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Symptoms · Published

膿疱

Pustule

別名
pustule
臓器系
皮膚感染症
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 1-01:皮膚の原発疹・続発疹皮膚科 1-08:伝染性膿痂疹・毛包炎・せつ・よう皮膚科 3-03:薬剤による皮膚有害反応と薬疹の管理皮膚科 3-20:乾癬の臨床型と治療
関連疾患
IL-1受容体拮抗蛋白欠損症マラセチア毛包炎壊疽性膿皮症細菌性皮膚感染症(伝染性膿痂疹・毛包炎・せつ・よう)酒皶・口囲皮膚炎尋常性痤瘡毛包炎性脱毛症

🧠 全体像:⚠️ 膿疱=感染ではない。 膿疱の内容物は好中球の集族であって、細菌そのものではない。のように病原体を伴わない無菌性膿疱が実在し、見た目は感染性の膿疱ときわめてよく似る。「膿があるから抗菌薬」という短絡をまず断ち、毛包に一致するか発熱など全身症状を伴うか薬剤開始との時間関係があるかの順に確認し、最終的にはグラム染色・培養で無菌性か感染性かを確定するという枠組みで臨む。

定義と用語の整理

  • 膿疱は、表皮内または表皮下に好中球主体の膿性内容が貯留した隆起である。液体が漿液性であれば小水疱水疱であれば丘疹と呼び、内容物が何であるかでの呼び名が変わる。大きさや隆起の形そのものは決め手にならない。
  • 全体の用語整理は皮疹に譲り、本稿は膿性内容を含む病変の機序に絞る。
  • 水疱として生じた病変が、経過中に内容物がして二次的に膿疱化することがある。水痘の病変は丘疹→水疱→痂皮と進むが、その途中で水疱内容がしばしば膿性にしてから乾燥する。発症時のと、経過中の続発的変化は区別して記載する。
  • 膿疱とは深さが違う。膿疱は表皮内〜表皮下の浅い病変であるのに対し、膿瘍は〜皮下組織に膿が貯留した病変で、の適応になる点が異なる。
  • 隣接する膿疱が癒合し、境界不明瞭な膿の(いわゆる)を作ることがある。単発の小膿疱とは臨床的な重みが異なり、全身性などの病態でしばしばみられる所見である。

病態を4群で整理する

膿疱を来す機序は、感染性・無菌性好中球性の血行性病変・薬剤性の4群に大別すると鑑別の道筋が見える。

機序 毛包との関係 代表
感染性 病原体が毛包または表皮に感染し好中球を動員する 毛包に一致することが多い カンジダ症
無菌性・好中球性 病原体非依存に好中球が皮膚へ自己炎症性に集族する 毛包に一致しない
の血行性病変 血流に乗った病原体が末梢皮膚に少数の病変を作る 毛包に一致しない・少数散在
薬剤性 薬剤がを刺激する、または好中球性を誘発する 薬剤により両方あり得る

毛包に一致するかどうかが、感染性を疑う最初の軸になる。 毛を中心に膿疱が並んでいればなど感染性を、毛包と・対称性に出現していれば無菌性好中球性を先に考える。

💡 の膿疱は、でもでもなく、関節周囲に少数散在するという第3のパターンを取る点が鑑別的である。

💡 は手掌・足底に限局し、無菌性膿疱と鱗屑の出現・消退を慢性に繰り返す病態である。乾癬の病変と紛らわしいが、体幹・四肢の典型的な乾癬病変や爪病変を欠くことが多い点で見分ける手がかりになる。

⚠️ 緊急で見逃してはいけない病態

⚠️ 発熱+全身の無菌性膿疱+は、全身性を疑う。脱水・敗血症様病態に至り得るため、感染との鑑別を進めながら体温・循環・電解質を含む全身管理を並行する。

⚠️ 発熱+関節痛+末梢の少数膿疱は、を疑う。移動性を伴えば可能性が高まる。

⚠️ 壊死・出血を伴う膿疱は、緑膿菌などを示唆する型の病変であり、好中球減少患者ではとくに緊急対応を要する。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["膿疱を認める"] --> B{"毛包に一致するか"}
    B -->|"あり"| C["感染性を疑う<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='folliculitis'>毛包炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='impetigo'>伝染性膿痂疹</span>など"]
    B -->|"なし"| D{"発熱・全身症状を伴うか"}
    D -->|"あり"| E["全身性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pustular psoriasis'>膿疱性乾癬</span>・AGEP・<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='disseminated gonococcal infection, DGI'>播種性淋菌感染症</span>を評価"]
    D -->|"なし"| F{"薬剤開始と時間的関係があるか"}
    F -->|"あり"| G["薬剤性の膿疱症を疑う"]
    F -->|"なし"| H["限局性の無菌性膿疱症を評価<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palmoplantar pustulosis'>掌蹠膿疱症</span>など)"]
    C --> I["グラム染色・培養、<br>必要に応じ皮膚生検"]
    E --> I
    G --> I
    H --> I
    I --> J["無菌性か感染性かを確定"]

💡 膿疱内容のグラム染色・培養が、無菌性か感染性かを分ける最終的な決め手になる。 臨床像だけで無菌性と決めつけて抗菌薬を省略する、あるいは感染性と決めつけて漫然と抗菌薬を続けることの両方を避けられる。

⚠️ は、を待つ間の簡便なスクリーニングになる。 やヘルペスウイルス感染に伴う二次的な膿疱化を、無菌性好中球性と取り違えないための一手間である。

対症療法の考え方

膿疱そのものへの介入と、原疾患の治療に委ねる部分を分けて考える。

  • 膿疱そのものへの介入:限局性の感染性膿疱(など)には外用抗菌薬や排膿が有効なことがある。〜皮下に及ぶが中心になる。
  • 原疾患の治療に委ねる:無菌性好中球性では膿疱そのものを標的にするのではなく原疾患を治療する。全身性は専門管理下の全身治療、の中止と支持療法、は基礎にある炎症の管理が主軸になる。
  • 判定が確定するまでの姿勢:排膿性・膿性の外観だけで無菌性を否定してはならず、逆に慢性の経過や薬剤歴だけで感染を除外してもならない。が出るまでは両方の可能性を残して評価を進める。

⚠️ 無菌性膿疱に抗菌薬を漫然と使わない。 培養陰性の無菌性膿疱症へ経験的抗菌薬を継続しても改善せず、原疾患の治療開始が遅れるだけである。

まとめ

  • 膿疱の内容物は好中球であって細菌そのものではなく、無菌性膿疱(など)が実在する。
  • 液体が漿液性なら小水疱・水疱、なら丘疹、膿性なら膿疱と、内容物でを呼び分ける。
  • 膿疱は表皮内〜表皮下の浅い病変で、〜皮下に膿が貯留する膿瘍とは深さが異なる。
  • 機序は感染性(が多い)、無菌性好中球性の血行性病変、薬剤性の4群に整理できる。
  • 毛包に一致するかどうかが、感染性を疑う最初の分岐軸である。
  • 発熱+全身の無菌性膿疱、発熱+関節痛+末梢少数膿疱、壊死・出血を伴う膿疱は緊急評価の対象である。
  • 最終的な無菌性・感染性の判定はグラム染色・培養(必要に応じ生検)に委ねる。
  • 対症療法は、限局性感染への外用・排膿と、原疾患治療に委ねる無菌性膿疱症とを区別して考える。