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Drug Atlas · A9 Muscle relaxants / 筋弛緩薬

ベクロニウム

vecuronium

分類
Muscle relaxants / 筋弛緩薬
商品名(日本)
マスキュラックス
商品名(EU)
Norcuron
科目
Pharmacology
トピック
A9: Centrally and peripherally acting skeletal muscle relaxants
副作用
弛緩性麻痺の遷延
解毒薬
スガマデクス

🧠 全体像と同じだが、作用発現がやや遅い(約2〜3分)ためRSIの第一選択にはならず、麻酔維持の標準薬という位置づけになる。もう一つの違いがを持つこと。腎不全患者ではこの代謝物が蓄積し、作用が予想以上に遷延しうる。

薬効群の中での位置づけ

との違いは「作用発現の速さ」と「の有無」に集約される。の位置づけ表を参照。の中で標準的な中時間作用薬にあたり、(長時間作用)と(最速発現)の中間に位置する。

機序

nAChRをに遮断してを起こす機序はと共通(の機序を参照)。による拮抗も同様に有効。

薬物動態

項目 値・特徴
作用発現 約2〜3分(より緩徐)
作用持続 中時間作用(約25〜40分)
代謝 肝で一部を生成
排泄 主に肝・胆道系、一部

⚠️ 腎機能低下ではが蓄積し、作用が予想以上に遷延する。 にはこのの問題がなく、腎不全患者での性という点で優位に立つ。

適応

全身麻酔時の筋弛緩・気管内挿管時の筋弛緩。特定の疾患に対してではなく、麻酔・手術という手技に対して承認された適応であり、EU・日本のいずれの添付文書にも疾患名を挙げた適応の記載はない12。作用発現がより緩徐なため、RSIより通常導入・麻酔維持で選ばれる。

用法・用量

用量に続き、術中は間欠的追加投与またはで維持する。実際の用量は適応・年齢・体重・腎肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤・イオンへの過敏症の既往、人工呼吸ができない患者1
  • 重症筋無力症・筋無力症候群などNMJ伝達障害は禁忌ではなく慎重投与への感受性が極めて高く、少量でも効果が著しく遷延しうるため、)下で個別に用量をする12
  • 日本の添付文書では例外的に、重症筋無力症・筋無力症候群の患者のうちに対する過敏症の既往がある患者のみを禁忌とする(拮抗薬であるが使えず、筋弛緩が遷延する恐れがあるため)。2016年の改訂以前は重症筋無力症全般が禁忌とされていたが、日本麻酔科学会からの要望を契機に、筋弛緩モニター下でのによる確実な拮抗で管理できるとの医学的知見に基づき、禁忌の対象が過敏症の既往がある患者のみへ縮小された3。EU(独)の添付文書はもともと重症筋無力症全般を禁忌とせず、慎重投与としてきた1
  • 腎機能低下の蓄積により作用が遷延しうる。)が重要

副作用

高頻度・重篤な副作用のプロファイルはとほぼ共通(アナフィラキシー、の遷延)。腎不全患者では蓄積による遷延がより起こりやすい点が異なる。

まとめ

  • と同じ。機序・による拮抗はと共通。
  • 作用発現がより緩徐(約2〜3分)なため、RSIよりも通常の麻酔維持に向く。
  • )を持ち、腎不全で蓄積・作用遷延のリスクがある点がとの主な違い。

出典

  1. 1.Fachinformation Vecuronium Inresa 10 mg(Inresa Arzneimittel GmbH(独)Fachinformation・2014)効能・効果は全身麻酔の補助(気管挿管の容易化・手術中の骨格筋弛緩)という手技ベースの記載で疾患名の適応はなく、禁忌は「人工呼吸ができない患者」と「本剤・臭化物イオン・添加剤への過敏症」の2点のみで、重症筋無力症・Eaton-Lambert症候群は禁忌でなく「少量でも効果が著しいため個別に用量を滴定する」慎重投与の対象とされていること閲覧 2026-08-03
  2. 2.ベクロニウム静注用4mg/10mg「F」 添付文書(2016年3月改訂)(富士製薬工業株式会社の公式添付文書PDF(medley.life がミラーホスティングしたもの。PMDA公式サイトから直接取得したものではない)・2016)日本の現行添付文書の効能・効果は「麻酔時の筋弛緩、気管内挿管時の筋弛緩」で疾患名の適応はなく、禁忌は成分・臭化物過敏症の既往、重症筋無力症・筋無力症候群の患者のうちスガマデクスナトリウムに対して過敏症の既往歴のある患者、妊婦又は妊娠している可能性のある患者の3点であること閲覧 2026-08-03
  3. 3.エスラックス静注・マスキュラックス静注用 添付文書改訂のお知らせ(2016年3月)(MSD株式会社・2016)2016年3月の改訂で、日本の禁忌が「重症筋無力症、筋無力症候群の患者」全般から「同患者のうちスガマデクスナトリウムに過敏症の既往歴がある患者」へ限定され、一般の重症筋無力症患者への注意喚起は慎重投与・重要な基本的注意へ移されたこと(改訂理由は日本麻酔科学会からの要望を受け、筋弛緩モニター下での用量調整とスガマデクスによる拮抗で管理可能との医学的知見に基づくもので、2016年3月16日の厚生労働省医薬品等安全対策部会で了承されたと記載。英米の添付文書との比較には触れていない)閲覧 2026-08-03