが症状緩和として適応になりうる。

⚠️ ただしは原因治療の代わりにならない。のような進行性では、咳への対症療法はあくまで支持療法の一部であり、原因治療(・免疫など)と並行して行う。

まとめ

  • の機序は、①炎症はあるが過剰分泌がまだない、②病変が気道内腔の外(実質・間質・胸膜)にある、③の分泌能そのものが低下している、の3通りに整理できる。
  • は胸膜にもあり、胸水の物ではなく胸膜刺激が引き金になる。
  • 両側優位の)を伴うは、を積極的に疑う組み合わせである。
  • は細菌性肺炎でも持続するが典型で、「乾性=非細菌性」と単純化しない。
  • 物が乏しいためよりのリスクが小さく、苦痛が強い場合は症状緩和として使いうる。ただし原因治療の代替にはならない。