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Symptoms · Published

喘鳴

Wheezing

臓器系
呼吸器
科目
ENT
トピック
耳鼻咽喉科 52:喉頭の診察と喉頭疾患の症候
関連疾患
気管支拡張症気管支喘息細気管支炎(RSウイルス)大動脈瘤慢性閉塞性肺疾患α1アンチトリプシン欠乏症
起因薬
アセチルサリチル酸

🧠 全体像:喘鳴は「気道のどこかが狭くなっている」ことを示す所見であり、疾患名ではない。音の性質(呼気優位か吸気優位か、単音性か多音性か)から、狭窄している気道の位置と広がりを推定できる——これが喘鳴を聴いたときにまず立てるべき問いである。狭窄が強い呼吸困難を伴えば、原因検索より先に気道の安全を確保する。

音の性質から気道のどこが狭いかを推定する

上の(喘鳴様音)は、音の高さと数で狭窄の広がりが変わる。

音の性質 示唆される機序・部位
細い気道の狭窄(
低調性・ より太い気道の分泌物貯留・や咳で変化しうる
単音性(一定の音程が1か所) 単一の気道の限局性狭窄(腫瘍・異物)。の左右差・局在を確認する
多音性(複数の音程が同時) 複数の気道径が同時に狭窄するびまん性病変(喘息・COPDなど)

呼気優位か吸気優位か——気道は胸腔内か胸腔外か

喘鳴が目立つ呼吸相は、狭窄している気道がか胸腔外かでおおむね決まる。の気道(気管支・)は呼気時にが上がって内側から圧迫されるため呼気優位に狭窄し、胸腔外の気道()は吸気時の陰圧で内腔が引き込まれるため吸気優位に狭窄する。この2つを同じ「喘鳴」として扱うと、対応がまるで違う病態を一緒くたにしてしまう。

狭窄部位 下気道(・気管支〜 上気道(胸腔外・
代表疾患 、COPD 、異物、アナフィラキシー、ジフテリア
音の性質 、多くは多音性 単音性のことが多く、粗い
詳細

のような固定性の狭窄、腫瘍など)は呼気相にも音が及び、吸気・呼気の両方で喘鳴が聞こえることがある。両方向で聞こえる喘鳴は、可動性の高い上気道病変よりも固定したを疑う手掛かりになる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='continuous adventitious sound'>連続性ラ音</span>を聴取"] --> B{"呼気優位か吸気優位か"}
    B -->|"呼気優位"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intrathoracic airway'>胸腔内気道</span>(下気道)の狭窄"]
    B -->|"吸気優位"| D["胸腔外気道(上気道)の狭窄"]
    B -->|"両方向"| E["固定性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tracheal stenosis'>気管狭窄</span>を疑う"]
    C --> F["多音性なら喘息・COPDなどびまん性<br>単音性なら腫瘍・異物による限局性"]
    D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='croup'>クループ</span>・異物・アナフィラキシー<br>ジフテリアなど上気道病変"]

落とし穴:無音の胸部

⚠️ 喘鳴が聞こえなくなったことを、改善と早合点しない。 気流速度が閾値を下回るほど狭窄が進むと、そのものが発生しなくなる——これがで、音の消失は気流がほぼ途絶えたことを意味し、むしろ最重症を示す。喘息の増悪だけでなく、COPDの重症増悪や期でも同じことが起こりうる。

⭐ 改善による静音化とを区別するのは、音の有無ではなく・胸郭の動き・実際の空気の出入りである。呼吸数や努力呼吸が減ったうえでの静音化は改善、これらが改善しないまま音だけ消えたら悪化と判断する。

まとめ

  • 喘鳴は疾患名ではなく所見。音の性質(呼気優位か吸気優位か、単音性か多音性か)から狭窄部位を推定する。
  • の下(喘息・COPDが代表)、は胸腔外の上・異物・アナフィラキシー・ジフテリアが代表)で、生じる機序が異なる。
  • 吸気・呼気の両方で聞こえる喘鳴は固定性のを疑う手掛かりになる。
  • 喘鳴の消失を改善と早合点しない。気流が途絶えて音が出なくなったは最重症を示す。・胸郭の動きで判定する。