皮膚科学

皮膚科学 · 3-20

乾癬の臨床型と治療

Psoriasis - Clinical Forms and Therapy

前提:病態
炎症性皮膚疾患免疫薬理学III(抗体・融合タンパク質)免疫薬理学II(サイトカイン遺伝子発現阻害薬)
薬剤
アシトレチン
疾患
好中球性皮膚症掌蹠膿疱症尋常性乾癬妊娠性膿疱性乾癬毛孔性紅色粃糠疹
症状
紅皮症爪異形成膿疱皮膚亀裂

🧠 全体像:乾癬は、IL-23/Th17/を中心とする免疫経路と表皮が関与する慢性炎症性疾患である。典型は境界明瞭なとだが、滴状、、膿疱性、など多彩な形をとる。皮膚だけでなく爪、関節、心血管・代謝・精神的併存症を評価し、だけでなく生活への影響と特殊部位を含めて治療を選ぶ。

病態

に環境因子が重なり、、T細胞、が炎症回路を形成する。-C*06:02などと関連するが、のみで説明される病気ではない。外傷、感染、喫煙、肥満、一部薬剤、の急な中止などが発症・増悪に関与し得る。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genetic predisposition'>遺伝素因</span>と環境因子"] --> B["自然免疫・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dendritic cell'>樹状細胞</span>活性化"]
    B --> C["IL-23経路"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Th17 cell'>Th17細胞</span>活性化"]
    D --> E["IL-17などの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inflammatory cytokine'>炎症性サイトカイン</span>"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratinocyte'>角化細胞</span>増殖と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neutrophil migration'>好中球遊走</span>"]
    F --> G["紅斑・肥厚・鱗屑"]
    G --> E

臨床型

病型 臨床像 重要点
頭皮、肘、膝、などの境界明瞭な隆起性紅斑と 最も多い。外傷部位に新生するを認め得る
体幹・四肢に小滴状の丘疹が急に多発 若年者でに出現しやすい
腋窩、鼠径、などの平滑での局面 鱗屑が少なく、カンジダ症と鑑別
。限局性または全身性 全身性では発熱・臓器障害を伴う皮膚救急
乾癬性 ほぼ全身の紅斑・鱗屑 体温・水分・、感染、心負荷に注意
病変 の・、膿疱 面積が小さくても機能障害が大きい

⚠️ 乾癬性の主要な鑑別にがある。 紅斑の中に正常皮膚がに島状に残る所見が特徴的で、乾癬性との鑑別点になる1。

爪と関節

爪では、、、爪下をみる。、、、、間関節痛をし、を早期に拾い上げる。を防ぐため疑えばリウマチ専門医と連携する。

診断と重症度

診断は通常臨床的で、非典型例では真菌検査や皮膚生検を行う。鱗屑を剝がすと点状出血を生じるは補助所見であり、無理に誘発する必要はない。

病理では、規則的な、の延長、乳頭上表皮の菲薄化、の、減少、血管の拡張を認める。内の好中球であるや表皮内のは特徴的だが、単独で確定しない。

指標 用途
病変面積。一手掌を約1%として概算する
紅斑、肥厚、鱗屑などの総合評価
乾癬面積・重症度指数(Psoriasis Area and Severity Index:) や全身治療評価で用いることが多い
皮膚(Dermatology Life Quality Index:) 日常生活・心理・仕事への影響

顔面、頭皮、手足、生殖器、爪などはが小さくても重症になり得る。だけでを決めない。

治療

外用療法

  • :部位・厚さに応じ力価と剤形を選び、間欠使用へ移行する
  • ビタミンD3外用薬:ステロイドとの配合・併用で効果を高め、長期のステロイド曝露を減らす
  • :顔面・など薄い皮膚でを含め検討する
  • :厚い鱗屑に用いるが、刺激と広範囲使用に注意する

光線・全身療法

群 例・特徴
を中心に、広範な皮疹へ用いる
全身薬 メトトレキサート、、。妊娠、肝腎機能、感染、血圧などに応じ選択
、経口阻害薬デュークシチニブなど。承認状況と併存症を確認2
生物学的製剤 、IL-12/23()、IL-17、IL-23p19(・・チルドラキズマブ)を標的とする薬剤3。感染スクリーニングとが必要

全身性ステロイドは通常ののには用いず、急な中止による・化を避ける。全身性ステロイドの中止は感染・ストレス・妊娠・月経と並ぶの代表的な増悪誘因として報告されている。4 全身性やでは入院を含む緊急評価を行い、感染との鑑別、体温・循環・と迅速な全身治療を行う。のにはIL-36受容体阻害薬スペソリマブが承認治療の選択肢となる。5

併存症

  • 肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常、心血管疾患
  • うつ、不安、アルコール・喫煙関連問題

薬剤選択は併存症によって変わるため、皮疹だけを診ない。

まとめ

  • 境界明瞭な、、伸側優位の分布が典型である
  • と状を毎回確認する
  • 滴状、、膿疱性、など病型ごとのと鑑別を押さえる
  • 重症度はだけでなく特殊部位とを含めて評価する
  • 外用、光線、全身薬、、生物学的製剤を病態と併存症に合わせて選ぶ

出典

  1. 1.Pityriasis Rubra Pilaris(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)毛孔性紅色粃糠疹が乾癬性紅皮症の主要な鑑別であること、紅斑の中に正常皮膚が地図状に島状に残る所見がPRPに特徴的であること。閲覧 2026-09-07
  2. 2.SOTYKTU (deucravacitinib) tablets, for oral use — Highlights of Prescribing Information(FDA(添付文書)・2026)デュークラバシチニブが経口TYK2阻害薬として中等症〜重症の尋常性乾癬(全身療法または光線療法の候補となる成人)と活動性乾癬性関節炎に承認されていること(米国初回承認2022年)、用法は1日1回6mg経口投与であること。閲覧 2026-08-26
  3. 3.TREMFYA (guselkumab) injection, for subcutaneous or intravenous use — Highlights of Prescribing Information(FDA(添付文書)・2026)グセルクマブがIL-23のp19サブユニットを標的とする阻害薬として尋常性乾癬に承認されていること。同クラスのリサンキズマブ・チルドラキズマブとともにIL-12/23を標的とするウステキヌマブとは異なる分子を標的とすること。閲覧 2026-08-26
  4. 4.Clinical Course and Characteristics of Generalized Pustular Psoriasis(American Journal of Clinical Dermatology・2022)汎発性膿疱性乾癬の増悪の誘因として全身性副腎皮質ステロイドの中止、感染、ストレス、妊娠、月経が報告されていること、増悪の約半数が入院を要し、報告された死亡率は2〜16%であること。閲覧 2026-08-26
  5. 5.SPEVIGO (spesolimab-sbzo) injection, for subcutaneous or intravenous use — Highlights of Prescribing Information(FDA(添付文書)・2026)スペソリマブがIL-36受容体を阻害するヒト化モノクローナル抗体として、12歳以上の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の治療に承認されていること(米国初回承認2022年)、急性増悪時は900mgを90分かけて静注すること。閲覧 2026-08-26