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Disease Atlas · 皮膚 · 疾患

毛包炎性脱毛症

Folliculitis decalvans

臓器系
皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-26:脱毛症の臨床型と治療
上位概念
脱毛症
鑑別疾患
中心遠心性瘢痕性脱毛症頭部解離性蜂窩織炎
治療薬
リファンピシンクリンダマイシンテトラサイクリンドキシサイクリン
原因微生物
Staphylococcus aureus
症状
膿疱

🧠 全体像は、毛包を中心としたの慢性・再発性のへ進む脱毛である。1つの毛包開口部から複数本の毛が房状に生える「束状発」が最大の手掛かりで、膿疱・痂皮を伴う活動性の炎症を繰り返しながら毛包を破壊していく。黄色ブドウ球菌の関与が想定されているが単剤の抗菌薬だけでは制御しきれないことが多く、リファンピシンとクリンダマイシンの併用など複数の治療を組み合わせて炎症を鎮めることが治療の主眼になるが、いずれのレジメンでも治療終了後のが報告されており油断できない。

病態

を中心とした慢性ので、黄色ブドウ球菌の定着・感染が関与すると考えられている。炎症が反復するうちに隣接する毛包どうしが癒合し、1つの開口部から複数本の毛が房状に生える束状発を形成する。炎症が持続すると毛包上皮が破壊されし、その部位は再生しない。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicular infundibulum'>毛包漏斗部</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neutrophilic inflammation'>好中球性炎症</span><br>(黄色ブドウ球菌の関与)"] --> B["膿疱形成・痂皮"]
    B --> C["炎症の反復・慢性化"]
    C --> D["隣接毛包の癒合"]
    D --> E["束状発(1つの開口部から複数の毛)"]
    C --> F["毛包上皮の破壊と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='scarring'>瘢痕化</span>"]
    F --> G["炎症を繰り返すたびに脱毛域が広がる"]

臨床像

  • ・後頭部を中心に、圧痛を伴う毛包性膿疱、黄色〜血性の痂皮、束状発がみられる。
  • 慢性・再発性の経過をとり、と比較的落ち着いた時期を繰り返しながら脱毛域が拡大していく。
  • 多施設82例の検討では、平均年齢35歳(男性52例・女性30例)で、重症例は17例(21%)を占め、膿疱の存在が重症化と有意に関連する独立因子だった1

⭐ 束状発はを強く示唆する所見だが、他のでも二次的にみられることがあるため、膿疱・痂皮といった活動性炎症所見と併せて評価する。

診断

臨床像(束状発、膿疱、痂皮を伴う)と所見でおおむね診断できる。活動性の辺縁から培養を行い黄色ブドウ球菌の関与を確認し、診断に迷う場合は生検で毛包周囲のを確認する。

治療

確立した単一の標準治療はなく、抗菌薬を中心に複数のレジメンが用いられる。

治療 報告された有効性
テトラサイクリン系単剤(テトラサイクリンドキシサイクリンなど) 82例の検討で90%が改善、平均期間4.6か月1
リファンピシンクリンダマイシン併用 同検討で100%が改善、平均期間7.2か月とテトラサイクリン系より長い寛解が得られた。別の60例の長期追跡でも局所ステロイド注射・テトラサイクリン系と並び最も有効な治療とされた12
局所ステロイド注射 への補助として、抗菌薬と併用されることが多い2

⭐ 60例の長期追跡(最短5年)では、発症年齢が若いほど重症型と有意に関連していた(P=.01)が、治療反応を予測する有意な因子は見つからなかった2。若年発症例では特に、早期からの積極的な治療介入と長期のを計画する。

⚠️ いずれのレジメンでも治療終了後のが報告されており、症状が落ち着いてもが完成する前に長期的な経過観察を継続する。

鑑別

鑑別 区別の要点
深部に達する結節・膿瘍・瘻孔が主体で、より深い層の炎症である
リンパ球優位の炎症で膿疱・束状発を欠き、頭からの性拡大が特徴
細菌性 瘢痕を残さず自然治癒しうる表在性の炎症で、慢性のには至らない

まとめ

  • の慢性炎症が毛包を破壊するで、束状発・膿疱・痂皮が診断の手掛かりになる。
  • 黄色ブドウ球菌の関与が想定されるが、単剤の抗菌薬だけでは制御しきれないことが多い。
  • テトラサイクリン系単剤、リファンピシン+クリンダマイシン併用、局所ステロイド注射を組み合わせて炎症を鎮める。
  • 発症年齢が若いほど重症型と関連するとの報告があり、治療終了後のにも注意して長期する。
  • との鑑別を行い、のうちに炎症を制御して束状発の進行を止める。

出典

  1. 1.Folliculitis decalvans: a multicentre review of 82 patients(Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology・2015)82例(男性52例・女性30例、平均年齢35歳)のレビューで重症例は17例(21%)を占め、膿疱の存在が重症化と有意に関連する独立因子だったこと。テトラサイクリン系抗菌薬で90%が改善し平均奏効期間は4.6か月、クリンダマイシン+リファンピシン併用では100%が改善し平均奏効期間は7.2か月だったこと閲覧 2026-08-11
  2. 2.Folliculitis decalvans: Effectiveness of therapies and prognostic factors in a multicenter series of 60 patients with long-term follow-up(Journal of the American Academy of Dermatology・2018)60例(男性37例61.7%・女性23例38.3%、平均年齢40歳、追跡期間最短5年)の長期追跡で、リファンピシン+クリンダマイシン併用・テトラサイクリン系・局所ステロイド注射が最も有効だったこと。発症年齢が若いほど重症型と有意に関連し(P=.01)、治療反応を予測する有意な因子は見つからなかったこと閲覧 2026-08-11