呼吸器学

呼吸器学 · 39

原因が明らかな間質性肺疾患

Interstitial lung diseases with known etiology

前提:病態
慢性間質性(拘束性)肺疾患
前提:正常
過敏反応(I〜IV型)
疾患
Still肺病変ポリマーヒューム熱ランゲルハンス細胞組織球症リンパ球性間質性肺炎過敏性肺炎・塵肺症間質性肺疾患金属ヒューム熱進行性肺線維症炭鉱夫塵肺症濾胞性細気管支炎
症状
レイノー現象
画像所見
結節性パターン中心小葉性結節

ポッドキャスト

🧠 全体像:原因既知のでは、抗原・・薬剤・自己免疫疾患を特定すること自体が治療につながる。は「仕事名」だけでなく、作業、住居、鳥、カビ、加湿器・浴槽、薬剤開始時期まで掘り下げる。

1. ILDと線維化

は遠位と肺実質に炎症・を起こす150以上のである。は不可逆的な病理変化だが、すべてのILDが線維化するわけではなく、原因除去で改善可能な病態もある。

2. 原因分類

過敏性肺炎

(以下HP)は反復するへの免疫反応で生じる。IgGに加えT細胞性反応が重要で、単純なだけでは説明できない。

病型 曝露
カビた干し草
鳥の羽毛、、血清蛋白
化したなど。感染そのものより宿主炎症反応が中心の場合が多い
加湿器・空調関連 カビ・微生物を含む

現行の診断では旧来の急性・亜急性・慢性という時間分類より、非線維性と線維性に分ける。2020年の/JRS/ALAT指針はこの2つを「臨床表現型」と呼び、線維化の放射線学的・組織学的な証拠の有無で分けたうえで、検査ごとの推奨を病型別に書き分けている1。

検査
特異IgG抗体 提案 提案
のリンパ球分画 推奨 提案
経気管支 提案 賛否とも推奨なし
経気管支凍結 賛否とも推奨なし 提案
他の検査で診断がつかない場合に提案 他の検査で診断がつかない場合に提案

推定効果への確信度はいずれも非常に低い。票については、検証済みのものが無いため賛否いずれの推奨も出さず、代わりに検証された票の開発を求めている——それまでは曝露源を洗い出す丁寧なで代替せよ、という立場である1。

じん肺

疾患 曝露 特徴
長期の石炭 炎症・線維化、
鉱山、ガラス、の 呼吸困難、咳、倦怠感、体重減少。結核リスク上昇
繊維 、、線維化。肺癌・リスク上昇

その他

3. 症候

4. 診断

flowchart TD
  A["時間軸を含む曝露・薬剤・CTD歴"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high-resolution computed tomography'>HRCT</span>・肺機能・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diffusing capacity of the lung for carbon monoxide'>DLCO</span>"]
  B --> C["自己抗体・ABG・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='6-minute walk test'>6MWT</span>"]
  C --> D["原因との整合性をMDDで検討"]
  D --> E["必要時<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchoalveolar lavage'>BAL</span>・生検"]
  E --> F["原因除去と治療後の反応を再評価"]

画像・肺機能

BAL・生検

5. 治療原則

  1. 原因抗原・・薬剤を同定し、曝露回避または原因薬中止を行う。
  2. CTD-ILDでは基礎疾患とILDパターンに応じ免疫調整治療を選ぶ。2023年のACR/CHEST指針は、関連ILDを除く関連ILDでは副腎皮質ステロイドを第一選択として条件付きで推奨し、第一選択のとして・・リツキシマブ・を条件付きで推奨している2。
  3. ⚠️ 関連ILDだけは逆で、副腎皮質ステロイドを第一選択にしないことが「強い推奨」である。 同指針は、第一選択としての使用と、第一選択治療後に進行した場合の長期投与の2箇所で強い推奨を置いており、根拠はの危険に関する中等度の確実性と、有効性に関する非常に低い確実性の非対称である。禁止ではなく、使うなら最少(換算で可能なら1日15 mg未満)とされ、増悪時や治療切替のつなぎとしての短期使用には役割が残る2。
  4. 代替説明なく1年以内に症状・肺機能・画像の3領域中2つ以上が悪化するでは、基礎疾患治療を最適化したうえでを条件付きで検討する(エビデンスの質は低い)3。
  5. 酸素、、感染予防、・併存症治療を行う。

まとめ

  • 原因既知ILDでは詳細な曝露・薬剤・自己免疫歴が最重要のである。
  • HPは免疫複合体だけでなく細胞性免疫も関与し、曝露回避が治療の中心となる。
  • HPは急性・亜急性・慢性ではなく非線維性・線維性で分け、この2病型で推奨される検査が変わる(は線維性でのみ提案、は非線維性でのみ提案)。
  • 、肺機能、・生検を多職種で統合し、侵襲的検査を全例に機械的に行わない。
  • 関連ILDでは副腎皮質ステロイドが第一選択として条件付きで推奨されるが、関連ILDだけは第一選択にしないことが強い推奨である(腎クリーゼ)。短期のつなぎ使用まで禁じたものではない。

出典

  1. 1.Diagnosis of Hypersensitivity Pneumonitis in Adults: An Official ATS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline(American Thoracic Society / Japanese Respiratory Society / Latin American Thoracic Society・2020)全文(PMC7397797)を閲覧。過敏性肺炎を非線維性・線維性の2つの臨床表現型に分け、検査ごとに別々の推奨を置いていること、非線維性ではBALリンパ球分画が「推奨」・特異IgG抗体と経気管支鉗子肺生検が「提案」で経気管支凍結肺生検は賛否とも推奨なし、線維性では特異IgG抗体・BALリンパ球分画・経気管支凍結肺生検が「提案」で経気管支鉗子肺生検は賛否とも推奨なし、外科的肺生検は両病型とも他の検査で診断がつかない場合に限る趣旨の「提案」であること、問診票については検証済みのものが無いため賛否いずれの推奨も出さず検証された問診票の開発を求めていること(推定効果への確信度はいずれも非常に低い)を確認した閲覧 2026-09-21
  2. 2.2023 American College of Rheumatology (ACR)/American College of Chest Physicians (CHEST) Guideline for the Treatment of Interstitial Lung Disease in People with Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases(American College of Rheumatology / American College of Chest Physicians・2024)全文(PMC12646471)を閲覧。35の推奨のうち強い推奨は2つだけで、どちらも全身性強皮症関連ILDに対する副腎皮質ステロイドの否定(第一選択としての使用と、第一選択治療後に進行した場合の長期投与)であること、それ以外の膠原病関連ILDでは副腎皮質ステロイドが第一選択として条件付きで推奨されること、第一選択薬としてミコフェノール酸・アザチオプリン・リツキシマブ・シクロホスファミドが条件付きで推奨されること、強い推奨の根拠が強皮症腎クリーゼの危険についての中等度の確実性と有効性についての非常に低い確実性であること、使用する場合は最少有効量でプレドニゾン換算 15 mg/日 未満が望ましいとされ、増悪時や治療切替のつなぎとしての短期使用には役割が残ると本文が述べていることを確認した閲覧 2026-09-21
  3. 3.Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline(American Thoracic Society / European Respiratory Society / Japanese Respiratory Society / Latin American Thoracic Society・2022)全文(PMC9851481)を閲覧。進行性肺線維症の定義(IPF以外のILDで、代替説明なく過去1年以内に症状悪化・生理学的進行・画像上の進行の3領域中2つ以上)と、標準管理に失敗した線維性ILDに対するニンテダニブの条件付き推奨(エビデンスの質は低い)、ピルフェニドンについては推奨ではなく追加研究の要請にとどまることを確認した閲覧 2026-09-21