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Drug Atlas · C12 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

テトラサイクリン

tetracycline

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
アクロマイシン
科目
Pharmacology
トピック
C12: Tetracyclines and glycylcyclines
標的微生物
Helicobacter pyloriPropionibacteriumMycoplasma pneumoniaeChlamydia trachomatis D–KVibrio choleraeBorrelia burgdorferiRickettsia rickettsii
副作用
悪心下痢
相互作用
イソトレチノインワルファリン
対象疾患
機能性ディスペプシア熱帯性スプルー毛包炎性脱毛症
原因となる疾患
固定薬疹

🧠 全体像:テトラサイクリンはC12群(テトラサイクリン系・)の原型となる古典的テトラサイクリンで、ドキシサイクリンと同じ「に可逆的に結合して蛋白合成を止める」だが、がまったく違う。が主体(ドキシサイクリンは胆汁排泄)で、Ca²⁺への結合率がドキシサイクリンの2倍以上あり・骨への蓄積が強く出やすく、半減期が短いため1日4回投与が必要になる。この「使い勝手の悪さ」ゆえに大半の適応でドキシサイクリンに置き換えられたが、によるH. pylori除菌という、テトラサイクリン自身が今も選ばれる場面が残っている。

薬効群の中での位置づけ

世代・型 代表 特徴 弱点・注意
古典的テトラサイクリン(原型) テトラサイクリン C12群の基本骨格。安価で今も一部レジメンの構成薬 主体(腎機能低下で蓄積)、Ca²⁺結合率約40%、半減期約8〜11時間で1日4回投与
古典的テトラサイクリン(改良型) ドキシサイクリン 1日1〜2回で足りる。腎機能を問わず使える(胆汁排泄) Ca²⁺結合率は約19%と低くリスクが相対的に小さい
(耐性菌向け拡張版) MRSA・VRE・ESBL産生菌・嫌気性菌まで広域カバー 血中濃度が低く菌血症に不向き

同じ30S阻害薬でも、テトラサイクリンとドキシサイクリンを分けるのは「機序」ではなく「」。 Ca²⁺結合率がほぼ2倍(約40% vs 約19%)という差が、リスクの差にそのまま直結する——テトラサイクリンで「短期投与ならリスクはできる」というドキシサイクリンで蓄積しつつあるエビデンスをそのまま当てはめてはいけない。

機序

flowchart TD
    A["テトラサイクリンが細菌内へ拡散"] --> B["細菌の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='30S ribosomal subunit'>30Sリボソームサブユニット</span>へ<br>可逆的に結合"]
    B --> C["aminoacyl-tRNAのA-site結合を阻害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peptide chain elongation'>ペプチド鎖伸長</span>が止まる<br>→蛋白合成↓(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bacteriostatic'>静菌的</span>)"]
    E["Ca²⁺・Mg²⁺・Al³⁺・Fe²⁺"] -.->|"強く<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chelation'>キレート形成</span><br>(Ca²⁺結合率約40%)"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GI absorption'>消化管吸収</span>低下・骨/歯への蓄積"]
    G["細菌が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='efflux pumps'>排出ポンプ</span>・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ribosomal protection protein'>リボソーム保護蛋白</span>を獲得"] -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tetracycline resistance'>テトラサイクリン耐性</span>"| B

💡 機序はドキシサイクリンと完全に同じ(可逆的な30S結合→)。 アミノグリコシド系(C13群、30Sに不可逆的に結合し)との対比はテトラサイクリン系全体に共通するポイントとして、機序ではなくの違いでドキシサイクリンとの使い分けを覚える方が実践的。

薬物動態

項目 値・特徴
約60〜80%。食事・乳製品・で顕著に低下するため空腹時服用が原則(ドキシサイクリンより食事の影響を受けやすい)
分布 骨・歯への取り込みが強い。Ca²⁺結合率は約40%でドキシサイクリン(約19%)の2倍以上
代謝 ほとんど代謝を受けず未変化体のまま体内を巡る
排泄 主に(ドキシサイクリンとは対照的)
半減期 約8〜11時間。1日4回投与が必要(ドキシサイクリンは1日1〜2回)

💡 主体という一点が、ドキシサイクリンとの臨床的な 腎機能低下例では蓄積し、テトラサイクリン系に共通する抗を促進する作用)によりをさらに悪化させる。腎機能が問題になる場面では自動的にドキシサイクリンが選ばれる。

適応

領域 使いどころ
H. pylori除菌( 消化性潰瘍におけるHelicobacter pylori除菌の代替・救済レジメン。メトロニダゾールと4剤併用で用いる、現在もテトラサイクリン自身が選ばれる代表的な場面
皮膚 (現在はドキシサイクリン・が優先されることが多い)
・ライム病など クラス共通の適応だが、腎機能正常でドキシサイクリンが使えない場合の代替に位置づけがしている

用法・用量

成人は250〜500 mgを1日4回、空腹時(食前1時間または食後2時間、乳製品・とは前後2〜3時間あける)にする。H. pylori除菌のでは500 mgを1日4回、10〜14日間、・メトロニダゾール・と組み合わせる。8歳未満の小児・妊婦では使用しない。実際の用量・レジメンは適応・重症度・施設のプロトコルで変わるため添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:妊娠・授乳中、8歳未満の小児(原則)——のリスク。ドキシサイクリンよりCa²⁺結合率が高く影響がより顕著なため、短期投与での例外扱いはしない
  • ⚠️ 腎機能低下:蓄積してを悪化させるため原則避ける。腎機能を問わず使えるドキシサイクリンとの最大の違い
  • ⚠️ Ca²⁺・Mg²⁺・Al³⁺・Fe²⁺と・乳製品、と同時服用しない(前後2〜3時間あける)。ドキシサイクリンより影響が大きい
  • ⚠️ など誘導体()との併用回避)のリスクがに高まる
  • :日光曝露で日焼け・皮疹を起こしやすい
  • ワルファリン併用での変化を介して抗凝固作用が増強しうるため、PT/INRのモニタリングを強化する

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、食道炎(多めの水で服用しないと生じやすい)
注意 下痢
重篤・まれ 併用でリスク増大)、小児での・骨発育抑制、腎機能低下例での増悪、

まとめ

  • 可逆的に結合し蛋白合成を阻害する薬。C12群(テトラサイクリン系・)の原型となる古典的テトラサイクリン。
  • ドキシサイクリンと機序は同一だが、主体・Ca²⁺結合率が約2倍・半減期が短く1日4回投与というの差で使い勝手が劣り、多くの適応で置き換えられた。
  • 現在も選ばれる代表的な場面はによるH. pylori除菌
  • 妊婦・8歳未満の小児は禁忌(・骨発育抑制)。ドキシサイクリンのような短期投与での例外扱いはしない。
  • 腎機能低下例では原則避ける(蓄積・増悪)——腎機能を問わないドキシサイクリンとの最大の
  • などとの併用でのリスクがに上がるため避ける。