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Disease Atlas · 皮膚 · 疾患

頭部解離性蜂窩織炎

Dissecting cellulitis of the scalp

別名
Perifolliculitis capitis abscedens et suffodiensHoffman disease
臓器系
皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-26:脱毛症の臨床型と治療
上位概念
脱毛症
鑑別疾患
毛包炎性脱毛症
関連疾患
化膿性汗腺炎集簇性ざ瘡毛巣洞
治療薬
イソトレチノインアダリムマブインフリキシマブドキシサイクリンリファンピシンクリンダマイシン
症状
皮膚結節面皰

🧠 全体像は、毛包の閉塞から始まりの結節・膿瘍・瘻孔を形成しながらへ進む慢性炎症性疾患である。とともに「毛包閉塞四徴」を構成する一員で、いずれも毛包の・閉塞という共通の入口を持つ。20〜40歳のアフリカ系アメリカ人男性に多いという偏った疫学を持ちながら、性別・人種を問わず起こりうる。慢性の炎症がと不可逆的な脱毛につながるため、軽症〜中等症のうちに抗菌薬・局所ステロイド注射で炎症を抑え、中等症以上ではを軸に、難治例では生物学的製剤まで組み合わせての進行を食い止める。

病態

毛包のによりが閉塞し、様物質が貯留する。貯留物により毛包が破裂すると、内容物に対する好中球性・腫性の炎症反応が起こり、そこへ細菌感染・定着が加わっての結節や膿瘍を形成する1。これはと共通する機序で、この4疾患は「毛包閉塞四徴」としてまとめて理解される1

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular infundibulum'>毛包漏斗部</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperkeratosis'>過角化</span>"] --> B["毛包閉塞・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratin'>ケラチン</span>様物質の貯留"]
    B --> C["毛包破裂"]
    C --> D["好中球性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='granulomatous inflammation'>肉芽腫性炎症</span>反応"]
    D --> E["細菌感染・定着の合併"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluctuance (fluctuant)'>波動性</span>結節・膿瘍・瘻孔(連通する洞)形成"]
    F --> G["慢性反復により毛包破壊・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scarring'>瘢痕化</span>"]
    G --> H["瘻孔・瘢痕が完成すると外科的介入以外の手段が乏しくなる"]

⭐ 病変どうしが皮下でつながる瘻孔(洞)を形成する点が、単純なとの違いである。指で圧すると離れた開口部から排膿することがあり、これが病名の由来(毛包を「解離」しながら進む蜂窩織炎)になっている。

臨床像

  • ・後頭部を中心に、圧痛を伴うの結節・膿瘍が多発し、皮下でつながる瘻孔・洞形成を伴う。
  • 慢性・再発性の経過をとり、排膿とを繰り返しながら脱毛域が拡大する。
  • 双孔性の(2つの開口部を持つ)を伴うことがあり、これはと共通する所見である。
  • 110論文・417例を対象とした系統的レビューでは、性別データのある375例中94.9%が男性で、アフリカ系男性に不均衡に多かった2

診断

臨床像(結節、、進行する)で診断できることが多い。合併するの有無を必ず確認し、難治例や診断に迷う場合は生検・培養で他の毛包性炎症性疾患を除外する。

治療

重症度 推奨される治療
軽症〜中等症 全身抗菌薬(ドキシサイクリンリファンピシンクリンダマイシン併用など)と局所ステロイド注射を、安全性とを理由に初期治療として用いる2
中等症〜重症 0.3〜1mg/kg/日を1〜12か月投与する。系統的レビューでの全体は91%(142/156例)2
難治例 94.1%〔16/17例〕、85.7%〔12/14例〕)を専門施設で検討する2
医学的治療に抵抗する例 外科的切除・レーザー脱毛などの物理的治療を検討する

91%と高いが、投与期間は1〜12か月と幅があり、長期投与を要する患者がいることに注意する2。中断するとしやすいため、改善後も減量・維持のタイミングを慎重に判断する。

⚠️ 治療の主眼はする前に炎症を抑えることであり、いったん瘻孔・瘢痕が完成した部位では発毛は期待できない。結節を見た時点で「経過観察」に留めず、早期から全身治療を検討する。

鑑別・合併

は、毛包閉塞という共通の病態を持つ「毛包閉塞四徴」の構成要素であり、いずれかを持つ患者では他の3疾患の合併を確認する1の慢性炎症性症という点で類似するが、はより深部に達する結節・が主体である点で区別される。

まとめ

  • は毛包閉塞から始まる慢性炎症性疾患で、とともに毛包閉塞四徴を構成する。
  • 結節・膿瘍・皮下でつながるが特徴で、20〜40歳のアフリカ系アメリカ人男性に多い。
  • 軽症〜中等症は抗菌薬と局所ステロイド注射、中等症以上は91%)を軸に治療する。
  • 難治例ではなどを専門施設で検討する。
  • 結節を経過観察だけで終わらせず、瘻孔・瘢痕が完成する前に全身治療へ進む判断を早める。

出典

  1. 1.Treatments for Dissecting Cellulitis of the Scalp: A Systematic Review and Treatment Algorithm(Dermatology and Therapy・2023)110論文・417例を対象とした系統的レビューで、性別データのある375例中94.9%(356例)が男性だったこと、推定有病率は約0.7%であること。全身抗菌薬と局所ステロイド注射が安全性と速効性から軽症〜中等症の初期治療として推奨されること。イソトレチノイン(0.3〜1mg/kg/日、1〜12か月投与)の全体奏効率は91%(142/156例)、難治例へのTNF-α阻害薬はアダリムマブ94.1%(16/17例)・インフリキシマブ85.7%(12/14例)の奏効率だったこと閲覧 2026-08-11
  2. 2.Dissecting Cellulitis of the Scalp(Kansas Journal of Medicine・2024)集簇性ざ瘡・化膿性汗腺炎・毛巣洞とともに毛包閉塞四徴の一員に位置づけられること。毛包閉塞によるケラチン様物質の貯留から毛包破裂、好中球性・肉芽腫性炎症反応、続く細菌感染・定着という機序が想定されていること。20〜40歳のアフリカ系アメリカ人男性に多いこと閲覧 2026-08-11