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Drug Atlas · B29 Immunosuppressants / 免疫抑制薬

ベルモスジル

belumosudil

分類
Immunosuppressants / 免疫抑制薬
商品名(日本)
レズロック
商品名(EU)
Rezurock
科目
PharmacologyInternal Medicine
トピック
B29: Immunopharmacology II (Inhibitors of cytokine gene expression, 5-ASA derivatives)H-34: Allogeneic Stem Cell Transplantation
承認適応
移植片対宿主病
副作用
悪心下痢呼吸困難
監視検査値
ビリルビン

🧠 全体像は慢性(慢性GVHD)治療薬として初めて承認された選択的ROCK2阻害薬である。やステロイドが免疫を一律に抑え込むのに対し、はTh17・を減らしTreg()を増やす免疫バランスを戻す作用と、への分化を抑えるを併せ持つ。慢性GVHDの本質が自己免疫様の炎症と線維化の両方であることを踏まえると、この二面性が位置づけの核心になる。

薬効群の中での位置づけ

標準治療の・ステロイドとは作用の方向性そのものが異なる。

・ステロイド
作用の方向性 免疫全体を一律に抑制する Th17・Tfhを減らしTregを増やして免疫バランスを戻す
標的 T細胞のサイトカイン産生・シグナル伝達全般 ROCK2を介したSTAT3/STAT5経路に選択的
線維化への作用 直接のは乏しい プロフィブロティックなへの分化を抑え、線維化そのものを抑制する

を担うROCK1にはほとんど作用しない選択性が設計の要である。・線維芽細胞に偏るROCK2だけを狙い、とは異なる副作用プロファイルを持つ。

機序

flowchart TD
    A["Th17・Tfh細胞でROCK2が活性化"] --> B["STAT3のリン酸化が進み<br>IL-17・IL-21分泌が増える"]
    C["線維芽細胞でROCK2が活性化"] --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myofibroblast'>筋線維芽細胞</span>への分化・<br>線維化が進行する"]
    B --> E["慢性GVHDの自己免疫様炎症・線維化"]
    D --> E
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='belumosudil'>ベルモスジル</span>がROCK2を選択的に阻害"] -.->|"STAT3リン酸化を抑制"| B
    F -.->|"STAT5リン酸化を促進しTreg増殖"| G["Treg(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='regulatory T cell (Treg)'>制御性T細胞</span>)が増加"]
    F -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myofibroblast'>筋線維芽細胞</span>への分化を抑制"| D
    G --> H["Th17/Tregバランスが是正される"]

💡 なぜ「抑制」ではなく「バランスを戻す」なのか。 ROCK2阻害はTh17・Tfhを減らす一方でTregのSTAT5リン酸化を促進して増やす、両方向の作用を持つ。免疫の攻撃側と制御側の比を変えることで慢性GVHDの自己免疫様病態に働きかける。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 食後投与で空腹時と比べAUC・Cmaxとも約2倍に増加するため、必ず食後に服用する
代謝 主にCYP3A4(一部CYP2C8・CYP2D6・UGT1A9)
相互作用 強力なCYP3A4(リファンピシンなど)・など)はいずれも曝露を大きく低下させる1

適応

12歳以上で、2レジメン以上のに不応となった慢性GVHDが適応である1。承認薬は複数あるが、何レジメン抵抗後に使えるかが薬剤ごとに異なる。

薬剤 標的 慢性GVHDでの
BTK阻害 1レジメン以上のステロイド抵抗後
JAK1/2阻害 1〜2レジメン後
ROCK2阻害 2レジメン以上の抵抗後
CSF1R阻害(抗体) 2レジメン以上の抵抗後

とは対象患者の治療歴が近いが、標的(ROCK2対CSF1R)は大きく異なる。

用法・用量

200 mgを1日1回、食後する。強いCYP3A4またはを併用する場合は200 mgを1日2回に増量する1。実際の用量は病態・併用薬で変わるため添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ で胎児へのが示唆され、妊娠中は避け、投与中・投与後一定期間は有効な避妊を要する
  • 値異常:アミノトランスフェラーゼ・ビリルビンを定期モニタリングする
  • 感染症:機序上は免疫バランスを戻す薬でも、感染症は最も高頻度な副作用であり注意する
  • 高血圧:投与中は血圧をモニタリングする

副作用

頻度 内容
高頻度 感染症、悪心下痢呼吸困難
注意 高血圧症、肝値異常(γ-GTP・アミノトランスフェラーゼ・ビリルビン上昇)
重篤・まれ 、重度の、⚠️

まとめ

  • 慢性GVHD治療薬として初めて承認された選択的ROCK2阻害薬(ROCK1への作用は乏しい)。
  • 「免疫を一律に抑える」のではなく「免疫バランスを戻す」のが核心:STAT3低下でTh17・Tfh減少、STAT5上昇でTreg増加。分化も抑え線維化を抑制する。
  • 適応は12歳以上・2レジメン以上のに不応となった慢性GVHD。より後方の治療歴が条件になる。
  • 食後投与が必須(空腹時比で曝露約2倍)。強いCYP3A4併用時は1日2回に増量する。
  • 主な副作用は感染症・肝値異常・高血圧・悪心・下痢。⚠️ のため妊娠中は避け、有効な避妊を要する。
  • 根拠となった第II相ROCKstar試験では、承認用量(200mg1日1回)群のは75%だった2

出典

  1. 1.Belumosudil for chronic graft-versus-host disease after 2 or more prior lines of therapy: the ROCKstar study(Blood (American Society of Hematology)・2021)第II相ROCKstar試験(2〜5レジメン抵抗後の慢性GVHD 132例)で、承認用量である200mg1日1回群の全奏効率は75%(完全奏効6%・部分奏効69%)であり、この結果がFDA承認の根拠となった閲覧 2026-08-01
  2. 2.REZUROCK (belumosudil) Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration・2021)承認適応は12歳以上・2レジメン以上の全身療法に不応となった慢性GVHD。食後投与で空腹時比AUC約2倍に曝露が増加し、強いCYP3A4誘導薬・プロトンポンプ阻害薬を併用する場合は200mgを1日2回へ増量する閲覧 2026-08-01