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Disease Atlas · 免疫・膠原病 · 疾患

移植片対宿主病

Graft-versus-host disease

別名
GVHD
臓器系
免疫・膠原病血液全身
科目
PathologyInternal MedicineMedical Genetics and Immunology (Immunology)Pediatrics
トピック
病理学 A/37:移植拒絶反応(移植片拒絶)内科学 H-34:同種造血幹細胞移植内科学 S-45:自家・同種造血幹細胞移植免疫学 9.2:移植免疫学免疫学 9.4:HLAタイピング小児科 2-43:小児の移植医療小児科 2-01:小児がん治療の早期・晩期合併症
鑑別疾患
Plummer-Vinson症候群シェーグレン症候群移植関連血栓性微小血管症肝類洞閉塞症候群好中球減少性腸炎好中球性エクリン汗腺炎生着症候群
合併症
カンジダ症侵襲性アスペルギルス症敗血症骨粗鬆症閉塞性細気管支炎無脾症・脾機能低下症
続発疾患
輪部幹細胞疲弊症移植後リンパ増殖性疾患
関連疾患
免疫関連有害事象扁平苔癬
治療薬
タクロリムスシクロスポリンAメトトレキサートミコフェノール酸モフェチルシクロホスファミドATG(抗胸腺細胞グロブリン)プレドニゾロンメチルプレドニゾロンイブルチニブルキソリチニブベルモスジルアキサチリマブ
症状
皮疹下痢黄疸腹痛悪心口腔乾燥涙液分泌低下
検査値
ビリルビンHowell-Jolly小体
スコア
MAGIC基準慢性GVHDのNIHコンセンサス基準
適応薬
アキサチリマブイブルチニブシクロスポリンベルモスジルルキソリチニブ

🧠 全体像:()は、免疫担当細胞を含むが、それを排除できない宿主の中で、組織適合抗原の違いを「異物」と認識して攻撃してしまう反応である——拒絶が「宿主がを攻撃する」のに対し、は向きが逆転した「が宿主を攻撃する」病態だと押さえると理解しやすい。主に後に起こり、標的臓器とで急性・慢性に分かれるが、を完全に抑え込むとまで失われるという表裏一体の関係が、予防・治療の難しさの核心にある。

概要:成立する3条件

はBillinghamの基準と呼ばれる3条件がそろって初めて成立する。

  1. が免疫担当細胞を含む
  2. 宿主がを排除できない(免疫不全・免疫抑制状態)
  3. 宿主とが組織適合抗原で異なる

最も典型的な場はだが、この3条件は他の状況でも成立しうる。(とくにリンパ組織を多く含む腸管・肝)でもドナー由来リンパ球が原因となることがある。

⚠️ は、免疫不全患者や間輸血で成立しやすく、骨髄破壊を伴い致死率がきわめて高い。予防の要は治療ではなく放射線照射したを用いることで、ドナーのを奪い成立条件1を無効化する。

病態

(化学療法・放射線照射)によるが出発点になる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conditioning'>前処置</span>による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal mucosa'>腸管粘膜</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tissue injury'>組織傷害</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='damage-associated molecular patterns'>DAMPs</span>/PAMPs放出<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammatory cytokine'>炎症性サイトカイン</span>(IL-1・IL-6・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tumor necrosis factor-alpha'>TNF-α</span>)"]
    B --> C["宿主<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antigen-presenting cell (APC)'>抗原提示細胞</span>の活性化"]
    C --> D["ドナーT細胞の活性化・増殖"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytotoxic T cell'>細胞傷害性T細胞</span>・NK細胞・サイトカインによる標的臓器傷害"]

💡 の引き金はそのものではなく、によるである。ドナーT細胞は不一致だけでなく、が完全一致していてものある(自己蛋白の多型に由来するペプチド)を認識して活性化しうるため、一致同胞間移植でもは起こる。

危険因子

危険因子 内容
不一致 不一致の程度に比例してリスク上昇
ドナー 非血縁ドナー>血縁ドナー
ドナー・の性差 女性ドナー→男性で慢性GVHDリスク増加(妊娠歴による感作)
年齢 の高齢
幹細胞源 は骨髄よりT細胞数が多く慢性GVHDが多い傾向
強度 でが大きくリスクが高い
移植前の薬剤 の移植前投与(下記)

移植前の抗CCR4抗体——制御性T細胞を減らして移植に臨むことになる

⚠️ の前にを投与された患者では、移植後に重症のが増えると報告されている。 は陽性の腫瘍性T細胞を()で除去する抗体だが、は(Treg)にも高発現しているため、を抑える側の細胞まで一緒に失われる。のように、本剤でを減らしてからへ進む流れが実際にある疾患で問題になる。

米国の添付文書は「5.5 本剤投与後のの合併症」という独立した項を置き、本剤の投与後にを受けた患者で重症(Grade 3〜4)の・・の報告が増えていること、移植前のおよそ50日以内という短い間隔で投与された場合にリスクが高いと報告されていること、移植関併症の早期徴候を注意深く追うことを記載している1。日本の電子添文も同じ内容を「15.1.2 臨床使用に基づく情報」に置き、「本剤を前に投与した患者では、本剤を投与しなかった患者と比較して、後の重篤な急性の発現割合が高かったとの報告がある」と記している2。

⚠️ どちらの国の文書でも、移植歴・移植予定はの禁忌として挙げられていない(米国の禁忌欄は逐語で CONTRAINDICATIONS: None.、日本の禁忌は成分に対する過敏症の1項目だけである)12。💡 また、どちらも「移植前に何日空けよ」というを定めてはいない。 示されているのは間隔が短いほど移植合併症が多いという観察であって、投与の可否と時期は移植チームと事前に相談して決めることになる——文書に無い日数を自分で決めて運用しないこと。

分類:現行は臨床像による分類

かつては移植後100日を境に急性・慢性を区分していたが、現行の(2014年改訂版、2015年公表)では発症日ではなく臨床像で分類する。慢性GVHDのを満たす所見が無ければ、皮膚・消化管・肝の所見は移植後の時期によらずとして分類する3。

病型 定義
古典的 移植またはから100日以内にの臨床像のみ
持続性・性・遅発性の 同じ臨床像が100日以降に持続・・新規発症したもの(免疫抑制の中・中止後に多い)
古典的慢性GVHD の所見を伴わず慢性GVHDの所見のみ
慢性GVHDの所見にの所見(皮膚・肝・消化管)が併存

臨床像

急性GVHD:3標的臓器

臓器 主な所見
皮膚 手掌・足底・耳介から始まりやすい。重症例は・
消化管 大量の水様性〜血性の下痢、腹痛、悪心・
肝 胆汁うっ滞性の直接ビリルビン上昇による黄疸

重症度はで臓器ごとにstage 0〜4を判定し(上部消化管だけはstage 0〜1)、それを組み合わせて全体grade 0〜IVを決める4。

grade 条件
I 皮膚stage 1〜2のみで、肝・上部消化管・下部消化管はいずれも病変なし
II 皮膚stage 3/肝stage 1/上部消化管stage 1/下部消化管stage 1——のいずれか(重複してもよい)
III 肝stage 2〜3/下部消化管stage 2〜3——のいずれか(皮膚はstage 0〜3、上部消化管はstage 0〜1にとどまる)
IV 皮膚・肝・下部消化管のいずれかがstage 4(上部消化管はstage 0〜1)

💡 上部消化管(持続する悪心・嘔吐・)はstageが0か1しかなく、grade III・IVの条件に一度も現れない。 そのため上部消化管病変だけでは全体gradeはIIまでしか上がらない4。grade III以上へ押し上げるのは肝と下部消化管であり、「消化管stage 2以上」と一括りにしないこと。

慢性GVHD:自己免疫疾患様の多彩な病像

臓器 所見
皮膚 様の丘疹、強皮症様の皮膚硬化
口腔 、変化、潰瘍
眼
肺 (不可逆的な)
消化管 食道web・上部〜中部1/3のによる嚥下障害
肝 ・・の上昇(いずれもの2倍超)。⚠️ と共通の所見で、肝障害だけでは慢性GVHDと診断できない3
筋膜・関節 筋膜炎そのもの/筋膜炎またはに続発する関節の硬直・(NIH基準は両者を別々のとして挙げる)
性器 狭窄・。女性は腟の瘢痕・やの癒着、⚠️ 男性も・尿道口の瘢痕や狭窄という形で罹患する3

では、皮膚・口腔・眼・消化管・肝・肺・筋膜と関節・性器の8臓器それぞれを0(なし)〜3(重症)でスコア化し、それを合わせて全身重症度を軽症・中等症・重症の3段に判定する3。

全身重症度 判定
軽症 1〜2臓器が罹患しいずれもscore 1以下、かつ肺score 0
中等症 3臓器以上が罹患しいずれもscore 1以下/肺以外の1臓器以上がscore 2/肺score 1——のいずれか
重症 1臓器以上がscore 3/肺score 2または3——のいずれか

⭐ 肺だけは罹患臓器数とに全身重症度を引き上げる。 肺score 1が1つあるだけで全身「中等症」、score 2以上で「重症」になる3。💡 他の臓器のscore 2も「肺以外の1臓器以上」とわざわざ限定されており、肺だけが別扱いになっている。⚠️ 基準そのものは肺を別扱いにする理由を述べていないが、慢性GVHDの肺病変()が不可逆で予後に直結することの反映と読める。

⚠️ 全身重症度の計算では、臓器スコアをそのまま使わない欄が2つある。 肺はではなくで測る(%予測値)を、皮膚はのスコアと皮膚所見のスコアの高いほうを使う3。

診断

GVHDは臨床診断が中心で、典型的な標的臓器・時期・臨床像がそろえば生検なしに治療を開始してよい。生検の主な役割はを左右する重症度判定ではなく、感染症・・との鑑別である。皮膚生検ではアポトーシスを起こした、消化管生検ではのアポトーシスが特徴的な所見となる。

慢性GVHDは「所見の格」で診断が決まる

は慢性GVHDの所見を、(それ1つで慢性GVHDと確定できる)・(慢性GVHDで見られるが単独では確定に足りない)・その他/の所見・共通所見(と慢性GVHDの両方に見られる所見。「頻度が高い所見」という意味ではない)の4つの格に分けている3。

格 臓器ごとの例
皮膚の・・・・/口腔の/食道web・上部〜中部1/3の狭窄/筋膜炎/筋膜炎またはに続発する関節の硬直・/性器の様・、腟の瘢痕、・の癒着、、/で確認された
皮膚の・/爪の異栄養症・・・脱爪/新規の瘢痕性・、体毛の脱落/・・・潰瘍・/新規の眼の乾燥感やゴロつき・・・融合した/胸部CTでの空気とらえこみと気管支拡張
共通所見(急性・慢性の両方に見られる) 紅斑・皮疹・掻痒/・悪心・嘔吐・下痢・体重減少/総ビリルビン・・の2倍超

診断には、が少なくとも1つあるか、が1つ以上あり、それを生検・検査・専門医の診察(眼科・婦人科など)・画像のいずれかが同一または別の臓器で裏づけることが要る3。⚠️ いずれの場合も、感染症・薬剤性・悪性腫瘍など他の原因の除外が前提である。

⚠️ ()だけは条件つきのである。 で確認されたは単独で診断的だが、臨床基準で診断したは他の臓器にがあるときにのみ肺の慢性GVHDのとして使える3。💡 肝がもも1つも持たないのと同じ理由で、非特異的な所見だけを積み上げても慢性GVHDの診断にはならない。

予防

戦略 内容
+ またはに、メトトレキサートまたはを併用する標準的な組み合わせ
抗ヒト免疫グロブリン ATG()でドナーT細胞をあらかじめ減らす。非血縁ドナー移植などで併用
を移植後day+3・+4に投与し、増殖中の反応性T細胞を選択的に除去する。の予防として標準となり、適合移植でも用いられるようになっている
からT細胞を物理的・薬理学的に除去する方法。は減るが・再発リスクが上がりうる

⚠️ 放射線照射はを防ぐための対策であり、後の通常の予防薬の代わりにはならない。両者は別の対策として区別する。

治療

一次治療は中等症以上の・症候性の慢性GVHDのいずれも(・)である。

ステロイドに反応しない場合の選択肢は臓器・病型で異なる。

同じ薬でも、適応の立て方が国で違う

⚠️ 「の承認薬」という一語で国をまたがない。 3極すべての文書を読めるを例にとると、急性と慢性を分けるか・前治療のライン数を課すか・下限年齢の3点が国ごとに違う。

文書 での適応
の 急性:ステロイドまたは他のへの反応が不十分な生後28日以上の成人・小児。慢性:同じ条件で生後6か月以上。前治療のライン数は条件にしていない7
日本の電子添文(ジャカビ) 「後の(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」という1つの効能で、急性・慢性を分けずライン数も課さない。用量は成人・12歳以上が1回10 mg1日2回、6歳以上12歳未満が1回5 mg1日2回、6歳未満は内用液で1回4 mg/m²1日2回8
米国の添付文書(JAKAFI) の急性(12歳以上)と、1〜2ラインのがしなかった後の慢性(12歳以上)を別々の適応として掲げる6

⭐ 慢性GVHDの承認薬は複数あるが、何レジメン抵抗後に使えるかが薬剤ごとに異なる点が実地で重要になる。⚠️ そのライン数は米国の枠であって世界共通ではなく、上表のとおり同じ薬でも国によって条件と下限年齢が変わる。実際の選択は各国の文書で確かめる。

移植片対腫瘍効果とのトレードオフ

を起こすドナーT細胞は、宿主の正常組織だけでなく細胞も攻撃する。このはと表裏一体で、を免疫抑制で完全に抑え込むと腫瘍再発が増えるというが生じる。再発時にはでドナーT細胞を追加投与し、GVL効果をに引き出すことがある。

感染症リスクと合併症

そのもの、および治療に必要な追加の免疫抑制は、カンジダ症・などのや敗血症のリスクを高める。慢性GVHDに対する長期ステロイド使用は骨粗鬆症の原因にもなる。

さらに、治療で免疫抑制を強めるほどEBVの制御が難しくなり、のリスクも上昇する。

脾機能が落ちる——気づかれにくい経路

⚠️ 広範な慢性GVHDでは脾そのものが働かなくなることがある。 を受けた28例(の既往がある1例を除く27例)での比率から脾機能を測った研究では、4例(15%)が小窩5.0〜34.0%の機能的を示した(この研究では正常値を2%未満、を25〜40%としている。⚠️ の置き方は資料により2〜4%と幅があるので、判定に使うときは当の資料のを確かめる)。この4例のうち活動性の広範な慢性GVHDを有していたのは1例で、著者らは「広範な慢性GVHDがと関連する」ことを確認したと同時に、慢性GVHDが無くても中等度のが移植後に起こりうると述べている9。

⭐ 見つけにくいのは、血液像に出ないことがあるからである。 同じ研究で、を示した4例のうちに典型的な赤血球の変化が出ていたのは1例だけだった9。💡 つまりが「無いこと」は、移植後の患者で脾機能が保たれている証拠にならない。

慢性GVHDの経過で脾が段階的に萎縮していく様子は画像でも追える。移植後5.5年にわたり反復したで脾の萎縮が進行し、にが持続して現れた症例が報告されており、著者らはこの合併症が見落とされる理由として、報告で脾の萎縮が言及されないこととの鏡検がには行われないことを挙げている10。

⚠️ 臨床的な意味は・と同じである。 莢膜を持つ細菌への易感染性が加わるため、ワクチン接種との対象として扱う必要がある。上記の症例では肺炎球菌・莢膜ポリサッカライドワクチンとST合剤・のが行われており、肺炎球菌感染は起こしていない10。同報告は、の有無によらず移植後にの確認と脾の大きさの評価を定期的に行うことを提案している10。

鑑別

慢性GVHDの・はシェーグレン症候群に類似するため、歴があるかを必ず確認する。皮膚のはと病理形態を共有し、鑑別に生検が有用なことがある。

⚠️ は慢性GVHDの主要な標的の1つで、の炎症性破壊はに至りうる11。として扱っている間にの再生源そのものが失われていることがある。

まとめ

  • はが免疫担当細胞を含み、宿主が排除できず、組織適合抗原が異なるという3条件(Billinghamの基準)で成立する。
  • で最も典型的だが、(放射線照射で予防)やでも起こる。
  • によるが引き金となり、・の差を認識したドナーT細胞が標的臓器を攻撃する。
  • 発症100日という日数ではなく臨床像で急性・慢性・を分類するのが現行(2014年改訂版)の考え方である。慢性GVHDの全身重症度は8臓器のスコアから軽症・中等症・重症を決め、肺だけは罹患臓器数によらず重症度を引き上げる。
  • 慢性GVHDの診断は所見の「格」で決まる。が1つあれば確定でき、しか無ければ生検・検査・専門医の診察・画像による裏づけが要る。肝の異常はと共通の所見にしかなく、単独では慢性GVHDの根拠にならない。
  • 移植前に()を投与された患者では移植後の重症が増える。日米いずれの文書でも禁忌ではなく、空けるべきも定められていないので、投与の可否と時期は移植チームと事前に相談する。
  • は皮膚・消化管・肝の3臓器を、慢性GVHDは自己免疫疾患様の(を含む)を来す。
  • 一次治療は全身性ステロイドで、抵抗例には・・・など承認薬を病型・治療歴に応じて選ぶ。⚠️ 「何レジメン抵抗後か」という条件は米国の添付文書の枠で、(ライン数を課さず生後28日/6か月から)や日本(急性・慢性を分けない1つの効能)とは立て方が違う。
  • の全体gradeはで決めるが、grade III・IVの条件に現れるのは肝と下部消化管で、上部消化管(stage 0〜1しかない)は単独ではgrade IIまでしか押し上げない。
  • の抑制はの減弱と表裏一体であり、再発時のはこのを逆手に取る治療である。
  • 広範な慢性GVHDには機能的が伴いうる。移植後のは血液像に出ないことがあり(4例中3例で赤血球の変化なし)、の脾萎縮も報告で見過ごされやすいので、への予防の対象として能動的に疑う。

出典

  1. 1.POTELIGEO (mogamulizumab-kpkc) injection — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration / Kyowa Kirin・2026)BLA 761051 補正s025のPDF全文を取得して確認した。本文の改訂表示は「Revised: 2/2026」。5.5 の見出しは「Complications of Allogeneic Hematopoietic Stem Cell Transplantation (HSCT) after POTELIGEO」で、本文は逐語で「Increased risks of transplant complications have been reported in patients who receive allogeneic HSCT after POTELIGEO including severe (Grade 3 or 4) acute graft-versus-host disease (GVHD), steroid-refractory GVHD, and transplant-related death. Among recipients of pre-transplantation POTELIGEO, a higher risk of transplant complications has been reported if POTELIGEO is given within a shorter time frame (approximately 50 days) before HSCT. Follow patients closely for early evidence of transplant-related complications.」の3文だけで、⚠️ **移植前に空けるべき休薬期間の推奨は置かれていない**(全文を通して他に「days ... before HSCT」の記載は無い)。CONTRAINDICATIONS は逐語で「None」、枠組み警告(boxed warning)は無い閲覧 2026-09-14
  2. 2.ポテリジオ点滴静注20mg 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/協和キリン・2026)本文を取得して確認した。第5版(2026年1月改訂)。15.1.2 に逐語で「本剤を造血幹細胞移植前に投与した患者では、本剤を投与しなかった患者と比較して、造血幹細胞移植後の重篤な急性移植片対宿主病の発現割合が高かったとの報告がある」とあり、この記載は「15. その他の注意/15.1 臨床使用に基づく情報」に置かれていて警告欄でも禁忌欄でもない。2. 禁忌は「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」の1項目のみ。⚠️ 全文を通して移植前に空けるべき期間・日数の規定は無い(「移植」を含む記載は15.1.2のほかは臨床試験の組入れ除外基準と非臨床試験の記述のみ)閲覧 2026-09-14
  3. 3.National Institutes of Health Consensus Development Project on Criteria for Clinical Trials in Chronic Graft-versus-Host Disease: I. The 2014 Diagnosis and Staging Working Group Report(NIH Consensus Development Project(Biology of Blood and Marrow Transplantation誌)・2015)PMC4329079の全文を取得して確認した。急性GVHDの大分類が「古典的急性GVHD(紅斑・斑状丘疹状皮疹・悪心・嘔吐・食欲不振・大量の下痢・イレウス・胆汁うっ滞性肝障害が移植またはドナーリンパ球輸注から100日以内に生じ、慢性GVHDの診断基準を満たさないもの)」と「持続性・再燃性・遅発性の急性GVHD(同じ所見が100日以降に生じ、慢性GVHDの診断基準を満たさないもの。免疫抑制の漸減中・中止後に多い)」の2つに分かれること、慢性GVHDが「古典的慢性GVHD」と「オーバーラップ症候群」に分かれ、オーバーラップとは慢性GVHDと診断された患者に急性GVHDの所見が1つ以上存在することを指すこと、逐語で「In the absence of features fulfilling criteria for the diagnosis of chronic GVHD, the persistence, recurrence, or new onset of characteristic skin, gastrointestinal tract or liver abnormalities should be classified as acute GVHD regardless of the time after transplantation.」と述べていることを確認した。Table 2 の全身重症度は逐語で軽症「1 or 2 organs involved with no more than score 1 plus Lung score 0」、中等症「3 or more organs involved with no more than score 1 OR At least 1 organ (not lung) with a score of 2 OR Lung score 1」、重症「At least 1 organ with a score of 3 OR Lung score of 2 or 3」の3段で、Key points に「In skin: higher of the two scores to be used for calculating global severity.」「In lung: FEV1 is used instead of clinical score for calculating global severity.」とある。全身重症度の算定対象は逐語で skin, mouth, eyes, gastrointestinal tract, liver, lungs, joint and fascia, genital tract の8臓器(性器は女性の腟の瘢痕・陰核や陰唇の癒着だけでなく男性の包茎・尿道口の瘢痕や狭窄も診断的所見として挙がる)で、performance status は含めない。Table 1 は所見を DIAGNOSTIC/DISTINCTIVE/OTHER/COMMON の4列に分け、肝は COMMON 列(総ビリルビン・ALP が基準上限の2倍超、ALT が2倍超)だけで診断的所見も特徴的所見も持たない。診断規則は逐語で「the diagnosis of chronic GVHD require at least one diagnostic manifestation of chronic GVHD or at least one distinctive manifestation plus a pertinent biopsy, laboratory or other tests …, evaluation by a specialist … or radiographic imaging showing chronic GVHD in the same or another organ」であり、脚注に「BOS can be diagnostic for lung chronic GVHD only, if distinctive sign or symptom present in another organ」とある。2026-09-17にPMC4329079のHTML全文を取り直し、次の4点を逐語で再確認した——①Table 1 の Muscles, Fascia, Joints 行の DIAGNOSTIC 欄は「Fasciitis」と「Joint stiffness or contractures secondary to fasciitis or sclerosis」の2項目で、拘縮は筋膜炎だけでなく硬化性変化に続発するものも含む(本文も「Fascial involvement may develop without overlying sclerotic changes of the skin, and can result in joint stiffness or contractures when present near joints」と述べる)。②COMMON 列の見出しは「COMMON (Seen with both acute and chronic GVHD)」、脚注は「Common refers to shared features by both acute and chronic GVHD.」で、頻度ではなく急性・慢性で共有される所見という意味である。③本文は「The presence of one or more of the common features alone cannot be used to establish the initial diagnosis of chronic GVHD」と述べる。④肺スコアについて「Lung function score, which used both FEV1 and DLCO, was simplified to FEV1 values alone」「(hereafter, FEV1 refers to % predicted)」とあり、全身重症度に使うのはスパイロメトリーで測る FEV1 の%予測値である閲覧 2026-09-14
  4. 4.International, Multicenter Standardization of Acute Graft-versus-Host Disease Clinical Data Collection: A Report from the Mount Sinai Acute GVHD International Consortium(ASBMT(Biology of Blood and Marrow Transplantation誌)・2016)PMC4706482(著者最終稿。Biol Blood Marrow Transplant 22巻1号4-10頁)の全文を取得して確認した。全身gradeの判定規則が逐語で「Grade 0: No stage 1–4 of any organ」「Grade I: Stage 1–2 skin without liver, upper GI or lower GI involvement」「Grade II: Stage 3 rash and/or stage 1 liver and/or stage 1 upper GI and/or stage 1 lower GI」「Grade III: Stage 2–3 liver and/or stage 2–3 lower GI, with stage 0–3 skin and/or stage 0–1 upper GI」「Grade IV: Stage 4 skin, liver or lower GI involvement, with stage 0–1 upper GI」であり、grade III・IVの条件に上部消化管が現れないこと(上部消化管はstage 0〜1しか持たない)を確認した閲覧 2026-09-16
  5. 5.IMBRUVICA (ibrutinib) capsules, for oral use; IMBRUVICA (ibrutinib) tablets, for oral use; IMBRUVICA (ibrutinib) oral suspension(DailyMed(Pharmacyclics LLC)・2025)DailyMedの当該SPL本文を取得して確認した。Highlightsに印字された改訂表示は「Revised: 10/2025」。移植片対宿主病に関する適応は1.4 の1項だけで、逐語は「IMBRUVICA is indicated for the treatment of adult and pediatric patients age 1 year and older with chronic graft-versus-host disease (cGVHD) after failure of one or more lines of systemic therapy.」——「1ライン以上の全身療法が奏効しなかった後」という条件が適応文そのものに含まれ、急性GVHDの適応は立てられていない閲覧 2026-09-17
  6. 6.JAKAFI (ruxolitinib) tablets / JAKAFI XR (ruxolitinib) extended-release tablets — Prescribing Information(U.S. FDA(DailyMed添付文書。Incyte Corporation)・2026)DailyMedの当該SPL本文を取得して確認した。Highlightsに印字された改訂表示は「Revised: 7/2026」。1 INDICATIONS AND USAGE のうち移植片対宿主病に関する2項は逐語で「steroid-refractory acute graft-versus-host disease in adult and pediatric patients 12 years and older」(1.3)と「chronic graft-versus-host disease after failure of one or two lines of systemic therapy in adult and pediatric patients 12 years and older」(1.4)であり、急性と慢性で別の適応として立てられている。開始用量は急性GVHDが1回5mg1日2回、慢性GVHDが1回10mg1日2回閲覧 2026-09-16
  7. 7.Jakavi (ruxolitinib) — European Public Assessment Report, Therapeutic indication(European Medicines Agency・2025)EPARページを取得し Therapeutic indication 欄の全文を確認した(製品情報の最終更新は2025年11月10日、手続番号 VR/0000310678)。移植片対宿主病の適応は逐語で「Jakavi is indicated for the treatment of adults and paediatric patients aged 28 days and older with acute graft versus host disease who have inadequate response to corticosteroids or other systemic therapies」「Jakavi is indicated for the treatment of adults and paediatric patients aged 6 months and older with chronic graft versus host disease who have inadequate response to corticosteroids or other systemic therapies」の2項で、前治療のライン数は条件に含まれない閲覧 2026-09-16
  8. 8.ジャカビ錠5mg/ジャカビ錠10mg/ジャカビ内用液小児用0.5% 電子添文(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/ノバルティスファーマ・2025)本文を取得して確認した。2025年2月改訂(第5版)。4. 効能又は効果は錠剤が「骨髄線維症」「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の3つ、内用液は移植片対宿主病のみで、急性と慢性を分けず前治療のライン数も課していない。6. 用法及び用量の〈造血幹細胞移植後の移植片対宿主病〉は、成人及び12歳以上の小児に1回10mgを1日2回、6歳以上12歳未満の小児に1回5mgを1日2回、内用液では6歳未満の小児に1回4mg/m²を1日2回である閲覧 2026-09-16
  9. 9.Functional hyposplenism following allogeneic bone marrow transplantation(Journal of Clinical Pathology(Cuthbert RJ, Iqbal A, Gates A, Toghill PJ, Russell NH)・1995)同種骨髄移植を受けた28例の脾機能を赤血球の小窩の比率で測り、脾摘の既往がある1例を除く27例のうち4例(15%)が小窩5.0〜34.0%の機能的脾機能低下を示したこと、その4例のうち活動性の広範な慢性移植片対宿主病を有していたのは1例であったこと、4例のうち末梢血に脾機能低下に典型的な赤血球の変化を認めたのも1例だけであったこと、著者らが広範な慢性移植片対宿主病と脾機能低下の関連を確認したと結論しつつ、慢性移植片対宿主病が無くても中等度の機能的脾機能低下が骨髄移植後に起こりうるとし、これが同種骨髄移植後にみられる莢膜細菌への易感染性に関与しうると述べていることを確認した。正常値は小窩2%未満、脾摘後は25〜40%と本文に記されている。PMC502466で構造化抄録の全文を閲覧した(本体は走査版PDFのため本文は未取得)閲覧 2026-09-07
  10. 10.Underrecognised Functional Hyposplenism Associated With Chronic Graft-Versus-Host Disease: A Case Report(eJHaem(愛知医科大学血液内科ほか)・2025)PMC11902891の全文を取得し、同種造血幹細胞移植後に慢性移植片対宿主病を発症した44歳男性で、移植時から5.5年後まで反復したCTが脾の段階的な萎縮を示し、末梢血塗抹にHowell-Jolly小体が持続して認められたこと、著者らがこの合併症を見落とされやすい理由として読影報告で脾の萎縮が見過ごされること・血液塗抹の鏡検が限られていることを挙げていること、本症例が13価肺炎球菌結合型ワクチンと23価莢膜ポリサッカライドワクチンに加えST合剤とレボフロキサシンの予防内服を受けており肺炎球菌感染を起こさなかったこと、著者らが移植後は移植片対宿主病の有無によらずHowell-Jolly小体の定期的な確認と脾の大きさの評価が早期発見に役立ちうると述べていることを確認した閲覧 2026-09-07
  11. 11.Global Consensus on Definition, Classification, Diagnosis, and Staging of Limbal Stem Cell Deficiency(Cornea(Cornea Society International Limbal Stem Cell Working Group)・2019)PMC6363877の全文で確認した。輪部幹細胞疲弊症の病因の分類として、免疫学的・炎症性の原因(移植片対宿主病・Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症・粘膜類天疱瘡・自己免疫性多腺性内分泌不全症候群1型など)、感染(トラコーマを含む重症の微生物性角膜炎)、遺伝性疾患(無虹彩症・色素性乾皮症・先天性角化異常症・EEC症候群・KID症候群・表皮水疱症など)が挙げられていることを確認した閲覧 2026-09-09