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6分間歩行試験

Six-minute walk test

別名
6MWT6分間歩行テスト
臓器系
呼吸器循環器運動器
科目
Pulmonology and Thoracic Surgery
トピック
呼吸器学 03:運動負荷試験:6分間歩行試験
構成:症状
呼吸困難

🧠 全体像:()は、平地を6分間で自己ペースでどれだけ歩けるかを測る機能的運動能の検査である。距離という単一の数字が結果ではなく、・心拍応答・(呼吸困難・疲労)・休憩や酸素条件を合わせて解釈する総合評価である。「機能的=負荷が軽い」わけではなく、最高酸素摂取量・最高心拍数は(CPET)と同程度に達する。

目的と適用場面

構成要素と配点

⭐ はのような点数化された配点表を持たず、歩行距離と付随指標を組み合わせて解釈する形式である。標準化された実施手順の要点は次のとおり。

項目 標準的な方法
コース 平坦で硬い直線を往復、30 m以上を推奨(基準式のコース長に合わせるため)
所要時間 6分間、自己ペース。走らない
励まし 標準化した文言で毎分(/技術標準)。休憩は可能だがタイマーは止めない
測定項目 6MWD、、終了時脈拍、(呼吸困難・疲労を別々に)、休憩回数、・酸素条件
ベースライン 2回実施し最良の6MWDを採用。同日なら30分以上空けて脈拍・SpO₂がベースラインへ戻ってから再検

1

(CR10)は0〜10点のスケールで、呼吸困難と疲労を検査前後で別々に評価する。歩行距離やSpO₂が同じでも症状負担は患者ごとに異なるため、指標を補う患者報告指標として使う。2

解釈とカットオフ

  • 6MWDだけでなく、・心拍応答・・休憩や酸素条件をまとめて解釈する。 単一の距離だけで運動制限の機序は分からない。
  • 健常成人(30歳超)の6MWDはおおむね538.7〜643 mと報告されているが、年齢・性別・身長・体重で大きく変わるため、実際の解釈には基準式を用いる。3
  • ⭐ 学習効果はできない。 の13研究をまとめると2回目のは平均26.3 m延び、最大規模の研究(1,514例)の95%信頼区間は24〜29 mである。これは後述のとほぼ同じ大きさのため、1回だけ測って「治療で伸びた」と読むと学習効果を効果と取り違える。やリスク評価のために一度だけ測る場面では、学習効果の重みは相対的に小さい。1
  • :/技術標準(2014)は、成人のにおける6MWDのを30 m(25〜33 mの範囲にあると確信できる)とし、疾患の種類やベースラインの6MWDによって変わるという根拠は乏しいとしている。一方、が2024年11月時点でまとめる疾患別の一覧は個々の研究から得られた値で、 25〜33 m、非嚢胞性線維症性25 m、21.7〜45 m、肺癌(悪化の指標として)22〜42 mなどが並ぶ。どちらの数字を使うにせよ、誰の何年の文書の値かを添える——技術標準自身の30 mと、が個別研究から集めた疾患別の値は出どころが異なる。13

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 中止基準を厳守する。 SpO₂が80%未満へ低下したら中止する。80%未満で中止するプロトコルは有害事象のが極めて低く、漸増の勧告とも一致する。SpO₂が85%以上へ回復すれば歩行の再開を求めてよい。ほかの中止理由は胸痛、耐え難い呼吸困難、下肢の痙攣、よろめき、発汗、蒼白または土気色の顔色である。1

⚠️ CPETの・がそのまま適用される。 での安静時SpO₂ 85%以下は禁忌の側に含まれるが、下での実施を許す注記が付く。安定したは禁忌ではないが、を使用しのを手元に置いたうえで実施する。(3〜5日以内)、、重症未治療高血圧、制御不能な不整脈・心不全・喘息、急性肺塞栓症など、CPETの禁忌一覧に該当する患者は検査を指示・監督するへ個別判断を求める。1

⚠️ 距離を測る検査の途中で酸素をしない。 経時比較を目的とする検査では処方どおりの酸素条件を変えずに行い、酸素流量のが目的なら別プロトコルで実施する。安全上の理由で条件を変更した場合は、その回を比較対象から外し結果に明記する。1

⚠️ 「機能的=軽負荷」と読まない。 とCPETを直接比較した研究では、最高酸素摂取量・最高心拍数は両者で同程度に達する。低いのは換気側の要求(最高CO₂産生量・最高換気量・呼吸交換比)であり、これが患者にとっての実施しやすさにつながると考えられている。歩行距離だけで運動制限の機序(換気・循環・末梢筋のいずれか)は区別できず、機序を詰めるにはCPETが要る。1

年齢、身長、体重、性別、コース長、励まし方も結果に影響するため、経時比較では同じコース・同じプロトコルを用いる。

まとめ

  • は自己ペースの機能的運動能検査で、歩行距離だけでなく・心拍応答・・酸素条件をあわせて解釈する。
  • コースは30 m以上、励ましは毎分、SpO₂は連続測定。ベースラインは2回測定し最良値を採用する(学習効果がと同程度のため)。
  • 中止基準はSpO₂ 80%未満。85%以上へ回復すれば再開可。ほかに胸痛・耐え難い呼吸困難・下肢痙攣・よろめき・発汗・蒼白で中止する。
  • CPETの・がそのまま適用され、安静時SpO₂ 85%以下は下での実施が前提になる。
  • 最高酸素摂取量・最高心拍数はCPETと同程度に達するため「軽い負荷」とは限らず、運動制限の機序を区別する検査ではない。
  • は技術標準の30 m(25〜33 m)と、が個別研究から集めた疾患別の値とで出どころが異なる点に注意する。

出典

  1. 1.An official European Respiratory Society/American Thoracic Society technical standard: field walking tests in chronic respiratory disease(European Respiratory Society / American Thoracic Society・2014)誌上版PDF全文(thoracic.orgが公開する公式PDF、19頁、Eur Respir J 2014; 44 1428-1446)で確認した。歩行路は30 m以上を推奨、励ましは60秒ごとに定型句、SpO₂は連続測定、距離を測る試験では酸素を滴定せず滴定が目的なら別試験にすること。中止基準はSpO₂が80%未満へ低下したときで、85%以上へ回復すれば再開を求めてよく、ほかの中止理由は胸痛・耐え難い呼吸困難・下肢痙攣・よろめき・発汗・蒼白または土気色の顔色であること。ベースラインでは2回実施して最良の6MWDを採り、同日なら30分以上空けて脈拍とSpO₂がベースラインへ戻ってから行うこと。学習効果はCOPDの13研究で2回目が平均26.3 m延び、最大の研究の95%信頼区間は24〜29 mであること。最小重要差は成人の慢性呼吸器疾患の6MWDで30 mであり25〜33 mの間にあると確信できるとされ、肺疾患の種類やベースライン値で変わる根拠は乏しいとされること。禁忌はCPETの絶対的・相対的の一覧を転載しており、室内気での安静時SpO₂ 85%以下は絶対的の側にあって補助酸素下で実施する注記が付き、安定した労作性狭心症は絶対的禁忌ではないと明記されていること。6MWTとCPETの直接比較では最高酸素摂取量と最高心拍数は同程度で換気側の要求が低いこと。閲覧 2026-09-22
  2. 2.ATS statement: guidelines for the six-minute walk test(American Thoracic Society・2002)6MWTの前後に修正ボルグ尺度(CR10)を用いて呼吸困難と全身疲労を別々に評価する方法、および0〜10の言語的アンカー(0=まったくない、0.5=ごくごくわずか、10=これ以上ない最大の強さ等)を確認した。閲覧 2026-09-22
  3. 3.Field Walking Tests(American Thoracic Society・2024)ページのHTMLを直接取得して、6MWTの要約欄にDate of most recent changesとしてNovember 2024と記載されていること、実施法(自己ペース、10 mコース、所要時間6分)、健常成人30歳超の6MWD基準値538.7〜643 m、CPETのV'O₂peakとの相関がCOPDでr=0.4〜0.8であること、要約欄の最小重要差がCOPD 25〜33 m・非嚢胞性線維症性気管支拡張症25 m・特発性肺線維症21.7〜45 m・肺癌22〜42 mであることを確認した。これらはATSが個別研究から集めた値であり、2014年のERS/ATS技術標準が自ら示す値(30 m)とは別である。閲覧 2026-09-22