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Glucksberg基準

Glucksberg criteria

臓器系
血液免疫・膠原病
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-34:同種造血幹細胞移植内科学 S-45:自家・同種造血幹細胞移植
構成:症状
皮疹下痢悪心嘔吐食欲不振腹痛
構成:検査値
ビリルビン

🧠 全体像は、のうちを対象に、皮膚・肝・消化管の3臓器の所見をstage 0〜4で評価し、その組合せから全身のgrade 0〜IVを導く基準である。1974年にGlucksbergらが発表し、1994年ので臨床パフォーマンススコアの使用をやめ上部消化管症状を取り込む改訂を受けた1はこのをさらに整理した後継であり、皮膚・肝・下部消化管・上部消化管の4臓器に分けてstageを付ける点、臨床パフォーマンススコアを一切使わない点がとの違いになる。

目的と適用場面

内容
目的 の臓器別重症度を段階評価し、全身のgrade 0〜IVへ統合する
対象 後にを疑う、または発症した患者
使う場面 登場(2016年)以前に報告された・文献のgrade判定。現在も同基準で報告を続けている一部の施設・レジストリ
評価しないもの 慢性GVHD(で評価)

⚠️ 現在の新規・前向き登録の第一選択はである。 は過去の文献を読むとき、また同基準を継続使用している施設のデータを解釈するときに必要になる。

構成要素と配点

まず皮膚・肝・消化管の3臓器それぞれをstageで評価し、そのあとで臓器stageの組合せから全身のgradeを決める。

皮膚

stage 所見
0 皮疹なし
1 25%未満
2 25〜50%
3 50%超
4 を伴う

皮疹の広がりはに占める割合として概算する。

💡 の皮膚stage4は「水疱・5%以上」という数値基準を明記して定義を絞り込んでいるが、の記載は「を伴う」にとどまり、水疱の広さを区切る数値基準を持たない2

stage
0 2 mg/dL未満
1 2〜3 mg/dL
2 3.1〜6 mg/dL
3 6.1〜15 mg/dL
4 15 mg/dL超

の実測値のみで判定する。と同じ数値である2

消化管

⚠️ の消化管は上部・下部を分けない単一のstageである。 下痢量(成人は1日排便量、小児は体重あたり容量)で判定するのが軸だが、stage1には持続する悪心嘔吐が生検で裏づけられた場合も含める、という下痢量とは別のもう一つの入り口がある2

stage 成人(1日排便量) 小児(体重あたり) その他の基準
0 500 mL未満 10 mL/kg未満
1 500〜999 mL 10〜19.9 mL/kg または持続する悪心・嘔吐・+生検陽性
2 1,000〜1,500 mL 20〜30 mL/kg
3 1,500 mL超 30 mL/kg超
4 高度の腹痛(イレウスの有無を問わない) 成人と同じ

💡 はこの「もう一つの入り口」を上部消化管という独立した臓器(stage 0〜1のみ)に切り出し、下部消化管のstage 0〜4とは別建てで評価するよう整理した。では上部消化管の症状が下部消化管の下痢量と同じ1本のstageに合流しているため、下痢がなく悪心・嘔吐・だけの患者をどのstageに置くかが曖昧になりやすい1

全体grade

3臓器のstageを次の条件に当てはめ、全身のgradeを決める。

grade 条件
0 3臓器すべてstage 0
I 皮膚stage 1〜2のみ。肝・消化管はいずれもstage 0
II 皮膚stage 3、または肝stage 1、または消化管stage 1のいずれかを満たす
III 皮膚stage 0〜3の範囲で、肝stage 2〜3または消化管stage 2〜3のいずれかを満たす
IV 皮膚・肝・消化管のいずれかがstage 4

⚠️ 1974年のオリジナル版では、この臓器stageの組合せに加えて臨床パフォーマンススコア(Karnofsky/ECOGに相当する全身状態評価)もgrade判定の一因子だった。 1994年の改訂でこのな全身状態評価は廃止され、臓器stageの組合せのみでgradeを決める現行の形になった1

💡 (IBMTR Severity Index)は、このを土台にしつつ判定ロジックが異なる別の指標である。 grade I〜IVではなくindex A〜Dで表記し、臨床パフォーマンスの主観評価を一切使わない点はの1994年改訂と同じ方向だが、同じGlucksberg gradeでも皮膚・肝・消化管の病変パターンが異なると予後(治療不成功のリスク)が有意に異なっていたことを踏まえ、臓器ごとのstageパターンから直接index A〜Dへ対応づける(のような「皮膚・肝・消化管の各stageを場合分けで組み合わせる」ロジックとは別の対応表を持つ)3。⚠️ 本ノートではの臓器別index A〜Dの数値対応表そのものは扱わない——同じ「IBMTR」でもこのSeverity Indexとは別に、International Bone Marrow Transplant Registryが公表した他の指標と混同されることがあるため、文献でを引用するときはSeverity Indexそのものか確認する。

解釈とカットオフ

grade 目安
0 所見なし
I 軽症。皮膚病変のみ
II 中等症
III 重症
IV 最重症

grade 0〜IVという表記自体はと共通するが、⚠️ 同じ「grade II」でもでは対応する臓器所見の組合せが異なりうる。 例えば下痢を伴わず持続する悪心・嘔吐・のみの患者は、では上部消化管stage1によりgrade IIへ達するが、では消化管stageの判定に生検陽性という追加条件が必要になるため、同じ臨床像でもgradeが割れることがある。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 慢性GVHD・には使わない。 慢性GVHDの重症度はで評価する。

⚠️ 現行の・国際レジストリではへの移行が進んでいる。 は上部消化管症状の扱いが下部消化管の下痢量判定と混ざっており、臓器所見のパターンが同じでも判定者によってstageの読み方が割れやすい。

⚠️ 」という別名は要注意。 IBMTR Severity Indexは臓器ごとのstageパターンから直接index A〜Dを決める、とは異なる対応ロジックを持つ指標である。文献のgradeやindexを引用・比較するときは、・IBMTR Severity Index・のどれによる判定かを必ず確認する3

⚠️ 皮膚の所見は、消化管の所見は、肝の所見はでも同様に生じうるため、他の原因を除外してから適用する。

まとめ

  • を、皮膚・肝・消化管の3臓器stage(0〜4)から全身grade 0〜IVへ統合する基準で、1974年の原型を1994年のコンセンサス会議が改訂した。
  • 1994年の改訂で臨床パフォーマンススコアの使用が廃止され、上部消化管症状が消化管stageの判定に取り込まれた。
  • 消化管は上部・下部を分けない単一のstageであり、これが(上部消化管を独立臓器として分離)との構造的な違いになる。
  • 」(IBMTR Severity Index)はと同じ臓器所見を土台にしつつ、index A〜Dへの対応ロジックが異なる別の指標であり、同一視して引用しない。
  • 慢性GVHDには使わず、に委ねる。現行の・レジストリではへの移行が進んでいる。

出典

  1. 1.Pathogenesis and Management of Graft versus Host Disease(Immunology and Allergy Clinics of North America・2010)皮膚・肝・消化管の3臓器それぞれのstage 0〜4の定義(皮膚は体表面積、肝はビリルビン、消化管は成人の1日排便量または小児は体重あたり容量、消化管stage1には持続する悪心・嘔吐・食欲不振と生検陽性所見も含まれること)と、臓器stageの組合せから全身のgrade 0〜IVを決める基準を確認した。この基準がGlucksberg(1974年)に由来し1994年のコンセンサス会議で改訂されたと明記されていることも確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Acute Graft-Versus-Host Disease(EBMT(The EBMT Handbook, 8th edition)・2024)1994年のコンセンサス会議(Przepiorka)がGlucksberg基準の特徴の大半を保ちながら臨床パフォーマンススコアの使用を廃し、上部消化管症状を急性GVHDの定義に組み入れる改訂を行ったことを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.IBMTR Severity Index for grading acute graft-versus-host disease: retrospective comparison with Glucksberg grade(International Bone Marrow Transplant Registry(British Journal of Haematology誌)・1997)IBMTR Severity Index(grade A〜D)が、パフォーマンスの主観的評価を必要としない重症度指標として設計されたこと、および同じGlucksberg gradeでも皮膚・肝・消化管の病変パターンが異なると予後(治療不成功率)が有意に異なっていたためにこの指標が作られたことを確認した。閲覧 2026-08-10