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Disease Atlas · 呼吸器 · 疾患

過敏性肺炎・塵肺症

Hypersensitivity pneumonitis and pneumoconiosis

別名
HP農夫肺鳥飼病珪肺石綿肺
臓器系
呼吸器
科目
Pulmonology and Thoracic Surgery
トピック
呼吸器内科 39:原因が明らかな間質性肺疾患
上位概念
間質性肺疾患
鑑別疾患
サルコイドーシスポリマーヒューム熱金属ヒューム熱全身性強皮症特発性肺線維症肺胞微石症濾胞性細気管支炎
合併症
Caplan症候群
続発疾患
肺胞蛋白症結核肺癌
関連疾患
関節リウマチ血清病炭鉱夫塵肺症
治療薬
プレドニゾロンアザチオプリン
原因微生物
Mycobacterium avium-intracellulare complex(MAC)
画像所見
すりガラス影蜂巣肺結節性パターン網状影

🧠 全体像:(HP)と()は、いずれも吸入した抗原・が原因のであり、「何を、どれだけ、どれくらいの期間吸入したか」という曝露歴が診断そのものになる点が共通する。HPは有機抗原(カビ・鳥の蛋白など)への反復した免疫反応で生じ、線維化の有無(/)で予後とが大きく変わる。は(石炭・・)の長期吸入による不可逆的な線維化で、いずれも曝露の同定と回避が治療に先行する唯一無二のステップであり、は「職業名」だけでなく作業内容、住居環境、ペット、加湿器・浴槽、趣味まで掘り下げる必要がある。

過敏性肺炎(HP)

病態

反復するへの異常な免疫反応で生じる。IgG免疫複合体を介するに加え、T細胞性の遅延型(IV型)免疫反応が病態の中心を占め、単純なの枠組みだけでは説明できない。

病型 曝露源
カビた干し草に含まれるなど
鳥の羽毛・・血清蛋白
化したMycobacterium avium-intracellulare complex(MAC)など。感染そのものより宿主の炎症反応が病態の中心となることが多い
加湿器・空調関連 カビ・微生物を含む
flowchart TD
    A["反復する有機抗原の吸入曝露"] --> B["IgG<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immune complex reaction'>免疫複合体反応</span>(III型)"]
    A --> C["T細胞性遅延型反応(IV型)"]
    B --> D["肺胞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchiole'>細気管支</span>壁の炎症"]
    C --> D
    D --> E{"曝露が持続・反復するか"}
    E -->|"曝露回避"| F["炎症が改善(非線維性の経過)"]
    E -->|"曝露継続"| G["炎症性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolitis'>肺胞炎</span>の遷延"]
    G --> H["線維化への進展(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrotic hypersensitivity pneumonitis'>線維性HP</span>)"]

分類:線維性HP/非線維性HP

現行の/JRS/ALAT診断ガイドライン(2020年)は、HPを画像・組織における線維化の有無で「(純粋な炎症性表現型)」と「(炎症+線維化の混合、または純粋な線維化表現型)」に二分する。

分類 特徴 予後
で・・呼気相のが主体、組織学的には炎症優位 曝露回避で改善しうるが、線維化へ移行することもあり反復性
で・などの線維化所見を伴う に準じた進行性の経過をたどりうる

⭐ 「急性・亜急性・慢性」というベースの旧来分類ではなく、線維化の有無が現行ガイドラインの分類軸であり、とに直結する。

診断

  • 曝露歴の聴取が最も重要な検査であり、時間軸を含めて詳細に行う。
  • で・・モザイク灌流・(非線維性)、または・(線維性)を評価する。
  • (IgG抗体)検査は曝露の存在を示唆するが、健常曝露者でも陽性になりうるため単独で確定診断としない。
  • でのリンパ球優位所見は診断を支持するが、正常でも除外にならない。
  • 上記所見と曝露歴が典型的でない場合は、・・で組織診断を検討する。

治療

  1. 抗原の同定と曝露回避が治療の根幹であり、これができなければ薬物治療の効果は限定的である。
  2. 症候性のには全身副腎皮質ステロイド()を用いる。
  3. では、ステロイドに加えなどのを検討する。
  4. 進行性線維化を示すでは、(など)の適応が国際的なガイドラインで認められており、に準じた(PF-ILD)のを適用する(参照)。

じん肺(塵肺症)

の長期吸入により肺実質に不可逆的な炎症・線維化を来す肺である。は数年〜数十年に及び、曝露終了後も進行しうる。

疾患 曝露 特徴
(CWP) 長期の石炭 単純CWP()から(PMF)へ進展しうる
鉱山、ガラス製造、などの 呼吸困難、咳嗽、倦怠感、体重減少。結核の発症リスクが著明に上昇し、曝露自体もが確立している
()繊維 、、両側優位の線維化。、肺癌・のリスクが著明に上昇する

⚠️ とはいずれも国際がん研究機関(IARC)でヒトが確立した物質(Group 1)に分類され、の診断がついた患者では線維化そのものの管理に加え、肺癌・を含む腫瘍性合併症の長期が必要である。に関節リウマチが合併すると肺内結節が急速・多発性に出現するも知られ1、に限らず・でも起こりうる23。

診断・管理

  • 詳細な(業種だけでなく具体的作業内容、防塵対策の有無、曝露期間)が診断の中核である。
  • 胸部X線・で曝露に応じた分布パターン(優位の〜PMFなど)を評価し、国際労働機関(ILO)分類に準じて記載する。
  • 特異的な治療薬はなく、それ以上の曝露回避、禁煙、感染予防(肺炎球菌・)、、低酸素血症へのが中心となる。
  • 患者では・のスクリーニングを行う。

結合組織病・薬剤性など他の既知原因ILD

HP・以外にも、原因が既知のILDは複数ある。

  • 薬剤性:、、、など。
  • 関連:、関節リウマチ、、シェーグレン症候群など。
  • :(という点でHPの一部と病理像が重なることがあるが、曝露歴の有無と肉芽腫の分布で鑑別する)。
  • その他:、など。

鑑別のポイント:曝露歴と画像パターン

  • ・・倦怠感という症候はHP・・他ので共通するため、曝露歴・・パターンを組み合わせて鑑別する。
  • 進行例では両側の、、低酸素血症、を認める。
  • を疑う場合は状、皮膚硬化、筋力低下、眼・、も確認する。
  • 診断は(MDD)で、曝露歴・・肺機能(+低下)・血清学的検査・必要時の生検所見を統合して行う。

まとめ

  • HPは有機抗原への反復曝露によるIII型+IV型免疫反応が病態の中心で、線維化の有無(/)が現行の分類軸であり治療・予後を左右する。
  • HPの治療の根幹は抗原同定と曝露回避で、症候性例にはステロイド、にはや進行性線維化例へのを検討する。
  • (CWP・・)はの長期吸入による不可逆的線維化で、は結核リスク、は肺癌・リスクの上昇を伴う。
  • に特異的治療薬はなく、曝露回避・禁煙・ワクチン接種・呼吸リハビリと腫瘍性合併症の長期が管理の柱である。
  • いずれも詳細な曝露歴の聴取そのものが最重要のであり、・肺機能・血清学的検査・生検を多職種で統合して判断する。

出典

  1. 1.Caplan Syndrome Mimicking Progressive Massive Fibrosis on CT: A Case Report(Journal of the Korean Society of Radiology・2024)Caplan症候群の結節が0.5〜5 cmで肺の外側1/3と中1/3の境界に優位に分布すること、数か月のうちに突然増大しうる急速な増大がじん肺の結節との区別点になること(一方で瘢痕化して治癒する・不変にとどまる・数年かけて緩徐に増大する経過もとりうること)、炭鉱夫じん肺と関節リウマチを併存する症例で結節が急速に増数・癒合し進行性塊状線維症(PMF)の増悪に類似しうること、悪性腫瘍の除外のため生検を要したことを確認した。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Caplan Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)Caplan症候群が関節リウマチ患者における無機粉塵曝露と肺辺縁優位の多発性の境界明瞭な結節との組み合わせで定義されること、炭鉱夫じん肺に限らず吸入性のシリカ・石綿の曝露源であれば本症を来しうること、結節が急速に多発性・末梢下肺野優位に出現すること、結節径が0.5〜5 cmで肺の中〜外側1/3に多いことを確認した。閲覧 2026-08-20
  3. 3.A case of Caplan syndrome in a recently diagnosed patient with silicosis: A case report(Radiology Case Reports・2018)Caplan症候群が1953年にCaplanにより南ウェールズの炭鉱労働者で最初に記載されたこと、シリカ曝露労働者・珪肺・石綿肺の患者でも生じうること、じん肺患者における本症の頻度が低くCaplanの原報告で0.4%、じん肺のある炭鉱労働者では米国0.89%・日本0.74%とされること、胸部X線で境界明瞭な多発円形陰影が肺辺縁優位に分布することを確認した。閲覧 2026-08-20