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Drug Atlas · C6 Antivirals / 抗ウイルス薬

マラビロク

maraviroc

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
シーエルセントリ
商品名(EU)
Celsentri
科目
Pharmacology
トピック
C6: Antiretroviral agents
標的微生物
HIV-1
副作用
めまい皮疹
相互作用
リトナビルリファンピシン
対象疾患
HIV感染症・AIDS

🧠 全体像:は他のと根本的に違う「狙い方」をする薬である。他のクラスがすべてウイルス自身の酵素・蛋白(逆転写酵素・・プロテアーゼ・gp41・gp120)を標的にするのに対し、は宿主細胞側の受容体CCR5を塞いでウイルスの侵入を防ぐ。ウイルスではなくヒトの蛋白を狙うため、側がCCR5を使わずCXCR4を使う株(X4)にはそもそも効かないというが生まれ、投与前にが必須になる——このクラス特有の「」的な運用が最大の特徴である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human immunodeficiency virus'>HIV</span>のgp120が<br>CD4と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='co-receptor'>共受容体</span>に結合しようとする"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='co-receptor'>共受容体</span>はCCR5かCXCR4か"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CCR5-tropic'>CCR5指向性</span>(R5型)"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maraviroc'>マラビロク</span>がCCR5に結合し<br>gp120の結合を立体的に阻害"]
    C --> D["gp41による<span class='jp-term jp-term-diagram' title='membrane fusion'>膜融合</span>が始まらず<br>侵入を阻止"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CXCR4-tropic'>CXCR4指向性</span>(X4型)または<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='dual/mixed'>両指向性</span>"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='maraviroc'>マラビロク</span>は無効<br>→投与前に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tropism test'>指向性検査</span>が必須"]

💡 の適応外への進行は「」ではなく「株の乗り換え」で起こりうる。 R5株が優位な患者に投与しても、体内に潜在するX4株が選択的に増えることでにつながることがある。これは他クラスの点変異による古典的なとは異なる。

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 基質。併用薬によって用量を変える必要がある
標準用量 1日2回300mg
強い阻害薬併用時 1日2回150mgへ減量(下のPI併用など)
強い併用時 1日2回600mgへ増量(リファンピシン併用など、他に活性な阻害薬がない場合)
排泄 主に糞中(未変化体・代謝物)、は一部

⭐ 同じ基質でも「濃度を上げる相手」と「下げる相手」での方向が逆になる。 レジメンを変更するたびにの用量を見直す必要があり、この用量自体が試験で問われやすい。

適応

治療経験があり、ののみが検出される患者に、他のと併用する。現在はベースの治療が優先されるため実際に選ばれる場面は限られるが、多剤耐性・の問題があるときの選択肢として残る。で・両が検出された場合は使用しない。

用法・用量

併用薬のへの影響に応じて1日2回150/300/600mgのいずれかを選択する(上記の表を参照)。投与開始前に必ずを行う。実際の用量・検査手順は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 投与前に必ずを確認する。 ・両では無効12
  • ⚠️ を介した薬物相互作用に応じて用量を必ず調整する(表を参照)
  • 肝毒性:発疹・好酸球増多などアレルギー様のを伴うことがあり、これらの徴候を伴うを認めたら中止を検討する。米国添付文書ではとして記載されるのに対し、英国SmPCでは「特別な」節に記載されるという形式上の違いがある12
  • 重度+強い阻害薬の併用ではのリスクが高まる

副作用

頻度 内容
高頻度 咳嗽、、めまい
注意 皮疹、腹痛、(合併例)
重篤・まれ 肝毒性(しばしばアレルギー様のを伴う)、心血管イベント

まとめ

  • 唯一のCCR5拮抗薬。ウイルス蛋白ではなく宿主のCCR5受容体を塞いで侵入を阻止する。
  • 投与前にが必須——・両のには無効。
  • 基質のため、併用薬に応じて150/300/600mgの3段階で用量を調整する。
  • 現在はベース治療が優先され、多剤耐性・の問題がある治療経験者向けの選択肢として残る。
  • 肝毒性はしばしば発疹・好酸球増多などアレルギー様の徴候を伴って出現する。

出典

  1. 1.SELZENTRY (maraviroc) tablets, for oral use(ViiV Healthcare / DailyMed (U.S. FDA)・2007)マラビロク(Selzentry)は米国で2007年に承認され、適応はCCR5指向性HIV-1感染のみに限定されること、投与前に高感度な指向性検査でCXCR4指向性・両指向性ウイルスが検出されないことを確認する必要があること、枠組み警告として肝毒性が報告されており重篤なアレルギー様反応(発疹・好酸球増多・IgE上昇)が肝毒性の発症に先行しうることを確認閲覧 2026-08-27
  2. 2.Celsentri 300 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics(ViiV Healthcare / electronic Medicines Compendium (UK)・2007)英国SmPCでも投与前に新規採血検体でCCR5指向性のみであることを確認する必要があり、治療歴・保存検体からの指向性予測は安全に行えないと明記していること、肝毒性・アレルギー様反応の警告は米国のような枠組み警告(boxed warning)様式ではなく「特別な警告」節(4.4項)に記載されていることを確認閲覧 2026-08-27