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Symptoms · Published

ラ音

Adventitious lung sounds

別名
副雑音断続性ラ音連続性ラ音捻髪音水泡音
臓器系
呼吸器循環器
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
病態生理学 1-3:心不全の原因と症状
関連疾患
肺水腫慢性心不全輸血関連循環過負荷

🧠 全体像:「」はでは全般を指すことも、断続性の音だけを指すこともあり、まず用語そのものを整理しないと会話が噛み合わない。ここでは国際的な分類にそろえ、()=気道の虚脱・で生じる音と、=狭窄部ので生じる持続音(・)を発生機序で分けて扱う。この2群は成り立ちが違うため、同じ「」という言葉で一括りにすると聞き分けの手がかりを失う。

定義と用語の整理

で聞こえる異常音()は、まずか断続性かで二分する1。

()
短い、(プツプツ) 長く持続する(ピー・グー)
代表音 (粗い)、(細かい) 、
発生機序 虚脱したが吸気で急にする 狭窄した気道内を空気が通るときの・気道壁の振動

⚠️ はの一種だが、には含めない。 炎症で粗糙化した・同士がこすれて生じる音で、吸気・呼気の両方に軋み音として聴かれ、胸壁の限局した領域に固定され、粗いと異なり咳嗽をしても変化しない点で区別される2。

断続性ラ音:機序で2つに分かれる

は、虚脱していたが吸気の陽圧で急に開き、気道壁の急激なが音を作る現象で、Velcro(面ファスナー)を剥がす音にたとえられる1。

(粗い) (細かい)
音の性質 低調、大きい、1呼吸あたりの回数が少ない 高調、小さい、1呼吸あたりの回数が多い
由来する気道径 比較的太い気道 末梢の細い気道・肺胞
出現するタイミング 吸気早期〜全体 に集中しやすい
体位・咳嗽での変化 ・咳嗽で変化しうる(分泌物の移動を反映) 変化しにくい(間質の変化を反映)
代表病態 肺水腫、、肺炎の一部 (が代表)

⭐ タイミングが機序を映す。 遅く・高調な(型)はを、早く・低調なは閉塞性・分泌物貯留型の病態を示唆する傾向がある1。の「両側優位の()」はこの典型で、体位や咳嗽で変化しにくいな性質も間質の変化を反映している(参照)。一方、のは体液のを反映するため体位で変化しやすい。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crackles (discontinuous adventitious sounds)'>断続性ラ音</span>を聴取"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='end-inspiration'>吸気終末</span>に集中する<br>高調な音か"}
    B -->|"はい"| C["細かい<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crackles (discontinuous adventitious sounds)'>断続性ラ音</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crackles (lung); crepitus (joint)'>捻髪音</span>)<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral airway'>末梢気道</span>・肺胞由来"]
    B -->|"いいえ:吸気早期〜全体、低調"| D["粗い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='crackles (discontinuous adventitious sounds)'>断続性ラ音</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='coarse crackles'>水泡音</span>)<br>太い気道由来"]
    C --> E["体位・咳嗽で変化しにくい<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='interstitial lung disease, ILD'>間質性肺疾患</span>を疑う"]
    D --> F["体位・咳嗽で変化しうる<br>分泌物貯留・肺水腫を疑う"]

連続性ラ音:狭窄部の位置で読み分ける

は、狭窄した気道を通る空気が・振動を作ることで生じる持続音である。は高調(400Hz以上)で細い気道の狭窄、は低調(200Hz以下)で太い気道の分泌物貯留・を示す1。呼気優位か吸気優位かで狭窄が(下気道)か胸腔外(上気道)かを推定できる点、かかでかびまん性病変かを見分ける点は、喘鳴で詳しく扱う。

聴取のポイント:とり方と落とし穴

  • ・咳嗽で変化するか確認する。 分泌物由来の音(、の一部)は体位や咳で減弱・消失しうるが、間質の変化によるや、線維化した胸膜による摩擦音は変化しない。この反応性の有無が、機序が「動く分泌物」か「固定した組織変化」かを見分ける手がかりになる。
  • タイミングを聞く。 が吸気のどこで鳴るか(早期か終末か)は、上表の通り病態のヒントになる。が呼気優位か吸気優位かも同様に部位のヒントになる。
  • を見逃さない・取り違えない。 咳嗽後も変化しない、限局した圧痛を伴う軋み音は粗いと紛らわしいが、とは別カテゴリの所見であり、意味する病態(胸膜の炎症)も異なる2。

まとめ

  • は(・、狭窄部の)と断続性(・、気道の虚脱)に機序で二分する。
  • は音の高さ・出現するタイミング(早期かか)・体位や咳嗽での変化しやすさで、粗い(分泌物・太い気道)と細かい(・)を区別する。
  • は音の高さ(=高調・細い気道、=低調・太い気道)と呼気/吸気優位で狭窄部位を推定する(詳細は喘鳴)。
  • はだがには含めない。咳嗽で変化しない固定した軋み音として粗いと鑑別する。

出典

  1. 1.Lung Sounds(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)副雑音の一次分類が連続性か断続性かであり連続性の笛音・いびき音に対し断続性のラ音(クラックル)は非連続であること、ラ音が小気道の急な再開通(Velcroを剥がす音に例えられる)で生じ粗い断続性ラ音(低調・気道径が大きい)と細かい断続性ラ音(高調)に分かれること、遅く高調なラ音は間質性肺疾患を、早く低調なラ音は閉塞性肺疾患を示唆する傾向があること、笛音・いびき音はいずれも狭窄した気道内の乱流・振動で生じ笛音は高調(400Hz以上)でいびき音は低調(200Hz以下)であること、胸膜摩擦音はラ音と紛らわしいが二相性で局在性・圧痛を伴う点で区別される別カテゴリであることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Pleural Friction Rub(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)胸膜摩擦音が炎症により粗糙化した臓側・壁側胸膜同士の摩擦で生じること、吸気・呼気の両方で(新雪を踏むような)軋み音として聴取され胸壁の限局した領域に固定されて咳嗽後も変化しない点で粗い断続性ラ音(咳嗽後に変化しうる)と区別されること、副雑音の一種ではあるがラ音・いびき音とは別カテゴリとして扱われることを確認した。閲覧 2026-08-19