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Microbe Atlas · ウイルス

Influenza C virus

C型インフルエンザウイルス

分類
オルソミクソウイルス / Orthomyxoviruses
性状
エンベロープあり Enveloped(−)ssRNA
科目
Medical Microbiology
トピック
3/26: Orthomyxoviruses
自然耐性薬
アマンタジンオセルタミビル
原因となる疾患
インフルエンザ

🧠 全体像:C型は3種類の中で最も「地味」なウイルスである。軽症で通常は流行を起こさずA型B型が共有するHA・NAという2枚看板を持たず、代わりにという1つの糖蛋白で接着・脱離・の3役をこなす。この構造上の違いこそが、C型に対して既存のがほとんど無力である理由に直結する。

構造とゲノム

項目 内容
科・ゲノム Orthomyxoviridae科。(−)7分節に分けて持つ——A型・B型の8分節より1つ少ない
表面蛋白 (hemagglutinin-esterase-fusion)——HA(接着)・NA(脱離、による)・F蛋白()の3つの機能を単一の糖蛋白で兼ねる
受容体 ——A型・B型が結合する単純なとは異なる

8分節ではなく7分節である理由がに集約される。 A型・B型はHA遺伝子とNA遺伝子が別々の分節にあるためゲノムが8分節になるが、C型はこの2つの機能を1つのHEF遺伝子に統合しているため、独立したNA遺伝子そのものが存在しない。結果としてゲノムは7分節で完結する。

病原性の仕組み

に結合して細胞に接着し、により細胞内へ侵入する。増殖後は同じが受容体を分解し、新生を遊離させる——A型・B型のようにHAとNAという別々の蛋白で担う工程を、C型は1つの蛋白で完結させている。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemagglutinin-esterase-fusion protein'>HEF蛋白</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='9-O-acetylated sialic acid'>9-O-アセチル化シアル酸</span>に結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='membrane fusion'>膜融合</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cell entry'>細胞侵入</span>・核<span class='jp-term jp-term-diagram' title='endomitosis'>内複製</span>"]
    B --> C["HEFの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='esterase activity'>エステラーゼ活性</span>が<br>受容体を分解し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='virion'>ビリオン</span>遊離"]
    C --> D["軽症の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper respiratory tract infection'>上気道感染</span><br>(通常は流行を形成しない)"]

感染経路と疫学

  • 感染
  • 主に乳幼児期に初感染し、多くは6歳頃までに抗体を獲得する
  • A型・B型のように明確な季節性流行を作らず、に発生する
  • を持たないため、A型のようなが起こらず、B型と同様を起こさない

起こす疾患

病型 特徴
様) 大半を占める病型で、通常は軽症・自然軽快する
下気道感染 乳幼児でまれに気管支炎・肺炎を起こすことがあるが頻度は低い

C型は「流行を起こさない」インフルエンザとして覚える。 A型・B型のような明確な季節性の集団流行はまれで、標準的なパネルも多くがA型・B型のみを対象としているため、日常臨床で積極的に検査・診断されることは少ない。

診断

  • 臨床像が軽微なため通常は積極的に検査されない
  • 確定にはRT-PCRを要するが、多くの検査パネルはC型を対象に含まない

治療と予防

薬剤 有効性
などNA阻害薬 無効——C型は独立したNAを持たずに機能が統合されているため標的が存在しない
(M2阻害薬) 無効——A型のM2に相当する蛋白を持たない
  • 承認された特異的抗ウイルス薬はない
  • 疾患負担が小さいため、季節性にC型株は含まれない(A型2〜3株+B型株のみで構成される)

まとめ

  • C型はOrthomyxoviridae科だが、A型・B型と異なりHA・NAではなく(接着・脱離・を1つで兼ねる)を持ち、ゲノムも7分節と1つ少ない。
  • を持たないためB型と同様を起こさず、通常は軽症・的なにとどまる。
  • 大半の乳幼児が6歳頃までに感染・抗体獲得を終える、ありふれているが目立たないウイルスである。
  • NA阻害薬・M2阻害薬はいずれも標的となる蛋白を持たないため無効で、承認された抗ウイルス薬・ワクチンはない