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Lab values · Published

スパイロメトリー

Spirometry

別名
スパイロメトリspirometry
臓器系
呼吸器
科目
PulmonologyInternal Medicine
トピック
呼吸器内科 04:呼吸機能検査:静的・動的肺気量呼吸器内科 05:気管支誘発試験と薬理学的スパイロメトリー内科学 L-15:慢性閉塞性肺疾患内科学 L-16:気管支喘息
関連疾患
気管支喘息進行性肺線維症特発性肺線維症閉塞性細気管支炎放射線肺臓炎慢性閉塞性肺疾患誘発性喉頭閉塞
スコア
FACEDスコアGAPインデックス気管支拡張症重症度指数

🧠 全体像が測るのは気流とだけである。は測れない——この一点が読み方の出発点になる。はFEV1/FVCの低下という比較的単純な所見で判定できるのに対し、だけでは「疑い」までしか言えず、確定にはによるTLCの実測が要る。この非対称性を理解しないまま%VC低下だけでと言い切ると誤る。

何を測っているか

から力いっぱい速く呼出させ、を得る。

  • 後にできる総量
  • (FEV1):呼出開始から最初の1秒間に呼出した量
  • (FEV1/FVC)の有無を判定する中心的指標
  • FEF25-75%:FVCの中間50%区間の平均流量。の変化を反映するとされるがが大きく、単独では診断に使わない
  • 中の最大流量。がきわめて高い

基準値と単位

FVC・FEV1はL()、は比または%で表す。は年齢・身長・性別・民族で変わり、現在の国際標準はGLIの参照式である。GLI-2012式は3〜95歳・複数の民族集団の実測データから連続的な予測値とを導出しており、など主要学会に支持されている1

固定の「予測値80%未満で異常」という閾値は年齢によって偏りが生じる(高齢者で偽陽性、若年者で偽陰性になりやすい)。zスコアは年齢・身長・性・民族による偏りを受けにくく、LLN(通常zスコア-1.64に相当する5)を下回るかどうかで判定する方が正確である1

指標ごとの読み方と曲線の形

量的指標(FVC・FEV1・・PEF・FEF25-75%)に加え、フローそのものが情報を持つ。

曲線の形 示唆する病態
呼気脚が下に凹む (喘息・COPDなど)
吸気・呼気脚とも平坦化
吸気脚のみ平坦化
呼気脚のみ平坦化
ループ全体は縮小するが形は保たれる (肺実質性・胸郭性・神経筋性など)

どのパターンで切り分けるか

換気障害の型 FEV1/FVC FVC TLC
閉塞性 低下(LLN未満) 正常〜低下 正常〜上昇(はRV・RV/TLC比の上昇として表れる)
正常〜上昇 低下 低下(確定にはTLC実測が必須
低下 低下 低下

TLCの列はだけでは埋まらない。FVC低下はを疑う手がかりにすぎず、でもがあればFVCは下がりうるため、の確定は次項の検査へ進む。閉塞性と判定された後の重症度層別化にはのようなFEV1%予測値に基づくを用いる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spirometry'>スパイロメトリー</span>施行"] --> B{"FEV1/FVCがLLN未満?"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='obstructive ventilatory defect'>閉塞性換気障害</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchodilator'>気管支拡張薬</span>吸入後に再検し可逆性を評価"]
    B -->|"いいえ"| E{"FVCがLLN未満?"}
    E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='restrictive ventilatory impairment'>拘束性換気障害</span>の疑い"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='body plethysmography'>体プレチスモグラフィ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gas dilution method'>ガス希釈法</span>でTLCを確認"]
    G --> H{"TLC低下?"}
    H -->|"はい"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='restrictive ventilatory impairment'>拘束性換気障害</span>を確定"]
    H -->|"いいえ"| J["拘束は否定的、非特異的パターンとして再評価"]
    E -->|"いいえ"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airflow limitation (airflow obstruction)'>気流閉塞</span>なし、必要なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='air trapping'>エアトラッピング</span>を追加評価"]

には2つの考え方があり、同じ患者で判定が食い違いうる。 GOLDは診断の単純さを優先し、吸入後FEV1/FVC 0.70未満という固定比を用いる。は加齢で生理的に低下するため、固定比を機械的に適用すると高齢者で過剰診断、若年者で過少診断が生じる。ある地域住民調査では、固定比によるCOPD24.2%に対しLLN基準では15.3%にとどまり、固定比のみ異常な不一致群(主に高齢者)は自体は軽度である一方、正常肺機能群より心疾患の既往が有意に多かった(27.2% vs 7.3%)2

吸入後の可逆性判定基準も一様ではない。 一般的なPFT解釈では、2022年の/技術標準が、投与前値からの変化を問う従来の2005年基準(FEV1またはFVCが12%かつ200 mL以上増加)から、GLI参照式による予測値に対する変化率を用いる方式へ改訂した3

基準 閾値 主な用途
/ 2022 FEV1またはFVCが予測値の10%を超えて増加(投与前値から10%増えたという意味ではない) 一般的な肺の解釈
GINA FEV1またはFVCが基礎値から12%以上かつ200 mL以上増加 喘息の

喘息は時間とともに強さが変動するを特徴とし、症状の訴えだけでなくな気流変動の証明を診断に要する。可逆性陽性はその証明の一つになりうるが、検査時に症状が乏しい時期の陰性結果は喘息を否定しない。

次に進むべき検査

⚠️ 測定上の注意

  • :患者の理解度・協力度に強く左右される。特にPEFとFEF25-75%は影響を受けやすい
  • :呼出開始のであること、呼出が十分な時間続くこと、複数回の測定でFEV1・FVCの差が許容範囲内であることなど、質を担保する基準を満たさない測定は解釈に使わない
  • 検査前の:短時間作用性は検査の数時間前、長時間作用性薬はさらに長くする。ただし自体はなしで施行する目的の検査もあり、指示は検査目的で変わる
  • 禁忌(相対的):直近の心筋梗塞・、気胸、、喀血、直近の眼科・胸部・腹部手術、コントロール不良の高血圧など。ではなく、依頼医がリスクとを検討して判断する

経時変化とモニタリング

健常な非喫煙成人でもFEV1は加齢とともに生理的にわずかずつ低下するが、喫煙者や一部のCOPD表現型ではこの低下が加速する。単回値より個人内の推移を重視し、急速なFEV1低下はCOPDの予後不良と関連する。胸部外科・上腹部手術前の呼吸機能評価や術後の層別化にも用いる。

まとめ

  • FVC・FEV1・などの気流指標を測るが、RV・は測れない。の確定にはによるTLC実測が必要である。
  • 予測値はGLIの参照式が国際標準。固定の「予測値80%」でなく、年齢の少ないzスコア・LLNで判定する方が正確である。
  • の判定にはGOLDの固定比0.70とLLN方式があり、特に高齢者で判定が食い違う。
  • 吸入後の可逆性判定基準は2022年に改訂され、一般的なPFT解釈では予測値に対する変化率(予測値の10%超)を用いる。ただし喘息診断ではGINAが従来基準(12%かつ200 mL以上)を維持しており、目的によって基準が異なる。
  • が高く、を満たさない測定は解釈しない。禁忌を確認し、検査目的に応じてする。
  • の確定やの鑑別には、・DLCOへ進む。

出典

  1. 1.Multi-ethnic reference values for spirometry for the 3-95-yr age range: the Global Lung Function 2012 equations(European Respiratory Journal(Global Lung Function Initiative, ERS Task Force; Quanjer PH, et al.)・2012)GLI-2012参照式が3〜95歳・複数民族集団(白人・アフリカ系アメリカ人・北東アジア系・東南アジア系・混合群)を対象に連続的な予測値と正常下限を導出していること、正常下限はzスコア-1.64(5パーセンタイル)を基本とすること、%予測値による固定閾値は年齢によって偏りが生じるためzスコア方式が推奨されること、ERS・ATS等主要学会の支持を確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.New Guidelines for Bronchodilator Responsiveness in COPD: A Test in Search of a Use(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(Bhatt SP, Fortis S, Bodduluri S)・2022)2022年のERS/ATS技術標準が、従来の2005年基準(投与前値からFEV1またはFVCが12%かつ200 mL以上増加)に代えて、GLI参照式による予測値に対しFEV1またはFVCが10%を超えて増加することを有意な気管支拡張薬反応の基準としたことを確認した。閲覧 2026-08-03
  3. 3.Subjects with Discordant Airways Obstruction: Lost between Spirometric Definitions of COPD(Pulmonary Medicine(Lamprecht B, et al.、Austrian BOLD study)・2011)地域住民調査で固定比0.70によるCOPD有病率が24.2%、正常下限(LLN)基準では15.3%となり両基準の判定が食い違うこと、固定比のみ異常な不一致群は主に高齢者で気流閉塞は軽度である一方、正常肺機能群より心疾患の既往が有意に多いこと(27.2% vs 7.3%)を確認した。閲覧 2026-08-03