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MAGIC基準

MAGIC criteria

別名
Mount Sinai Acute GVHD International Consortium criteria
臓器系
血液免疫・膠原病
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-34:同種造血幹細胞移植内科学 S-45:自家・同種造血幹細胞移植
構成:症状
皮疹下痢悪心嘔吐食欲不振
構成:検査値
ビリルビン
適用疾患
移植片対宿主病

🧠 全体像は、後に起こるのうちを対象に、皮膚・肝・下部消化管・上部消化管の4臓器の所見をstageで評価し、その組合せから全身の重症度(grade 0〜IV)を導く2段構えの基準である。MAGICが2016年、従来のに残っていた採点の曖昧さを整理して定めた1。⚠️ 慢性GVHDには使わない——慢性GVHDの重症度は別建ての(臓器別0〜3点のスコア化)で評価する。

目的と適用場面

内容
目的 の臓器別重症度を標準化して判定し、全身のgrade 0〜IVへ統合する
対象 後にを疑う、または発症した患者
使う場面 移植後の定期評価、治療効果判定、での重症度登録
評価しないもの 慢性GVHD(で評価)、GVHDか他病態かの鑑別そのもの

⚠️ 発症時期(移植後100日)で急性・慢性を分ける古い定義は現在は採らない。 現行の考え方は臨床像による分類で、100日以降にの臨床像のみを呈するや、慢性GVHDの所見にの所見が併存するが存在する。は発症からの日数にかかわらず、臨床像がである場合に適用する2

構成要素と配点

まず4臓器それぞれをstageで評価し、そのあとで臓器stageの組合せから全身のgradeを決める。臓器別のstage判定と全身のgrade判定は別の表であり、どちらか一方を省いて他方だけでは重症度を語れない。

皮膚

stage 所見
0 活動性の紅斑性皮疹なし
1 25%未満
2 25〜50%
3 50%超
4 50%超のに、5%以上を伴う

⚠️ stage4の判定にはの広さだけでなく、水疱・5%以上に達していることが必要である1

stage
0 2 mg/dL未満
1 2〜3 mg/dL
2 3.1〜6 mg/dL
3 6.1〜15 mg/dL
4 15 mg/dL超

肝stageはの実測値のみで判定し、画像所見やは問わない。

下部消化管

⚠️ 成人と小児(体重50kg未満)で1日あたりの下痢量の閾値が異なる。 小児は体重あたりの容量(mL/kg/日)で判定する1

stage 成人(1日排便量または回数) 小児・体重50kg未満(1日排便量または回数)
0 500 mL未満、または3回未満 10 mL/kg未満、または4回未満
1 500〜999 mL、または3〜4回 10〜19.9 mL/kg、または4〜6回
2 1,000〜1,500 mL、または5〜7回 20〜30 mL/kg、または7〜10回
3 1,500 mL超、または7回超 30 mL/kg超、または10回超
4 高度の腹痛(イレウスの有無を問わない)、または 成人と同じ

上部消化管

⚠️ 他の3臓器と異なりstageは0か1の2段階のみで、2〜4は存在しない。 持続する悪心嘔吐の有無だけで判定し、症状の強さで段階を細分しない1

stage 所見
0 悪心・嘔吐・がない、または間欠的
1 悪心・嘔吐・が持続する

全体grade

4臓器のstageを次の条件に当てはめ、全身のgradeを決める。⚠️ 最高stageをそのまま読み替えるのではなく、臓器の組合せそのものが基準になる1

grade 条件
0 4臓器すべてstage 0(活動性の所見なし)
I 皮膚stage 1〜2のみ。肝・上部消化管・下部消化管はいずれもstage 0
II 皮膚stage 3、または肝stage 1、または上部消化管stage 1、または下部消化管stage 1のいずれかを満たす(複数該当してもよい)
III 肝stage 2〜3、または下部消化管stage 2〜3のいずれかを満たす(皮膚はstage 0〜3、上部消化管はstage 0〜1の範囲)
IV 皮膚・肝・下部消化管のいずれかがstage 4(上部消化管はstage 0〜1の範囲にとどまる)

💡 上部消化管はstageが0か1しかないため、単独ではgrade IIまでしか押し上げない。grade III・IVの条件に上部消化管は含まれず、重症度を跳ね上げる臓器としては扱われていない——これが上部消化管だけstage 0〜4ではなく0〜1しか持たないことの実質的な意味である。

解釈とカットオフ

grade 目安
0 所見なし
I 軽症。皮膚病変のみ
II 中等症
III 重症
IV 最重症

⭐ grade Iは皮膚病変のみにとどまるため局所ステロイドで対応できることが多いが、grade II以上に進むとが必要になるのが実地での目安である3

grade III・IVはとくに初期治療に抵抗性を示した場合に予後不良である3

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 他の原因を除外してから適用する。 皮膚の所見は、下部消化管の所見はClostridioides difficileなど)、肝の所見はでも同様に生じうる。や薬剤の毒性、感染症とアポトーシス優位の所見の鑑別が難しい場面では、皮膚・消化管などの生検で特徴的な組織像を確認したうえで診断を確定する3

⚠️ 下部消化管stageの根拠となる下痢量は病棟での実測に誤差が生じやすく()、便回数の記録と実際の容量が乖離することがある。

⚠️ 慢性GVHD・には適用しない。 では慢性GVHDの所見に皮膚・肝・消化管の所見が併存するため、その部分の臓器stageはで付けられても、全身重症度の判定は慢性GVHD側のに委ねる。

⚠️ 従来のとgradeが完全には一致しない。臓器stageの区分値・全体grade判定のロジックが異なるため、文献のgradeを引用・比較するときはどの基準による判定かを確認する。

まとめ

  • を、皮膚・肝・下部消化管・上部消化管の4臓器stage(0〜4、上部消化管のみ0〜1)から全身grade 0〜IVへ統合する2段構えの基準である。
  • 下部消化管の下痢量閾値は成人と小児(体重50kg未満)で異なり、小児は体重あたりの容量で判定する。
  • 全体gradeは各臓器の最高stageをそのまま読み替えるのではなく、臓器の組合せ条件で決まる。上部消化管はstage0〜1しかなく、単独ではgrade IIまでしか押し上げない。
  • grade II以上でが実地の目安となり、grade III・IVとくに治療抵抗例は予後不良である。
  • 適用前になどの他病態を除外し、必要なら生検で確認する。慢性GVHD・、および旧来のGlucksberg/との対比には使わない。

出典

  1. 1.International, Multicenter Standardization of Acute Graft-versus-Host Disease Clinical Data Collection: A Report from the Mount Sinai Acute GVHD International Consortium(ASBMT(Biology of Blood and Marrow Transplantation誌)・2016)皮膚・肝・下部消化管・上部消化管の4臓器それぞれのstage 0〜4(上部消化管のみ0〜1)の定義、下部消化管の下痢量閾値が成人と体重50kg未満の小児で異なること(小児は体重あたりの容量mL/kg/日で判定)、および臓器stageの組合せから全身のgrade 0〜IVを決める基準(最高stageの単純な読み替えではなく臓器の組合せ条件で決まること)を確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Acute Graft-Versus-Host Disease(EBMT(The EBMT Handbook, 8th edition)・2024)grade Iは皮膚病変のみにとどまり局所ステロイドで対応できることが多い一方、より進行したgradeでは全身性ステロイド治療が必要になること、grade III〜IVとくに初期治療抵抗例は予後不良であること、急性GVHDの診断では類洞閉塞症候群・前処置や薬剤による毒性・感染症など他病態との鑑別が難しい場面があり生検で組織学的所見を確認して診断を確立する必要があることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.EBMT-NIH-CIBMTR Task Force position statement on standardized terminology & guidance for graft-versus-host disease assessment(EBMT-NIH-CIBMTR Task Force(Bone Marrow Transplantation誌)・2018)急性・慢性GVHDを移植後100日という発症日ではなく臨床像で分類する現行の考え方(遅発性急性GVHD・オーバーラップ症候群を含む)と、MAGIC基準が急性GVHDの診断・重症度判定において現時点で最も詳細な基準とされていることを確認した閲覧 2026-08-04