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Symptoms · Published

水疱

Blister

別名
水疱形成
臓器系
皮膚感染症
科目
DermatologyPathology
トピック
皮膚科 3-01:皮膚の構造皮膚科 1-01:皮膚の原発疹・続発疹皮膚科 3-15:自己免疫性水疱症病理学 C/100:水疱性皮膚疾患(天疱瘡・水疱性類天疱瘡・疱疹状皮膚炎)
関連疾患
ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群ポルフィリン症壊死性軟部組織感染症固定薬疹細菌性皮膚感染症(伝染性膿痂疹・毛包炎・せつ・よう)産褥敗血症・産褥感染自己免疫性水疱症(天疱瘡・水疱性類天疱瘡)水痘・帯状疱疹丹毒・蜂窩織炎単純ヘルペスウイルス感染症凍傷熱傷薬剤の血管外漏出薬疹(SJS・TENを含む)褥瘡

🧠 全体像:水疱は表皮内または表皮下に体液が貯留した状態で、大きさよりもどの層で液体が溜まっているか(表皮内か表皮下か)と壁の性状(弛緩性かか)を見ることが、原因を絞る最短経路になる。同じ「水疱」という所見でも、感染が毒素や病原体そのもので接着装置を壊すのか、自己免疫がを攻撃するのか、熱傷が組織を直接損傷するのか、代謝異常が基底膜を光線曝露下でさせるのかで、もまったく別物になる。水疱は皮膚が受けたダメージの結果であり、水疱が「できていく過程」自体を切り離して考える必要はない。

定義と水疱・小水疱の使い分け

  • 直径5mm前後を境に、それ未満を小水疱、それ以上を水疱と呼び分ける教科書が多い(5〜10mmをとする記載もある)。
  • 全体(斑・丘疹・膿疱など)の用語整理は皮疹に譲り、本稿は液体貯留性病変(水疱・小水疱)の機序に絞る。
  • びらん・痂皮は水疱が破れたあとに生じるであり、水疱そのものと区別して記載する。

水疱ができる層とNikolsky徴候

表皮は基底層からまでの多層構造で、細胞どうしはで、と基底膜はでつながっている。どちらが壊れるかで水疱の性状が決まる。

flowchart TD
    A["接着装置の破綻"] --> B["表皮内(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='desmosome'>デスモソーム</span>)で解離"]
    A --> C["表皮下(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='basement membrane zone'>基底膜帯</span>)で解離"]
    B --> D["屋根が薄く破れやすい<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='flaccid bulla'>弛緩性水疱</span>"]
    C --> E["屋根が表皮全層のまま残る<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='tense bulla'>緊満性水疱</span>"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nikolsky sign'>Nikolsky徴候</span>陽性になりやすい"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nikolsky sign'>Nikolsky徴候</span>陰性になりやすい"]
表皮内水疱
壁の性状 薄く破れやすい=弛緩性 表皮全層が屋根=
陽性になりやすい 陰性になりやすい
代表 の皮膚型、熱傷

(一見正常な皮膚を側方にこすると表皮がずれて剥離する所見)が陽性であることは、病変が表皮内にとどまり接着そのものが脆弱であることを示し、を主体とする疾患では通常陰性になる。

💡 確認は病変から離れた一見正常な皮膚で行う。既にできている水疱そのものを押しても情報は少なく、まだ水疱化していない部位で表皮がずれるかどうかが接着の脆弱性を示す。

原因を4群で整理する

水疱を起こす機序は感染性・自己免疫性・熱傷・代謝性の4群に大別すると理解しやすい。

機序 代表疾患
感染性 毒素がを切断、または病原体が組織を直接破壊する を切断)、、重症化した・蜂窩織炎
自己免疫性 への自己抗体(標的=表皮内、標的=表皮下)
熱傷 熱・による直接損傷。浅達性の熱傷では表皮下に体液が貯留する 熱傷
代謝性 光線曝露下でさせる、または薬剤反応で表皮壊死が進む (SJS・TENを含む)

💡 のうちSJS/TENは、に対する反応が表皮全層を壊死させる点で「熱傷様」の経過をたどり、陽性・広範なを来す。代謝性・熱傷の境界にまたがる病態として扱うと理解しやすい。

💡 熱傷では深さで水疱の有無が変わる。表皮のみにとどまる(第1度)は水疱を作らず、真皮に及ぶが亢進し表皮下に体液が貯留してをつくる。ではさらにが強く、水疱は破れて創面が露出しやすい。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["急性の水疱性皮疹"] --> B{"粘膜病変・皮膚痛・発熱を伴うか"}
    B -->|"あり"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='severe cutaneous adverse reaction (SCAR)'>重症薬疹</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='necrotizing soft tissue infection'>壊死性軟部組織感染症</span>など緊急病態を最優先で評価"]
    B -->|"なし"| D{"弛緩性か<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tense (bullae)'>緊満性</span>か、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Nikolsky sign'>Nikolsky徴候</span>は"}
    D -->|"弛緩性・陽性"| E["表皮内病変:感染性毒素、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pemphigus group'>天疱瘡群</span>を考える"]
    D -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tense (bullae)'>緊満性</span>・陰性"| F["表皮下病変:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pemphigoid group'>類天疱瘡群</span>、熱傷、代謝性を考える"]
    E --> G["分布・発熱・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='medication history'>薬歴</span>・日光曝露歴を確認し原因を絞る"]
    F --> G

💡 年齢も手がかりになる。 乳幼児の広範な剥離はを、口腔病変が先行し中高年で生じるを、高齢者のを伴うさせる。

⚠️ 見た目の軽さで安心してはならない疾患がある。 の重症GAS感染()では、水疱・が全身毒性の進行より遅れて出現することがあり、外観に不釣り合いな激痛のほうが先行するとして重要である。

⚠️ 薬剤開始後の急速な・多粘膜病変はSJS/TENを疑い、を直ちに中止する。水疱の大きさより剥離が広がる速さを左右する。

⭐ 原因不明の急な腹痛・に日光露出部の水疱性皮疹が重なれば、の皮膚型をする。水疱は診断のきっかけであってではなく、PBG・ALAや尿・血漿へ進む発想が要る。

まとめ

  • 水疱は表皮内か表皮下かで壁の性状(弛緩性/)との陽性・陰性が決まる。
  • 原因は感染性・自己免疫性・熱傷・代謝性の4群で整理すると鑑別が進めやすい。
  • 直径5mm前後を境に小水疱と水疱を呼び分けるが、同じ機序の延長線上にある所見として扱ってよい。
  • 粘膜病変・皮膚痛・急速な進展・外観に不釣り合いな痛みは、SJS/TENやなど緊急病態のである。
  • など代謝性疾患では、水疱は全身病態を疑うきっかけとして働く。
  • は水疱そのものではなく、隣接する一見正常な皮膚で確認する。