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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤

アキサチリマブ

axatilimab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
科目
PharmacologyInternal Medicine
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)H-34: Allogeneic Stem Cell Transplantation
承認適応
移植片対宿主病
副作用
眼瞼浮腫
監視検査値
リパーゼアミラーゼ
対象疾患
閉塞性細気管支炎

🧠 全体像:慢性GVHDの承認薬のうち(JAK1/2)・(BTK)・(ROCK2)はいずれもドナーT細胞・B細胞側を狙うのに対し、だけが標的を変え、を狙うヒト化抗CSF1R(1受容体)モノクローナル抗体である。慢性GVHDの皮膚硬化・といった不可逆的な臓器病変は、ドナー由来の単球がマクロファージへ分化し「」を作ることで進むと考えられており、はこの分化を止め既に線維化が進んだ臓器病変を狙う薬である。2レジメン以上のに不応となった慢性GVHDに、である他の3剤とは対照的な2週ごとのとして用いる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 標的 主に狙う病態フェーズ
BTK 経口 1レジメン以上 T/Bを介する免疫活性化
JAK1/2 経口 1〜2レジメン サイトカインシグナルを介する炎症活動性
ROCK2 経口 2レジメン以上 Th17/Treg不均衡・線維化シグナル
CSF1R 2レジメン以上 が担う線維化フェーズ1

「何レジメン抵抗後に使えるか」が選択順を決める。 AGAVE-201試験の登録患者は前治療の中央値が4レジメンで、74%が既治療だった——は他剤を使い尽くした後の選択肢という位置づけになる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='axatilimab'>アキサチリマブ</span>がCSF1Rに結合"] --> B["CSF1・IL-34による<br>受容体活性化をブロック"]
    B --> C["単球からマクロファージへの分化と<br>既存マクロファージの活性化・生存が抑制"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibrotic niche'>線維化ニッチ</span>を形成する<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='monocyte-derived macrophage'>単球由来マクロファージ</span>集団が減少"]
    D --> E["TGF-β・PDGFなど<span class='jp-term jp-term-diagram' title='profibrotic factor'>線維化促進因子</span>↓"]
    E --> F["線維芽細胞の異常活性化が止まり<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='organ fibrosis'>臓器線維化</span>の進行が抑えられる"]

💡 止める段階が他の3剤と違う。 は炎症の「上流」(ドナーリンパ球の活性化)を止めるのに対し、は線維化を実行する「下流の実行部隊」(マクロファージ)を減らす。他剤で炎症は抑えても線維化病変が残る症例に効きうる理論的根拠になる。

薬物動態

項目 値・特徴
IVのみ(30分かけて2週ごと)
分布・代謝 血漿中心、約6 L。による(CYP代謝を受けない)
半減期 。約11〜108時間まで延びる。を反映する
クリアランス・消失 総クリアランス約0.07 L/時間。投与後の血中濃度低下は中央値4日で約97%に達し、承認用量での全身蓄積は見られない2

適応

項目 内容
適応 慢性GVHD(2レジメン以上のに不応)
対象 成人・体重40 kg以上の小児
根拠試験 AGAVE-201試験(第II相、3用量を比較した)。は0.3 mg/kg 2週ごと群で74%と3用量中最良で、この用量が承認用量となった3

用法・用量

0.3 mg/kg(上限35 mg)を30分かけてし、2週ごとに投与を繰り返すまたは許容できない毒性が出るまで継続する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤成分への過敏症
  • CPK・AST・ALT・・リパーゼの無症候性上昇は、マクロファージの変化による「機序から予測される逸脱酵素上昇」であり、筋障害・肝障害・膵炎そのものを意味しない。 投与前から定期的に測定するが、値だけで中止せず、筋力低下・黄疸・激しい腹痛などと合わせて評価する理解が実地で重要になる
  • ⚠️ :発熱・悪寒・発疹・呼吸困難などが投与中〜投与後に起こりうる。重症度に応じの調整・を行う
  • ⚠️ :CSF1Rシグナルは胎盤の維持・に関与し、本剤は胎児に害を及ぼしうる。IgGは胎盤を通過するため、妊娠可能な女性には投与中・最終投与後30日間の避妊を指導する

副作用

頻度 内容
高頻度 AST・ALT・GGT上昇、リパーゼCPK上昇、Hb低下、感染症、
注意 (約18%)、眼瞼周囲の浮腫
重篤・まれ 重症の、重篤感染症、

まとめ

  • ヒト化抗CSF1Rモノクローナル抗体。CSF1・IL-34による受容体活性化を止め、単球からマクロファージへの分化と既存マクロファージの活性化・生存を抑える。
  • 他の承認薬(=JAK1/2、=BTK、=ROCK2)がドナーT/B細胞側を狙うのに対し、という線維化の実行部隊を狙う点が最大の違いで、唯一のでもある。
  • 適応は2レジメン以上のに不応となった慢性GVHD(成人および体重40 kg以上の小児)。AGAVE-201試験の74%が承認の根拠。
  • ⭐ CPK・AST・ALT・・リパーゼの無症候性上昇はマクロファージの変化による予測された異常であり、値だけで中止しない。・胚にも注意する。

出典

  1. 1.NIKTIMVO (axatilimab-csfr) Prescribing Information(U.S. FDA(DailyMed添付文書)・2024)承認適応は2レジメン以上の全身療法に不応となった慢性GVHDで対象は成人および体重40kg以上の小児、承認用量は0.3 mg/kg(上限35 mg)を30分かけて2週ごとに点滴静注し、投与前・投与中はAST・ALT・ALP・CPK・アミラーゼ・リパーゼを定期モニタリングする閲覧 2026-08-01
  2. 2.Axatilimab in Recurrent or Refractory Chronic Graft-versus-Host Disease(New England Journal of Medicine・2024)AGAVE-201試験(第II相、用量探索を兼ねた無作為化比較)で0.3 mg/kg 2週ごと群の全奏効率が74%と3用量中最も高く、この用量が承認用量の根拠になった閲覧 2026-08-01
  3. 3.FDA-approved therapies for chronic GVHD(Blood (American Society of Hematology)・2025)慢性GVHDの承認薬は前治療歴の条件が薬剤ごとに異なり、イブルチニブは1レジメン以上、ルキソリチニブは1〜2レジメン、ベルモスジル・アキサチリマブは2レジメン以上の全身療法抵抗後という位置づけになっている閲覧 2026-08-01