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Disease Atlas · 感染症 · 疾患

インフルエンザ

Influenza

臓器系
感染症呼吸器
科目
Medical MicrobiologyInternal Medicine
トピック
微生物学 3/26:オルソミクソウイルス内科学 S-52:インフルエンザ
鑑別疾患
ポリマーヒューム熱金属ヒューム熱普通感冒
合併症
市中肺炎
続発疾患
心筋炎横紋筋融解症ライ症候群
治療薬
オセルタミビルバロキサビルアマンタジンザナミビルペラミビル
原因微生物
Influenza A virusInfluenza B virusInfluenza C virus
症状
悪寒咽頭痛下痢乾性咳嗽筋痛倦怠感弛緩性麻痺頭痛発熱嘔吐痙攣
組織像
H1N1インフルエンザウイルス肺炎
適応薬
ザナミビルペラミビル

🧠 全体像:インフルエンザは「小さな変化=毎年の季節性流行、大きな変化=数十年に一度の」という2段構えの変異戦略を持つウイルスによる急性である。8分節に分かれたゲノムが点変異を蓄積するは季節性流行にとどまるが、2株が同一細胞にして分節を丸ごと交換する(A型のみで起こる)は免疫のない新型株を生み出しに至る。臨床では、高リスク・重症・入院患者に対しては検査結果や発症からのにこだわらず抗ウイルス薬を開始することが最重要。

病原体と発症機序

は・8分節ゲノムを持つで、核内で複製する数少ないウイルスである(もう一つの例外はレトロウイルス)。ヒトの主要病原体はInfluenza A・B・Cで、主に飛沫感染により伝播する。

エンベロープ上の(HA)が肺・咽頭上皮細胞のに結合して感染が成立し、エンドサイトーシス後にによるpH調整で、核内で複製した後、(NA)が細胞表面のを切断して新規を遊離させる。

flowchart TD
  A["HAが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sialic acid'>シアル酸</span>に結合<br>(肺・咽頭上皮細胞)"] --> B["エンドサイトーシス→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='M2 protein'>M2蛋白</span>がpH調整→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uncoating'>脱殻</span>"]
  B --> C["核内で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='viral replication'>ウイルス複製</span>"]
  C --> D["新規<span class='jp-term jp-term-diagram' title='virion'>ビリオン</span>が細胞表面に結合"]
  D --> E["NAが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sialic acid'>シアル酸</span>を切断→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='virion'>ビリオン</span>遊離"]

インフルエンザAはHA・NAの亜型(ヒト感染では主にH1・H2・H3)で分類され、(HA/NAの点変異、A型・B型で起こる)による季節性流行に加え、(2株のによる分節の、A型のみ)がの原因となる。B型は季節流行を起こすがは起こさず、C型は通常軽症、D型は主にに感染する。

⭐ 「はA型のみ」は頻出ポイント。 B型・C型はを起こすを持たないため、の原因にはならない。

臨床像

突然の発熱・悪寒、、、に加え、強い頭痛・筋痛・感を伴う。高齢者・免疫抑制者では発熱を欠くなどな経過を取りうる。小児では嘔吐・下痢、熱性痙攣もみられる。

合併症は原発性、(S. pneumoniae、S. aureusなど、を参照)、・喘息・心不全の悪化、筋炎、脳症、心筋炎である。いったん改善した後に再発熱・が出現すればを疑う。

⚠️ との関連。 インフルエンザ感染後に上行性のを来しうる。髄液所見は蛋白上昇・細胞数正常というが特徴的。

診断

flowchart TD
    A["流行期の急性発熱性呼吸器症状"] --> B{"入院/重症・進行性/高リスク"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleic acid amplification test, NAAT'>核酸増幅検査</span>を採取し経験的抗ウイルス治療を開始"]
    B -->|"いいえ"| D["臨床診断または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapid molecular test'>迅速分子検査</span>"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coronavirus disease 2019'>COVID-19</span>等との<span class='jp-term jp-term-diagram' title='co-infection'>同時感染</span>も評価"]
    D --> F["発症48時間以内なら治療を検討"]

が最も感度に優れ、は陰性でもインフルエンザを除外できない。抗ウイルス治療が必要な患者では検査結果を待たない。

治療

状況 治療
入院、重症・進行性、高リスク (経口/経管)をできるだけ早く開始。発症48時間超でも利益があり得るため治療を遅らせない
合併症のない発症48時間以内 、、、から年齢・妊娠・併存症で選択
妊娠 を優先し、疑い段階で治療開始

入院・重症・進行性患者になどを定型使用せず、推奨されるを検査結果前から開始する。1

吸入は喘息・でのリスクがあり、単剤は妊娠・授乳中、重症免疫抑制、入院・進行性疾患の患者では推奨されない。インフルエンザB型が疑われる場合はがより症状改善を早めるとの報告があり選択肢となる。

⚠️ 小児・若年者へのアスピリン投与は(、肝不全、脳症、発熱、発疹、嘔吐)を誘発しうるため禁忌。

、、酸素化を支持療法として行い、を疑う場合のみ抗菌薬を追加する。・は阻害薬でA型にのみ有効だが、現在の季節性インフルエンザ株は耐性のため使用しない。

予防

  • 年1回の接種(組成は流行予測に合わせ更新)。(筋注)と(経鼻噴霧)がある。
  • かつてはA型2株+B型2株(Victoria・Yamagata 系統)の4価が主流だったが、B/Yamagata 系統は2020年3月以降自然感染株が確認されておらず、は2023年9月以降この抗原をワクチンから除くよう推奨している。現行の3価はA型2株(H1N1・H3N2)+B型1株(Victoria 系統)で、は各国にできるだけ早い3価への切り替えを促している。2
  • 、換気、咳エチケット、医療現場での。
  • や重症化リスクの高いでは、・またはによる曝露後予防を検討する。

まとめ

  • インフルエンザはA・B・C型のによる急性で、HAがに結合し核内で複製後、NAがを遊離させる。
  • (季節性流行、A・B型)と(、A型のみ)という2種類の変異様式を持つ点が最重要。
  • 高リスク・重症・入院例では検査結果や発症48時間という区切りにこだわらず、を開始する。
  • 小児にはのリスクからアスピリンが禁忌で、、、心筋炎などの合併症を監視する。
  • 予防は年次ワクチン接種が中心の柱となる。

出典

  1. 1.Influenza Antiviral Medications: Summary for Clinicians(Centers for Disease Control and Prevention・2026)入院・重症・進行性インフルエンザでは検査確定や発症48時間を待たずオセルタミビルを開始し、バロキサビルを入院・進行性疾患へ定型使用しないことを確認した。閲覧 2026-08-02
  2. 2.Frequently Asked Questions: Transitioning to Trivalent Seasonal Influenza Vaccines(World Health Organization・2025)2020年3月以降B/Yamagata系統の自然感染株が確認されず、WHOは2023年9月以降これをワクチンから除くよう推奨し、3価(A型H1N1・H3N2+B/Victoria系統)への早期切り替えを各国に促していることを確認した閲覧 2026-09-27