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Drug Atlas · A11 Opioids / オピオイド · 必修

コデイン

codeine

分類
Opioids / オピオイドAntitussives & mucolytics / 鎮咳去痰薬
科目
Pharmacology
トピック
A11: Opioids
禁忌疾患
イレウス・腸閉塞気管支喘息慢性閉塞性肺疾患
副作用
便秘傾眠悪心
相互作用
パロキセチンブプロピオンフルオキセチン
解毒薬
ナロキソン

🧠 全体像的にはほぼ不活性なで、鎮痛効果の実体は肝CYP2D6が作り出す少量のモルヒネにある。だから「がどれだけ効くか」は薬そのものではなく服用する人のCYP2D6の活性で決まる、というのがこの薬の理解の核心になる。CYP2D6活性は遺伝的に大きくがあり、この一点が小児・授乳婦での使用制限という現代のガイドラインを丸ごと説明する。

薬効群の中での位置づけ

に分類される。「弱い」とされる理由は受容体への親和性が低いからではなく、活性体(モルヒネ)への変換効率が低いため。同じも一部CYP2D6依存の活性化を受けるが、自身にもμ作動活性があるため代謝のの影響はほど極端ではない。で、同様に弱いとして鎮咳・鎮痛に使われる(詳細は同ノート参照)。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='codeine'>コデイン</span>を内服"] --> B{"肝CYP2D6で<br>O-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='demethylation'>脱メチル化</span>"}
    B -->|"活性化"| C["モルヒネ(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mu-opioid receptor'>μオピオイド受容体</span>を作動<br>→鎮痛"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CYP3A4'>別経路</span>"| E["ノル<span class='jp-term jp-term-diagram' title='codeine'>コデイン</span><br>(弱い活性)"]
    A --> F["延髄の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cough center'>咳中枢</span>を直接抑制"]
    F --> G["鎮咳効果<br>(モルヒネへの変換に依存しない)"]

💡 CYP2D6の活性が「効きすぎ」と「効かなさすぎ」の両方を生む。 ではが速く大量にモルヒネへ変換され、通常量でもに近い状態になりうる——これが小児の術後鎮痛での関連死亡例として問題になり、多くのガイドラインで小児への使用が制限された理由。逆に代謝の遅い者(poor metabolizer)ではモルヒネがほとんど作られず、鎮痛効果がほぼ得られない。

薬物動態

項目 値・特徴
良好(自体は経口で安定)
代謝 肝CYP2D6でモルヒネへ変換(約10%程度)。大部分はCYP3A4でノルへ、も受ける
排泄 代謝物として
半減期 約2.5〜3時間

鎮痛効果はCYP2D6依存、鎮咳効果は比較的非依存。 の抑制は自身のが主体とされ、モルヒネへの変換効率が低くても鎮咳効果は一定程度保たれる。この非対称性が「鎮痛には頼りないが鎮咳にはよく使われる」という臨床上の使い分けを説明する。

⚠️ 中枢性の鎮咳作用があることと、すべての咳で臨が示されることは別である。 成人のではを上回る症状改善を示しておらず、な鎮咳目的には用いない。これはへの限定であり、他の病態での個別の鎮咳適応や鎮痛適応まで否定するものではない。1

適応

領域 使いどころ
呼吸器 に対する鎮咳(の直接抑制)
軽度〜中等度の疼痛(NSAIDs・との併用が多い)
消化器 止瀉(腸管の運動抑制作用を利用、頻度は低い)

用法・用量

鎮咳では少量を頓用または定期投与する。鎮痛では・NSAIDsとの合剤として使われることが多い。12歳未満の小児、後・後の、授乳中の女性には原則使用しないでの過量リスクのため)。実際の用量は適応・年齢・体重・腎肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:既知/疑いのイレウス・腸閉塞を含む)2発作中3閉塞性2
  • ⚠️ 12歳未満の小児・後又は後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者には使用しない。 CYP2D6でモルヒネが過剰に生成され、重篤な呼吸抑制・死亡例が報告されている23
  • ⚠️ 授乳中の女性も同様の理由で避ける。 母体がだと母乳中のモルヒネ濃度が上昇し、乳児が呼吸抑制を起こしうる
  • CYP2D6を強く阻害する薬剤(一部のSSRIなど)との併用で鎮痛効果が減弱しうる

💡 イレウス・腸閉塞は国によって扱いの重みが違う。 EUの製品情報は蠕動抑制を避けるべき病態(を含む)を4.3の禁忌に明記するが2、日本の電子添文は・最近の消化管手術後を禁忌(2.)ではなく9.1.13の慎重投与に置いている3。frontmatter はEUの区分(禁忌)に従うが、日本ではとはされていない

副作用

頻度 内容
高頻度 便秘傾眠悪心
重篤・まれ CYP2D6での様症状・呼吸抑制、依存

まとめ

  • 的にで、鎮痛効果の実体は肝CYP2D6が生成するモルヒネにある。
  • CYP2D6の活性は遺伝的にが大きく、は通常量でもに近い状態になりうる。
  • 鎮咳効果はモルヒネへの変換に比較的依存せず、自身のが主体とされる。
  • 成人のではを上回る有効性が示されておらず、定型使用しない。
  • この代謝の不確実性のため、12歳未満の小児・後又は後の18歳未満・授乳中の女性には使用しない。
  • 発作中・閉塞性・イレウス/腸閉塞は禁忌(EUの区分。日本ではイレウスは慎重投与)。
  • としての「弱さ」はではなく活性化効率の低さに由来する点が試験で問われやすい。

出典

  1. 1.Cough (acute): antimicrobial prescribing (NG120)(National Institute for Health and Care Excellence・2019)成人の急性咳嗽に対するコデイン含有鎮咳薬の有効性閲覧 2026-08-02
  2. 2.Codeine Phosphate 60mg Tablets - Summary of Product Characteristics (SmPC)(electronic medicines compendium (emc), UK・2026)適応(4.1)は12歳超で「パラセタモール・イブプロフェン単剤で緩和されない急性中等度疼痛」「乾性・有痛性咳嗽」「下痢」という臨床状態のみで疾患名を挙げないこと。禁忌(4.3)に閉塞性気道疾患・蠕動抑制を避けるべき病態(麻痺性イレウス等)・CYP2D6超高速代謝者を含むこと閲覧 2026-08-03
  3. 3.日本薬局方 コデインリン酸塩散1%「メタル」 添付文書(中北薬品株式会社(PMDA承認の医療用医薬品添付文書)・2020)禁忌(2.)に12歳未満の小児(2.2)・扁桃摘除術後又はアデノイド切除術後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者(2.3)・気管支喘息発作中の患者(2.4)を含むこと。麻痺性イレウス・器質的幽門狭窄(9.1.13)は禁忌でなく慎重投与の扱いであること。効能又は効果は「各種呼吸器疾患における鎮咳・鎮静」「疼痛時における鎮痛」「激しい下痢症状の改善」で、いずれも疾患名でなく症状に基づく適応であること閲覧 2026-08-03