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Disease Atlas · 呼吸器 · 症候群

気腫合併肺線維症

Combined pulmonary fibrosis and emphysema

別名
CPFECottin症候群
臓器系
呼吸器
科目
Internal MedicinePulmonology and Thoracic Surgery
トピック
内科学 S-05:間質性肺疾患呼吸器内科 21:慢性閉塞性肺疾患と肺気腫
鑑別疾患
慢性閉塞性肺疾患
合併症
肺高血圧症肺癌
関連疾患
肺気腫
症状
労作時呼吸困難呼吸困難咳
検査値
肺拡散能スパイロメトリー低酸素血症
画像所見
蜂巣肺網状影
元疾患
特発性肺線維症

🧠 全体像:(CPFE)は、の肺気腫とのが同一患者に併存する症候群である。ほとんど喫煙者に生じ、⚠️ 肺気腫による(コンプライアンス↑)とによる拘束(コンプライアンス↓)が互いに打ち消し合うため、・が見かけ上ほぼ正常になるという「の落とし穴」が最大の特徴である。ところが()だけは両者の障害が加算的に働いて著明に低下し、労作時には強い低酸素血症を呈する。⚠️ の合併頻度が高く、これがCPFEの予後を規定する主要因子であり、・のどちらか一方だけを念頭に置いていると見逃す。

位置づけ:単なる合併ではなく症候群として提唱されている

//JRS/ALATのリサーチステートメント(2022年)は、CPFEを「と肺気腫がたまたま同じ患者に生じただけ」ではなく、臨床像のクラスタリング・共通する病態機序・独自の進行様式・(・肺癌・死亡)の増加を根拠に、ひとつの症候群として扱うことを提唱している1。患者の73〜100%が男性で、診断には平均約40 pack-yearsに及ぶ喫煙歴がほぼ必須である1。喫煙との強い関連は、・のいずれの危険因子とも重なる部分であり、CPFEが両者の交差点に位置することを裏づける。

⚠️ ただし、CPFEには国際的に統一されたがまだ存在しない。 96件の研究を含む系統的レビューでは、画像上の肺気腫をどの程度の広がりから「合併」と数えるかの閾値が、研究によって肺実質の0%超から25%超までばらついていた1。数値上のをなとして覚え込まない。

病態:画像は上下、機能検査は相殺

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cigarette smoke'>喫煙曝露</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper lung field'>上肺野</span>優位の肺気腫"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lower lung field'>下肺野</span>優位の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary fibrosis'>肺線維化</span>"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lung compliance'>肺コンプライアンス</span>上昇<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='airflow limitation (airflow obstruction)'>気流閉塞</span>"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lung compliance'>肺コンプライアンス</span>低下<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='restrictive change'>拘束性変化</span>"]
    D --> F["両者が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cancellation'>相殺</span>し合う"]
    E --> F
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spirometry'>スパイロメトリー</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lung volume'>肺気量</span>は<br>見かけ上ほぼ正常"]
    B --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolar capillary bed'>肺胞毛細血管床</span>の破壊(気腫)"]
    C --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alveolar capillary bed'>肺胞毛細血管床</span>の破壊(線維化)"]
    H --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diffusing capacity of the lung for carbon monoxide'>DLCO</span>は<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cancellation'>相殺</span>されず<br>著明に低下"]
    I --> J
    J --> K["労作時の強い低酸素血症"]
    H --> L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary vascular bed'>肺血管床</span>の広範な破壊"]
    I --> L
    L --> M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pulmonary hypertension, PH'>肺高血圧症</span>"]

⭐ の落とし穴はここにある。 肺気腫は肺のを低下させてとを、は逆にコンプライアンスを低下させてをもたらす——方向が逆のこの2つの変化が同程度に生じると、・は見かけ上正常〜軽度異常にとどまり、/比も正常〜軽度低下にとどまる1。一方で、は肺気腫・のどちらの機序でも低下するためが起こらず、両者の障害が積み上がって著明に低下する。この結果、/比が上昇するという組み合わせが、CPFEを疑う際の上の特徴になる1。

💡 「が強いのに、・・だけでは異常が目立たない」という患者こそCPFEを疑う。 Mayo Clinic Proceedingsのレビューは、CPFEをすべき3つのとして、①正常〜軽度異常・正常だがが著明に低下している場合、②と異常な所見(特に閉塞・拘束パターン)を認める場合、③がほぼ正常でも安静時または労作時に低酸素血症を認める場合を挙げている2。

画像所見

  • :〜の肺気腫()
  • :末梢・優位の、を伴う()パターンが典型的だが、他のパターンを取ることもある

⚠️ 肺高血圧症:CPFEの予後を規定する合併症

の合併頻度は報告によって15〜55%と幅があるが、いずれにしても高頻度である1。の上昇をはじめとする血行動態指標は、CPFEにおける死亡のとして同定されている1。肺気腫・のいずれもを破壊する機序を持つため、両者が併存するCPFEではの破壊がより広範に及びやすいと考えられる。

その他の合併症として、肺癌のリスク上昇、、進行に伴う予後不良が知られる1。CPFEを疑う患者では、の見かけの正常さに惑わされず、の評価(心エコー、必要に応じて)を積極的に行う。

治療

確立された治療はなく、・それぞれの(禁煙、の適応評価、、低酸素血症への、の評価と管理、ワクチン接種)を組み合わせて個別に対応する。喫煙が診断のほぼ必須要件である以上、がすべての治療に先行する。

まとめ

  • CPFEはの肺気腫とのが同一患者に併存する症候群で、喫煙歴がほぼ必須の診断要件である。
  • 肺気腫との相反する機能的変化がし合い、・は見かけ上ほぼ正常になる。
  • だけはされず著明に低下し、労作時の強い低酸素血症を来す。この落差がCPFEを疑う手がかりになる。
  • の合併頻度が高く(15〜55%)、予後を規定する主要な合併症である。
  • 国際的に統一されたはまだなく、治療も確立していないため、線維化・気腫それぞれのを組み合わせて対応する。

出典

  1. 1.Syndrome of Combined Pulmonary Fibrosis and Emphysema: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Research Statement(American Thoracic Society / European Respiratory Society / Japanese Respiratory Society / Asociación Latinoamericana de Tórax・2022)気腫合併肺線維症(CPFE)が肺線維症と肺気腫の併存という臨床像のクラスタリング・共通する病態機序・独自の進行様式・合併症リスク(肺高血圧症・肺癌・死亡)の増加を根拠に症候群として提唱されていること、患者の73〜100%が男性で平均喫煙量約40 pack-yearsと診断に喫煙歴がほぼ必須であること、スパイロメトリー・肺気量が比較的保たれる一方でDLCO(一酸化炭素肺拡散能)が著明に低下すること(これは肺気腫による気道への効果と肺線維症の拘束性生理が互いに打ち消し合うためで、FEV1/FVC比は正常〜軽度低下、FVC/DLCO比は増加する)、労作時の著明な低酸素血症を来すこと、肺高血圧症の合併頻度が報告により15〜55%と報告されており肺動脈圧上昇などの血行動態指標がCPFEにおける死亡の独立予測因子であること、96件の研究を含む系統的レビューにおいて気腫の診断閾値が0%超から25%超まで研究間で不均一であり統一された診断基準がないことを確認した閲覧 2026-08-19
  2. 2.Combined Pulmonary Fibrosis and Emphysema: A Narrative Review(Mayo Clinic Proceedings・2023)CPFEが上肺野優位の肺気腫と下肺野優位の肺線維化の併存を特徴とする臨床画像症候群であり、肺気腫と肺線維症が互いの機能的異常を相殺し合うため胸部単純X線・スパイロメトリーが見かけ上正常に近くなりうること、CPFEを疑うべき3つの臨床状況として(1)スパイロメトリー正常〜軽度の閉塞性/拘束性パターンかつ肺気量正常だがDLCOが著明に低下している場合、(2)肺高血圧症と異常な肺機能検査所見(特に混合性閉塞/拘束パターン)を認める場合、(3)スパイロメトリーが正常〜ほぼ正常だが安静時または労作時に低酸素血症を認める場合が挙げられていることを確認した閲覧 2026-08-19