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Symptoms · Published

弛緩性麻痺

Flaccid paralysis

臓器系
神経感染症
科目
NeurologyMedical Microbiology
トピック
神経内科 G1-31:ギラン・バレー症候群微生物学 3/29:ピコルナウイルス:ポリオウイルス微生物学 2/27:ボツリヌス菌とクロストリジオイデス・ディフィシル
関連疾患
インフルエンザギラン・バレー症候群ジフテリアボツリヌス症ポリオ外傷性脊椎・脊髄損傷狂犬病周期性四肢麻痺脊髄性筋萎縮症腕神経叢損傷
起因薬
(シス)アトラクリウムパイプキュロニウムベクロニウムミバキュリウムロクロニウム

🧠 全体像は所見の名前だが、という枠に入れた瞬間に、臨床の問いとの問いが同時に立ち上がる特殊な症状である。臨床の問いは「呼吸が止まる前にどれか」、の問いは「ポリオでないと言い切れるか」。前者はのどの高さが落ちたかで、後者はと検体採取で答える。この2本立てを最初から並行させるところが、他の麻痺と決定的に違う。

急性弛緩性麻痺という枠組み

の消失が組み合わさった状態がで、・末梢神経・・筋)のどこかが断たれたことを意味する。との一般的な対比は麻痺にある。

⚠️ ただし急性期はでも弛緩性に見える、脳卒中初期)。「弛緩性だから末梢」と即断せず、・膀胱直腸障害・顔面の巻き込みを先に確認する。

は、数時間から2週間以内に進行する弛緩性のを原因を問わずまとめて拾う操作的な枠である。原因で絞らないところに意味がある——ポリオ事業では「ポリオを見逃さない網」として、臨床では「呼吸筋に届く前に捕まえる網」として働く。

4つを切り分ける

進行の向き 非対称、下肢優位、 下行性(脳神経から四肢へ) 上行性(下肢から上肢・顔面へ)、対称性 近位優位、発作性で反復する
状況・前駆 発熱と胃腸症状の後、をはさんでに麻痺 缶詰・保存食、乳児では蜂蜜、創傷 1〜3週前の下痢または気道感染 高糖質食・激しい運動の後、夜間〜早朝。甲状腺機能亢進症
感覚 保たれる 保たれる を伴う 保たれる
自律神経・瞳孔 通常正常 、口渇、便秘。が先行 血圧の、不整脈、尿閉 正常
発熱 あり なし 通常なし なし
決め手 便・咽頭のウイルス分離とRT-PCR 毒素の検出、反復刺激での 髄液の と心電図

最初に取る2軸は「進行の向き」と「感覚障害の有無」である。 下行性で感覚が保たれ瞳孔がしていれば、上行性・対称性でを伴えば、非対称で発熱を伴い感覚が保たれていればポリオ。この2軸で方向が決まる。

⚠️ だけはとして追ってはいけない。 反復する発作歴があり感覚も脳神経も正常なら、まずを測る。麻痺そのものは補正で戻るが、同じカリウム異常がを起こすため、心電図が検査より優先される。

💡 乳児で「哺乳力低下・の減弱・便秘・の消失」が並んだら、とひとまとめにせずを具体的に考える。腸管フローラが未熟な1歳未満では、の摂取ではなく芽胞が腸管内で毒素を産生するという別の経路をとる。

呼吸を先に確保する

⚠️ で命を落とす経路は、ほぼと誤嚥の2つに集約される。麻痺の広がりを追うより、次を反復して測る。

  • ・呼気圧の推移(単回の絶対値ではなく低下の速さを見る)
  • の徴候——嚥下、構音、咳嗽の弱さ、分泌物の貯留
  • の筋力。横隔膜と近いに支配されるため、換気不全の先行指標になる

⭐ 気道確保の判断は数値だけでは決まらない。血液ガスが崩れるのは代償が尽きた後なので、動脈血の異常を待つと遅い。会話が続かない、浅く速い呼吸、臥位で悪化する呼吸困難といった臨床的なで決める。

届け出る

⭐ AFPは、担当医の診断がつく前に上の動きが始まる数少ない症状である。ポリオ事業では原因を問わず15歳未満のAFPを全例の対象とし、発症から日を置かずに、時間をあけた2回の便検体を採取してウイルス分離に回す。診断を確定してから採取すると、排出期を過ぎて陰性になる。

日本の感染症法でも、(ポリオ)とジフテリアは2類、は4類として、いずれも診断したが直ちに全数届け出る。加えて、ポリオを除く15歳未満のそのものが5類の全数対象に加えられている。

⚠️ は「確定してから」の作業ではない。 ではの確保、ポリオ疑いでは調査と検体搬送が、いずれも疑った時点で動き出さないと間に合わない。を診断確定の後工程として扱わない。

まとめ

  • のどこかが断たれた所見だが、急性期のも弛緩性に見えることを先に除外する。
  • は原因を問わず拾う操作的な枠で、臨床(呼吸)と(ポリオ)の2つの目的を同時に果たす。
  • 切り分けの2軸は進行の向きと感覚障害の有無。は下行性・は上行性・、ポリオは非対称・発熱・感覚正常。
  • 反復する発作性の近位筋麻痺ではと心電図を先に取る。不整脈のほうが麻痺より危険である。
  • 監視するのは麻痺の広がりではなく、の推移・力。血液ガスの異常を待たない。
  • ポリオ疑いと疑いのは確定診断を待たない。検体採取もの確保も、疑った時点でしか間に合わない。