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Lab values · Published

体プレチスモグラフィ

Body plethysmography

別名
ボディボックス法body plethysmography
臓器系
呼吸器
科目
PhysiologyPulmonology
トピック
生理学 3.1:肺気量・死腔・肺胞換気呼吸器内科 04:呼吸機能検査:静的・動的肺気量
関連疾患
特発性肺線維症

🧠 全体像が測るのは「吐き切れる量」までである。最大努力で呼出しても肺に残る量——(RV)と、それを含む(TLC)は、では原理的に測れない。は気密ボックス内でを用い、この「吐き切っても残る量」を直接測る検査であり、が「疑い」までしか言えないを「確定」に格上げする対の検査である。

何を測っているか

気密ボックス内に座らせ、口元のシャッターを閉じた状態で浅く速い)をさせる。に対するで胸郭内の圧・容積がわずかに変化するとき、口腔内圧の変化と、ボックス内圧・容積の変化を同時に記録し、等温下で圧と容積の積が一定になるというからガス量(多くの場合FRCに相当)を算出する1。シャッターを開いた状態でも同時に呼吸させ、口腔内圧と気流の関係からを求める。

指標 定義
シャッター閉鎖時の。安静呼気位に相当し、測定のになる
FRC+(IC)
(RV) TLC−(VC。測定できた最大値を用いる)
RV/TLC比 残気率。の指標
シャッター開放時の口腔内圧変化/気流変化
Rawので補正した指標。高いほど気流が良好

シャッター開放時に描かれるにも情報がある。正常では単純な形になるが、上気道など中枢性の閉塞、気道が不均一に狭くなっている状態、喘息のような左右対称性の閉塞、肺気腫でみられる呼気時の気道虚脱では、それぞれ異なる歪み方で現れる。RV・FRC・TLCはいずれもした値(L)で報告する。

基準値と単位

RV・FRC・TLC・RV/TLC比は年齢・身長・性別に対応する予測値に対する%表示で報告され、実務では80〜120%予測値を目安とする運用が広く使われている1。ただし年齢による偏りを避けるため、と同様に、GLIの人種中立参照式によるzスコア-1.645(下側5)をとし、これを下回るかどうかでTLC低値を判定する方式が現行の標準になりつつある2

異常値の意味

所見は機序で3群に整理すると読みやすい。

所見 機序 代表例
TLC低下 の確定 肺実質性(など)、胸郭性・神経筋性、肥満
TLC・RV・RV/TLC比上昇 気腫、喘息
Raw上昇・sGaw低下 気道閉塞 COPD、喘息

TLC低下はを確定するが、の値だけでは肺実質性・胸郭性・神経筋性のどれかまでは決められない。神経筋疾患では呼気筋力低下によりRVだけが増えることがあり、と合わせて判断する。

⚠️ 測定上の注意

)との違いが、このノートの固有価値である。 は吸入したが到達する、気道と交通のある肺胞しか測れない。ブラや高度の気道閉塞があると交通のないの測定から漏れ、FRC・TLCを過小評価する。は交通の有無を問わずの全ガス量を圧の変化として捉えるため、この場合はより高値になる。

測定対象 気道と交通のある肺胞のみ 交通の有無を問わずの全ガス量
ブラ・高度気道閉塞での挙動 FRC・TLCを過小評価しうる 過小評価しない
両者の差の意味 差そのものがトラップされたの量を示す

COPDではによるTLCがより2〜3L高くなることもあり、この差はではなくの定量として扱える1

このほか、でボックス内に留まれない、体格や筋力低下でボックスへの出入り・シャッター閉鎖時の呼吸操作が難しい、パニックで検査が中断される、といった患者要因が測定の妨げになる。高度の気道閉塞や誘発されたでは、の速度が速すぎるとガス量を過大評価しうるため、約1Hzの遅いを維持する必要がある1

時に描かれるループが閉じていない、または大きく歪んでいる記録は、シャッター閉鎖時のが不十分・不安定だったことを示し、その回の測定は解釈に使わない。はないが、などの体内留置物や持続酸素投与がボックス内での検査を物理的に妨げる場合がある1

次に進むべき検査

が確定したら、(DLCO)で肺実質性(など、DLCO低下)か肺外性(胸郭・神経筋・肥満、DLCO比較的保たれる)かを鑑別する。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spirometry'>スパイロメトリー</span><br>気流・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vital capacity'>肺活量</span>を評価"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='restrictive ventilatory impairment'>拘束性換気障害</span>の疑い?<br>FVC低下・FEV1/FVC正常〜上昇"}
    B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='body plethysmography'>体プレチスモグラフィ</span><br>TLC・RV・RV/TLC比を実測"]
    C --> D{"TLC低下?"}
    D -->|"はい"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='restrictive ventilatory impairment'>拘束性換気障害</span>を確定"]
    D -->|"いいえ"| F["拘束は否定的<br>非特異的パターンとして再評価"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='DLCO'>肺拡散能</span><br>肺実質性か肺外性かを鑑別"]
    B -->|"いいえ"| H["閉塞性なら<span class='jp-term jp-term-diagram' title='air trapping'>エアトラッピング</span>評価に利用"]

まとめ

  • は吐き切れる量しか測れない。は吐き切っても肺に残る量(RV・FRC・TLC)を、気密ボックス内でを用いて実測する。
  • TLC低下はを確定する。TLC・RV・RV/TLC比の上昇はを、上昇・sGaw低下は気道閉塞を示す。
  • 予測値に対する%表示が中心だが、年齢を避けるにはGLI参照式によるLLN(zスコア-1.645)で判定する方が正確である。
  • は交通のある肺胞しか測れず、ブラや高度気道閉塞でFRC・TLCを過小評価する。との差そのものがトラップされたの量を示す。
  • ・体格・協力度のがあり、高度の気道閉塞では速度を遅くしないと値が過大評価されうる。
  • が確定したらへ進み、肺実質性か肺外性かを鑑別する。

出典

  1. 1.Body Plethysmography(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)ボイルの法則に基づく胸腔内ガス量測定の原理、FRC・TLC・RV・RV/TLC比・気道抵抗(Raw)・比気道コンダクタンス(sGaw)の定義、COPDやブラ性肺気腫でガス希釈法がFRC・TLCを過小評価しプレチスモグラフィとの差が2〜3L生じうること、閉所恐怖症・体格・協力度による相対的制約、高度気道閉塞ではパンティング速度を遅くしないとVTGを過大評価しうることを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.The utility of spirometry and single breath gas transfer measurements to identify low total lung capacity(ERJ Open Research(Knox-Brown B, Alexiou C, Stanojevic S, Sylvester KP)・2025)FVCが正常範囲であることはTLC低値を除外する特異度99%を持つ一方で感度27%と低く単独では拘束性換気障害を確定できないこと、GLI人種中立参照式によるzスコア-1.645(LLN)でTLC低値を定義することを確認した。閲覧 2026-08-04