薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · C6 Antivirals / 抗ウイルス薬

ロピナビル

lopinavir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
カレトラ
商品名(EU)
Kaletra
科目
Pharmacology
トピック
C6: Antiretroviral agents
標的微生物
HIV-1HIV-2
副作用
下痢
影響検査値
血糖
原因となる疾患
脂質異常症

🧠 全体像:は単独ではが低すぎて実用にならず、常に低用量と固定比率で配合された「カレトラ」としてのみ存在する(PI)である。「して初めて成立する薬」という発想を最初に定着させた製剤であり、この成功体験がのちのなど他のPIの運用にもつながった。現在は・で勝るに一般的なの座を譲っているが、妊娠中の安全性データの蓄積が長いことと資源下での入手性から、なお使われ続けている場面がある。

ダルナビルとの違い

項目
かを別剤として併用 との固定比率配合剤(カレトラ)のみ存在。単独製剤がない
PIの中で最も高い より低く、複数のPI変異が蓄積すると効果が落ちやすい
消化器 比較的良好 下痢がより高頻度・高度になりやすい
脂質・代謝への影響 比較的軽度 がより強く出やすい
心電図への影響 目立たない ・QT延長の報告があり、のリスク因子がある患者では注意
現在の位置づけ 耐性・治療経験例の第一候補1 妊娠中の実績、資源下での代替、小児用シロップ製剤の存在が主な使いどころ

⭐ カレトラは「200mg/50mg」のような固定比率で作られている。 用量を単体で調整できないため、他の相互作用が問題になる場面ではを個別に選べるの方が柔軟に対応しやすい。

適応・用法

治療のPIベースレジメンとして、他の(通常2種の)と併用する。成人量は目安として400mg/100mgを1日2回、または治療歴のない患者では800mg/200mgを1日1回とすることがある。食事の影響を受けにくい製剤設計だが、実際の用量・は年齢・体重・治療歴・製剤(/内用液)で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意・副作用

  • ・QT延長のリスクがあるため、の既往や関連薬剤の併用がある患者ではを検討する1
  • ⚠️ への転用はRCTで否定された。 英国RECOVERY試験(入院患者、・群1,616例対通常治療群3,424例)で28日死亡率に有意差はなく(23% vs 22%、1.03、95%CI 0.91-1.17)、入院期間・生存退院率の改善も示されなかった2
  • PIクラス共通:・インスリン抵抗性/高血糖・・を介した多数の相互作用(の項を参照)
  • 内用液製剤はアルコールを含むため、一部の薬剤(メトロニダゾールなど)との相互作用や小児・妊婦での配慮が必要
  • 高頻度の下痢、血糖上昇・、まれに膵炎・肝毒性

まとめ

  • は単独で使わず、常にとの固定比率配合剤(カレトラ)として存在するPI。
  • 機序はと同じ(プロテアーゼ阻害→未成熟virion)だが、は低く、下痢・・PR/QT延長がより目立つ。
  • 現在の一般的な選択はに譲っているが、妊娠中の安全性実績と資源下での入手性から使われ続けている。
  • への転用が試みられたが、RECOVERY試験などRCTで入院患者への有効性は示されなかった2。
  • PIクラス共通の・相互作用はと共通する。

出典

  1. 1.KALETRA (lopinavir and ritonavir) tablet, film coated; oral solution(AbbVie / DailyMed (U.S. FDA)・2000)ロピナビル/リトナビル(Kaletra)は米国で2000年に固定用量配合剤として承認され、単剤製剤は存在しないこと、PR間隔延長(第2度・第3度房室ブロックの報告あり)とQT間隔延長・torsade de pointesの市販後報告があり先天性QT延長症候群・低カリウム血症・QT延長薬併用患者では回避すべきであることを確認閲覧 2026-08-27
  2. 2.Lopinavir–ritonavir in patients admitted to hospital with COVID-19 (RECOVERY): a randomised, controlled, open-label, platform trial(The Lancet・2020)英国176病院のRECOVERY試験(ロピナビル・リトナビル群1,616例、通常治療群3,424例)で、28日死亡率はロピナビル・リトナビル群23%対通常治療群22%(率比1.03、95%CI 0.91-1.17、p=0.60)で有意差なく、入院期間・生存退院率にも差がなかったこと、著者らはCOVID-19入院患者への使用を支持しないと結論したことを確認閲覧 2026-08-27